カテゴリー別アーカイブ: 【☆ お腹が空く世界の光合成少年】

☆ 緑の髪の少年とミルクが必要な少女たち

☆ 緑の髪の少年

 水の気配をたよりに、ここまで来た。
 でも、もう限界かもしれない。

 乾いた町並みの中で動くものはない。
 この街も、これまでのように誰もいないようだ。

 ぼんやりと水の気配が漂ってくる。
 でも、そこまでは行けそうになかった。
 降り注ぐ陽光の中で少年は乾いてゆく。

 いつしか気を失っていたようだ。

 何かの気配がある。
 目を開けると、少年をのぞき込んでいる少女たちと目が合った。

「水……水はありませんか?」
 少女たちの一人が水筒から水を少し少年の唇に垂らす。

 ああ、水だ。
 少年は少し元気を取り戻した。

 彼は身体を起こした。
「ありがとう。もしよければ、もっと欲しいのだけど……」
 水筒を差し出された。
 ゆっくりと水を含み、少しずつ飲み干す。

「水ならあるんだ。でも食料は無いよ。どこか食料のあるところを知ってるかい?」
 眼帯をつけた少女が訊いた。

「食料のあるところは知りません。水はあるんですか?」
「水はたくさんあるよ。貯水用に保全された人工湖があるんだ。たぶん自動集水機構も働いている」

 降り注ぐ陽光と水。
 少年に必要なものは全てあるようだ。

「水をいただけませんか。もしかしたら、食料というか、栄養は少し都合できるかもしれません」

 少女たちはやや警戒している。
 この世界では当然だ。
 戦争はもう終わったのだろうが、戦力を持つ者は残っている。

「わかった、一緒に来るといい」
 少年は少女達と大きなドームを持つ建物に向かった。

☆ 僕のミルクが必要な少女たち

 少女たちの足取りは少し不安定だ。
 栄養が足りていないのだろう。
 それでもおそらく改造された身体が活動を可能にしているようだ。

 大きな建物の中にはプールがあった。
 天井は光を通すようになっている。

「水はこれで十分かな?」
「ええ、感動するほど十分です。水に入っても良いですか?」
「飲料用の水源もいくつかある。かまわないよ」

 少年は裸になった。
 眼帯の少女だけはしっかり彼を見ていた。
 少女たちのリーダーは彼女のようだ。

 少年の肉棒は立派に勃起していた。
 できるだけ隠そうとしているようだが、気付かれているだろう。

 少年は水に入り、仰向けに浮かんで光を浴びた。
 光合成によるエネルギーの生産をフル活動させる。
 緑色の髪だけでなく、少年は全身で光を浴びた。

 少年は身を隠せる場所を探したが、しっかり見張られているので難しそうだ。
 十分にエネルギーを貯めてから、眼帯の少女に頼むことにした。

「あの、少し一人になれるところはありませんか?」
「……そこの建物に空き部屋があるよ」

 勃起した肉棒を隠しながら一人になろうとする。
 これで肉棒がおとなしくなって出てきたら、何をしてきたか一目瞭然だ。
 まあその通りのことをするのだが。

 眼帯の少女は彼の行動を警戒すべきか迷う。
 一人で処理しようとするのは、ある意味紳士的なのだろうか。

 少年は一人になると、肉棒を刺激し始めた。
 どうしても少女たちのことを考えてしまう。
 眼帯の少女に咥えられることを想像しながら、水筒の中に射精した。

 彼のミルクは光合成によるエネルギーと栄養をたっぷり含んでいるはずだ。
 これを少女たちに差し出すのは気が引けたが、栄養不足の彼女たちには必要だろう。

 少年は黙って水筒を差し出した。
 眼帯の少女が少年のミルクを少し手のひらに取って、匂いを確かめる。

「これは何?」
「栄養はあると思う。毒ではないけど調べてもらっても良いよ」
 少女は少し味見した。
 毒なら検知できる。少々なら効かない。

 少女は驚いたように目を見開いた。
 水筒からさらに一口飲み下した。
 待ちかねていた栄養がそこにある。

「確かに毒じゃないわね……栄養の塊、というかエネルギーの塊? もらっていいの?」
「水をもらったから。足りなければもっと出す……作るけど」

 少年のミルクが何なのかだいたい想像はつく。
 それでもとても必要なものだった。

 少女は仲間たちを呼び集めた。
 眼鏡の少女とピンクの髪の少女が来た。

「一口ずつ飲みなさい」
「何? 食べ物……じゃなくて飲み物? でも美味しい……」
「コレって……ああ、何でもないです」
 ピンク髪の少女は何か気付いたようだ。

 少女たちは少し元気になった。
 ふらついていた足取りもしっかりしてくる。

「ついてきて」
 少年は建物の中に案内された。

 広めの部屋に二人の少女が横たわっていた。
 動かないが、生きてはいるようだ。
 銀髪の少女と長い金髪の少女だった。

 眼帯の少女は少年のミルクを含むと、口移しで二人に与えた。
 水筒の中は空っぽになったようだ。

 少女たちが目を開けた。
「晶華? 補給が来たの?」
「ああ、生き返る……まだ足りないけど……」
 眼帯の少女は少年に微笑む。
「ありがとう……私は晶華(しょうか)。あなたは?」
「僕は何時季(いつき)。こちらこそありがとう」

「そのピンクの子は柳裸(りゅうら)。眼鏡が晴香(はるか)。寝てる銀髪が空流(あける)。金髪が帆夏(ほのか)よ」
 互いに名乗ると少し打ち解けた気がした。

「何時季、さっきのミルクのようなものってもっともらえるの?」
「うん、水をもらえるなら、少し時間があれば少しずつ出せる……創れるよ」
「あなたは何も食べなくて良いの? それでもアレが創れるの?」
「僕は水……水と光だけでいいんだ。植物のように光合成できるようになってるみたい」

 晶華は何時季に頭をさげた。
「お願いします、ここに居て。私たちにあのミルクを与えてください。そのために必要なことがあれば何でも言って。あなたがしたいことがあれば、協力します」

「こっちこそ、ここに居させてほしい。水と光が必要なんだ。君たちが飲んでくれるなら……あのミルクもいっぱい出せるよ」

 柳裸というピンクの少女が少年に近づいてきた。
 近い。良い匂いがする。

「アレ、あなたの精液……ですよね?」
 何時季は口ごもってしまう。
 彼女たちに飲ませた後で告白するのは気が引けた。

「……そうだよ。でも、僕は植物のようなものだから、果汁というか、そんなに気にするものじゃないかもしれないと思うのだけど……」

「まあ、想像はついていたから気にしないで。私たちは助けられたんだし」
 晶華は微笑んだ。
 晴香は恥ずかしそうだ。

 柳裸が更に近づいてくる。
「そうだよね、すぐに解った。しかも栄養満点。その、やっぱり、エッチなことで出るんだよね?」
 何時季はうなずいた。

「晶華ちゃん、私、ようやく役に立てるかもしれない。彼が射精するお手伝いしていいよね?」
「何時季、あなたにはたくさんミルクを出してもらいたいのだけど、私たちが手伝っても良いかしら? 特に柳裸は専門家よ」

「あ、あの、それは、してもらった方がいっぱい出ると思うけど、僕で良いの?」
「あなたじゃなきゃダメなのよ。むしろ私たちで良ければだけど」

 柳裸の指先が触れると何時季に快感が走る。
「柳裸ね、性処理がメインの改造体なんだよ。これまであまり役に立てなかったから寂しかった。自分の能力はずっと使わないんだと思ってた。何時季が来てくれてとっても嬉しいよ。いっぱい……気持ち良く射精させるね」

「まあ、とりあえず柳裸が適任でしょうけど、私たちはみんな少女体だから、性的なことも期待されて改造されてるの。好きな娘に手伝わせていいからね。できればみんなにさせてあげて。柳裸、とりあえず空流と帆夏にもっと飲ませてあげましょう」

「わ、私も協力します!」
 晴香が何時季を押し倒し、胸を押しつけてきた。
 柔らかい感触と女の子の香りがする。

 柳裸は手際よく彼を裸にしてしまう。
「晶華、少し手伝って」
 二人で少年の勃起に顔を近づけてくる。

 柳裸は先端に優しくキスすると、いきなり咥えこんだ。
 口内が密着する。
 柔らかい感触が締め付けてくる。
 ねじりあげるように動いた。

 晶華は優しく少年のお腹にキスした。
 柳裸の口技は危険なくらい気持ち良く、少年を追い詰めてゆく。

 咥えられたまま射精する。
 初めての口内射精で、驚くほどたくさんのミルクを注ぎ込んだ。

 柳裸は口内に貯めきれず肉棒を離す。
 すぐに晶華が咥えてミルクを受けた。
 射精中も刺激を忘れない。
 晶華のお口の中もいっぱいになったところで、やっと止まったようだ。

 二人は横たわっている少女たちに口移しで飲ませる。
 少女たちが少年のミルクを飲み下す。

 少しして、二人の少女が起き上がってきた。
「何時季君、ありがとう。空流だ。よろしくね」
「帆夏です、よろしく。お礼したいけど、順番待ちかなあ」

 晴香が少年の肉棒にしゃぶりついている。
 他の少女たちももっと飲ませてもらえることを期待している。

 それから少女達は一人ずつ彼のミルクを搾った。
 美味しそうに飲まれ、じっくり吸い出され舐め清められると、少年はまたすぐに大きくなった。

 少女たちは少年のミルクを飲んで少しずつ元気になってきたようだ。

☆ みんなでするけど、できれば私の唇で

 搾られる少年は勃起がおさまらなくなってきた。
 少女たちに注ぎ込む快感を身体が求めているようだ。

「何時季、ずいぶん射精したけど、大丈夫? つらいとか疲れたとかあったらすぐに言ってね?」
 晶華が彼の身体を気遣う。
「大丈夫だよ、ありがとう。ぜんぜんつらくない、というか、気持ち良すぎて、おさまらない……こんなにできるなんて知らなかった」

「みんなそろそろ十分に補給できたはずね。彼に少し休んでもらいましょう」
 晶華がそう言うと少女たちは従った。

 何時季は日の当たる水辺に戻った。
 少女たちもついてくる。

 少年の勃起はおさまらない。
 少女たちもそれが気になる。

 美味しいミルクを飲ませてくれたそれの感触は唇に残っている。
 補給のためではなく、彼を搾りたい。
 もし二人きりだったら少年に拒否されるまで咥え続けるだろう。

 少年も自分の身体をもてあましていた。
 もっとしたい、してほしい。

「あの……もう十分なの?」
「ええ、あなたのくれるエネルギーと、私たちに必要な分からして、もうみんな十分に補給したわ」

「ええと、もっとしてほしいって言ったら、してくれる?」
 少女たちが期待していた言葉。
「もちろんだわ。あなたにオナニーなんかさせたらもったいないし」
 晶華の許可がおりた。

 少女たちの期待が高まる。
 彼を独占するのは許されないだろう。
 しかし、彼が求めれば別だ。

 できるなら彼のお気に入りになりたい。
 自分の唇を使ってほしい。

「まかせて! オチン×ンお世話するの大好き!」
「柳裸ちゃんの方が良いなら仕方ないですけど、私も、その、がんばってお世話しますよ?」
「もっとよく僕の感触を確かめてもらわないとね」
「女の子に飲ませ放題なんて、我慢できないよね。私も使ってくれると嬉しいな」

「何時季、横になってくれる? 五人一緒はちょっと難しいわね。私は彼の唇をもらうわ」
「わ、私も唇に、お世話します……」
 晶華と晴香が唇にキスしてくる。

「うーん、そっちも捨てがたいけど、三人ならいっしょにできるかな」
 空流が肉棒に口付けし、舌を這わせ始める。
 柳裸と帆夏も加わる。

 柳裸の唇が先端を含むと、少年は思わず腰を突き上げる。
「何時季、深く咥えさせたいときは、頭を軽く叩いて。もう一度叩いたらストップの合図。みんな解ったわね?」
 晶華が指令を出す。サインが決まった。

 少年は柳裸の額を軽く叩く。
 柳裸は嬉しそうに根元まで咥え込んだ。

 空流と帆夏は仕方なく少年の精巣を咥えはじめる。
 ふたつあるそれを分け合ってしゃぶり始めた。

 柳裸に咥えさせたまま少年は二度射精した。
 その間、ストップの合図はない。

 二度目の射精の後回復すると、柳裸の頭が軽く叩かれる。
 彼女は名残惜しそうに唇を離した。

 次に頭を叩かれたのは晴香だった。
「は、はい!? 私!? あ、いえ、嬉しいです!」

「私たちはおあずけか」
 空流が抗議した。
「ごめん、それ、気持ち良いから」
「そう思うなら、あとで御褒美をくれ」
 また精巣を咥え直す。
 何時季の言葉がうれしそうではある。

 柳裸は少年の耳を攻めることにした。
 耳の中を犯される感覚に何時季が震える。

 晴香のお口はやや拙いが必死の情熱が心地よい。
 やはり二度射精するまでそのままさせた。

 少女たちの情熱に動かされるように咥えさせ、注ぎ込んでゆく。
 全員一通り試したあとは、誰の唇を何度使ったのか覚えていない。

 いつしか少年は眠りにおちた。

 目覚めると晶華に膝枕されていた。
「おはよう」
「……おはよう」
 身を起こして少女を見つめる。

 何時季は少し目をそらすと、晶華の額を軽く叩いた。
 晶華は微笑んで顔を下げてゆく。
 吐息が先端に触れた。

☆ 少女たちは全力で少年を迎える

「その……彼のを咥えて、飲ませてもらって、アソコがうずかないか? 自分でしてもおさまらない」
 空流がそう言うと帆夏も賛成した。
「そうだよね、オチン×ン入れてもらわないとダメだと思う」

「でも、大事な栄養だから、無駄にするわけにも……」
 晴香は恥ずかしそうだ。

「私、みんなのオマ×コからなら飲めるよ。みんなはダメ?」
 柳裸が言った。
 晴香は赤くなる。

「それは私たちの性欲処理を彼にお願いするということね? 彼にも負担になるわね」
 晶華はまだ賛成しない。

「私、オチン×ンならいくらでも回復できるよ。彼にも性欲あるみたいだし、時々でもオマ×コ使ってもらえたら、みんな幸せなんじゃないかな……」
 柳裸はしたくてたまらない。

「彼に決めてもらえば良い。彼を誘惑するのは自由だが、強要は無しだ。したいときに好きな所を使ってもらえばいい。求められたら断るのは無しだ」
「そうね、何時季、そんな感じでどう?」

 十分すぎる光と水を得て、何時季の精力は底なしだった。
 話を聞いているだけで射精しそうになる。
「すごくうれしいけど、いいのかなあ……」
「私たちの方がお願いしているんだから、気にすることはないのよ」

「ではさっそくどう? 試してみない?」
 晶華が下着を降ろして脚を開いた。
 ただ秘所をみせつけるだけの誘惑。

 何時季には十分だった。
 晶華を押し倒し、挿入する。

「んっ……あなたはなんでもくれるのね。がんばってお返ししなきゃ」
 脚をからめて奥まで咥え込むと、入り口を締め付け、膣内を動かし始める。
 改造された肉体は自在に動く。

「ああっ!」
 射精しようとする少年の会陰部を柳裸が押さえる。
 神経系をコントロールされ、少年の絶頂も延期される。
「ごめんね、晶華ももう少し愉しませてあげて」

「何回でも射精してもらうつもりだったのに……ごめんなさいね何時季、でも柳裸はこんなものじゃないから、少し鍛えてあげる」
 膣肉が射精できない少年を締め上げ、搾りあげる。
 晶華もそれで快感を得てゆく。

 柳裸が少年を解放すると、大量の射精が膣内を洗った。
 晶華と何時季は口付けながら絶頂を迎える。

「これで入れてくれるかなあ……」
「何時季さん、かなりエッチですから」
 空流と帆夏がお尻を並べて少年を誘う。

 空流から挿入した。
「んんっ、んっ!」
 奥に届いた瞬間、強烈な収縮と吸圧が何時季を襲う。
 精液で刺激を和らげようとでもするように、身体が反射的に射精する。

「ふふ、柳裸には邪魔させないよ。ちょっとごめんね。後がつかえてるから、また今度ゆっくり使ってね」
「空流ちゃんちょっと荒っぽいです。ゆっくりさせてあげようと思ったのに」
 柳裸に触れられるとすぐに回復する。

 今度は帆夏を後ろから犯す。
「何時季さん、あなた専用のオマ×コですから、しっかり味わってくださいね」

 帆夏の膣内はうごめき、変化する。
 何時季の形、大きさに合わせて膣内が再構築される。
 次に使われるときは少しまた変化させようと思いつつ、少年を搾る。

 帆夏は膣内に舌のように動く粘膜を整形した。複数ある。
 何時季は膣内で舐められる感覚に驚く。
 先端に入り込もうとするかのような舌先を押しのけて射精した。
 舐め取られる感覚に口淫と錯覚しそうになる。

「晴香は?」
「私は、まだいいです……」

「じゃあ何時季くん、柳裸を試してみない?」
 柳裸は何時季を押し倒しながら誘う。

「お、お願いします」
 柳裸は他の少女より凄いらしい。
 少し怖い。

「んふ、やっとお役にたてそう……嬉しいよ」
 気がつくと膣内に飲み込まれていた。
 柔らく滑らかな感触に包まれる。
 刺激はやや少ない。意外に感じた。
 接合部から媚薬成分が染みこんでゆく。

 柳裸は少年の上で微笑むと、神経系の接続を開始した。
 自分の感覚と少年の感覚を接続してゆく。

 柳裸が自分の指を咥えた。
 何時季の肉棒にも咥えられる感触。

 少女の快楽は何時季にも伝わる。
 柳裸も少年の快楽を感じながら、的確に刺激する。

 何時季は柳裸の乳房を揉みしだいた。
 少女の快感が伝わり、どう刺激したらよいのか解る。

「何時季のために手伝いましょうか」
 晶華たちが柳裸の指や身体を咥え、愛撫する。
 全て何時季にも感じられた。

 頃合いをみて柳裸は膣肉による奉仕を開始した。
 少年と感覚をつないでいる少女の愛撫は的確で、しかも感じさせすぎないのがポイントだった。
 射精のタイミングをずらされ引き延ばされながら、冷めることもできない。

 ようやく許された射精は長かった。
 もっと長引かせて少年を干涸らびさせることもできるだろう。
 少女の絶頂を感じながら注ぎ込む。
 いっしょに絶頂するように柳裸が調整したのだろう。

 少年は柳裸の相手の後は元気は残らないのではないかと思っていた。
 そんなことはなかった。むしろ元気になった。
 彼女は癒すための改造体なのだ。

 柳裸が何時季に必要以上の元気を残したのは晴香のためだ。
「晴香さんはさせてくれないのかな? 嫌ならもちろん無理にはしないけど」
「……わ、私はみんなみたいに気持ち良くできないと思いますけど、それでも良ければ、どうぞ……」

 晴香を抱きしめて挿入した。
 普通、というのも何だが普通の膣内だ。
 それでもかなり心地よかった。

 晴香は声を抑えているようだが、身体がうねる。
 思い切り上体を反らせ、手足を少年に絡みつける。

 ふと気付くと、地面の感触が無くなっていた。
 晴香の身体だけを感じる。
 二人の身体が浮き上がっていた。

 邪魔するもののない空中で二人は絡み合う。
 少年が動こうとするとそのように動くことができた。

 二人の身体はおそらく晴香の能力である何かに支えられ、自在に動いた。
 少年の上で晴香の身体が廻る。
 肉棒をねじられる感触とともに射精した。

「いつもこうするわけではないけど、まあこんなこともできるよって感じでしょうか」
 晶華が微笑む。
 少女たちは本当に元気になった。

 互いの膣内の精液を吸い出すのを見せつけられ、何時季は何度も少女たちを犯す。
 やがて晶華はやりすぎと判断した。
 柳裸が何時季の感覚をコントロールして落ち着かせた。

☆ 水源の少女

 何時季は広いプールの中を隅々まで泳ぎ回った。
 プールの奥の水中にトンネルになっている場所があった。
 そこから水が湧き出しているようだ。

 水源に興味を覚えた何時季はそのトンネルに入っていった。
 彼は普通より少し長く息を止めることができた。

 しばらく泳いでゆくと広くなり、光が見えてきた。
 水面に出られるようだ。
 何かが浮いている。
 それが全裸の少女であることに気付いて、あわてて水面を目指した。

 水面に出ると、建物の中であることが解った。
 少女は鎖につながれて水に浮いている。
 生きてはいるようだ。

「大丈夫? 僕の声、聞こえる?」
「……あ、あの、何か、くださいませんか……食べるもの……」

 何時季は少し迷ってから、肉棒を彼女の唇に近づけた。
 少女は吸い出す元気もないようだ。
 何時季は少女の口内を少し激しく使って射精した。

 何時季の精を飲み下すと、少女の声はかなりはっきりしてきた。
「ありがとうございます……もしよかったら、ときどき飲ませてくれませんか? 今度はもっとがんばって……御奉仕しますから」
「ずっとここにいるの?」
「私の力ではこの鎖は外せませんから……あなたでも無理でしょう?」

「僕は何時季」
「私は姫李佳です」

「姫李佳、ここから出たい?」
「それはもちろん……でも、できますか?」
「ちょっと待っててね」
 何時季が晶華たちに知らせようと思うと、頭の中に晶華の声がした。
(今行くから、待ってて)

 すぐに少女たちが来た。
「かなり長い間、ここにつながれて、それでも生きてこれたわけだ……姫李佳さんも特別なんだね」
 晶華は辺りを確認する。

「外すよ?」
 空流がこともなげに鎖を切断した。
 引きちぎったようにも見えない。
 最後の鎖を切るときよく見ていると、空流が触れると光が発して鎖が切断されたようだ。

 空流は姫李佳の手足にはめられた拘束具も外した。
 鍵を開けたわけではない。拘束具も簡単に切断された。

「ありがとうございます!」
 姫李佳は空流に抱きつく。

 空流は何時季ににじり寄ってくる。
「お姫様を助けたんだから、御褒美は?」
 なんだか姫李佳もついてきた。
「ありがとう、何時季。それで、あの、ぜんぜん足りないんだけど」

 何時季がため息をついてアンダーを脱ごうとする。
 そのとき何かの触手らしきものが姫李佳を捕らえた。
 それは水中から出ている。

「姫李佳!」
 何時季は水中に飛び込んだ。

 空流の身体から光線が迸り、触手を切断する。
 しかし新たな触手がまた姫李佳を捕らえた。ように見えた。

 何時季が姫李佳を抱き上げて水辺に運ぶ。
 触手が捕らえた姫李佳そっくりの少女は余裕の笑みを浮かべ、身体を変形させて拘束をすり抜けた。
 帆夏らしい。
 晴香が何時季と姫李佳を浮かび上がらせ、空中へ待避する。

 晶華が思考通信で空流に敵本体の予測位置を伝える。
 空流が水中に脚を踏み入れた。
 水蒸気が上がる。
 空流の放つ光はどんなエネルギーなのだろうか。

「相手は消滅したわ。もういいわよ」
 晶華の宣言で少女たちに安堵が広がる。

「あ、ありがとう……」
 何時季にお姫様のように抱えられた姫李佳は、彼の首筋に手を回している。
「大丈夫みたいだね、良かった」

 何時季は少女たちの視線がやや冷たいことに気付いた。
「そうだよね、か弱いお姫様は何時季も助けるよね」
「私が何時季に助けられるなんて想像できないな」
「それでお姫様は、ありがとう、私にはこのくらいしかお礼できませんって言ってオチン×ンしゃぶるんだよね」
「私が姫李佳ちゃんと同じ姿になっても同じに扱ってはもらえないでしょうね」

 何時季は助けを求めるように晶華を見る。
 晶華も笑顔で応えた。
「何時季、今回はあなたのお手伝いだから、ちゃんと御褒美はくれるわよね? それから、私たちの嫉妬は放っておいてもいいけど、あなたはそんな危険なことしないわよね?」

 姫李佳も負けないとでもいうように何時季にすがりつく。
「ここはもう安全なの?」
 何時季が訊いた。
 晶華が肯くと、何時季は姫李佳を降ろして下着を脱いだ。

「姫李佳がまだ足りないみたいだから最初だけど、しばらく順番は回ってこないと思うから、いっぱい飲んでね」
 姫李佳は慌てて肉棒を頬張った。
 他の少女にとられないように。

☆ 戦争の夢を見ていた少女

 少女たちが少年を求め、少年がそれに応える。
 そんな行為もひとまずは終わりに近づいたようだった。

 晶華と晴香は近づいてくる気配を察知していた。
 晶華は知らぬふりをするように晴香に伝えていた。
 かなりの確率で敵対的な存在だが、少しでも解り合える可能性があるなら先制攻撃はしない。

 姫李佳を助けたことで何かが動き出したようだ。
 何かが近づいていることは何時季と姫李佳以外の全員に伝えられていた。
 晶華は心に伝えることができる。

 それらが突然現れて攻撃してきたとき、驚いたのは何時季と姫李佳だけだった。
 少女型のアンドロイド兵たちが現れる。
 持っているのは実弾火器だった。
 弾丸が発射されるのを確認してから、空流はアンドロイドたちに光を放った。
 兵士たちは弾丸もろとも消滅する。

「敵対の意思あり、か……」
 一体だけ残されたアンドロイド少女に晶華が触れる。
 デジタルな情報系にも晶華はアクセスすることができる。
 アンドロイドをコントロールしている者をたどってゆく。

 全員の脳裏に眠っている少女が浮かんだ。
 晶華が映像を伝えている。

「この娘はこの施設のコントロール中枢になっているわ。姫李佳を解放したことで施設が起動したみたいね。襲ってきたのは侵入者を撃退するようにプログラムされているから。彼女はまだ戦争の夢を見てるわ。そんなことは終わっていることを教えてあげましょう」
 晶華は少女の意識に接触しようとする。

 そのとき映像が霞んだ。
 全員が身体に異変を感じる。
「……毒物?……遅効性で毒物に変化するのか……それで私たちの身体に侵入できたわけね……」
 晶華たちは改造体だが、人間がベースになっている。
 毒物は有効だが、当然毒を検知して体内に取り込まないようになっていた。
 それをかいくぐって毒物を注入されたようだ。

「姫李佳ちゃん、か……油断したわ……姫李佳ちゃん、まだあの娘にコントロールされてるのね」
 姫李佳と何時季は大丈夫なようだ。
 他の少女たちは動けない。

「えっ、えっ、私!? 私のせいなの!?」
 姫李佳の身体はもう偽装することも無く毒素をまき散らしている。
 空気に混じるそれは晶華たちに追い打ちをかける。

 何時季が姫李佳を抱きしめた。
「大丈夫、落ち着いて。晶華さんたちが何とかしてくれるから」
「でも、みんな倒れて、私のせいみたいで……」

 少年は人間ベースなら動けなくなるはずの毒素の中で大丈夫なようだ。
「こうすると自分では戻ってこれないけど、大丈夫、たぶんみんなが連れ戻してくれるから。自惚れかなあ?」
 何時季の身体から何かが芽吹く。
 大量の緑の触肢は姫李佳を包み込み、辺りを覆ってゆく。

 何時季の触肢は動けない少女たちも優しく包み込む。
 優しく口腔と膣口から入り込む。

 毒素が吸い出される。
 代わりに何時季のエネルギーが入ってくる。
 少女たちは再び活動可能になった。

 姫李佳が放出している毒素も何時季が全て吸い取っているようだ。
 何時季自身は眠っているように見える。

 晶華は防御機構の中枢を担っている少女の意識に接続した。
 何時季のイメージを送る。
 少女たちを愛してくれる少年のイメージ。
 少女たちが愛する少年のイメージ。

 中枢の少女が目を開いた。
「……何を見せるんですか。観られたいんですか。セクハラですか。それとも彼氏自慢ですか」
「おはよう。姫李佳ちゃんを止めてくれない?」
「もう止めてます……すみませんでした」

 中枢の少女が自分のところまで道を開いた。
 晴香が飛んでゆき、彼女を連れてくる。

 晶華は何時季が変化した樹に触れた。
 少年は夢を見ているようだ。
「何時季を呼び戻すわよ」
「姫李佳は……何時季と一緒なのか。許せないな。絶対呼び戻そう」

「柳裸、彼の感覚に接続お願い」
「彼と晶華ちゃんを接続するんだね」
「みんなの感覚を接続して。私一人でも大丈夫だけど、抜け駆けになっちゃうから」

 何時季は果実を実らせ始めていた。
 何時季が変化したこの樹があれば、食料にも困らないかもしれない。

 少女たちは彼を元に戻すことをためらわない。
 栄養のためだけに少年を求めていたわけではないのだ。

「あなたもお願いね。何時季はスケベだから、新しい女の子は効果的だわ」
 晶華は防御機構をコントロールしていた少女にも呼びかける。
「……仕方有りませんね」

 全員が柳裸の手をとり、柳裸が何時季の唇に触れた。
 晶華は全員の意識を接続する。

 何時季は夢を見ていた。
 光を浴びて生命を育む夢。
 何時季という森の中で生命が遊んでいる。

 そこに少女たちが降り立った。
 空流が夢の森を無造作に消しとばす。
 何時季と姫李佳が抱き合ったまま残された。

「王子様、誰のキスで目覚めたい?」
「ええと……」
「迷わなくていいわ。一応訊いてみただけだから」
 全員が何時季に唇を寄せる。
 夢の中では全員が一緒にキスできるのだ。

 唇が触れた。
 何時季の意識が夢から覚める。
 少年は姫李佳を抱きしめたまま浮かんでいる自分に気付いた。
 晴香が運んでくれているようだ。
 少女たちに取り囲まれている。

 初めて見る少女が顔を近づけてくる。
「はじめまして、練佳と言いますわ。ごめんなさいでした。姫李佳ちゃんのせいじゃないです、私のせいです。だから、もうあなたたちと争えないように、私もあなたの愛人にしてください」

「……それは何か違わない?」
 帆夏が異議を唱える。
「みなさんにも感謝してますけど、何時季さんとの関係を邪魔するようなら全面戦争ですわ」

「何時季、練佳ちゃんのこともお願いね。仲良くできるようにしっかり調教してあげて」
「そうです、みなさんみたいにあなたの虜にしてください。それが平和への道です」
 練佳は少年の肉棒に顔をおしつけ、頬擦りする。
「よろしくね、練佳ちゃん」
 何時季に頭を撫でられ、うれしそうに練佳は肉棒を頬張った。

「ごめんなさい……」
 姫李佳は泣いていた。
 少女たちと何時季を陥れてしまった。
 自分はそれに気付いても何もできなかった。

「泣くな」
 空流が姫李佳にデコピンした。
「ちょっと怒ってるけど、それは姫李佳が抜け駆けしたからだよ? 仕方ないけど、何時季に抱きしめられて護られてたのは羨ましい……」

「姫李佳ちゃん、いらっしゃい」
 晶華が姫李佳を何時季のもとに誘った。
「今一番ダメージを受けてるのは姫李佳ちゃんの心だから、何時季、いっぱい愛してあげてね」

 練佳も姫李佳のために何時季を譲る。
 少年は姫李佳を抱きしめた。

 優しく挿入する。
 最初は少年が動いていたが、いつしか姫李佳も腰を使いはじめる。
 膣内に射精されて一息つく。

「姫李佳、落ち着いた?」
「ダメです。まだまだ落ち込んでて消えてしまいそうです。でも少し楽になったから、もっとしてくれれば落ち着くと思う」
「……どうやら大丈夫になったみたいね。それ以上調子に乗るとみんな怒るわよ?」

 姫李佳はようやく笑顔を見せた。
「ありがとう。みんなのお手伝いします」
 何時季の背後に回り、少年の脚を開いて少女たちを誘う。
 姫李佳の身体から媚薬成分が香ってゆく。

「今度こそ私の番ね。いっぱい愛してね」
 練佳が膣肉を開いて少年を迎えた。

 何時季は結局また全員と愛し合うことになってしまった。

☆ どこかに行けるかもしれない

 姫李佳と練佳を迎えた次の日。
 目覚めると周囲が水浸しだった。

「あら、姫李佳、お漏らししちゃったのね」
 練佳がこともなげに言う。
「ど、どういうことですか?」
 姫李佳は真っ赤になって慌てている。
 確かに彼女の腰のあたりが水源のようだ。

「あなたは、ここの貯水池のバックアップのひとつなの。綺麗なお水だから気にすることないわよ」
「姫李佳ちゃんは化学合成できる改造体なのかと思っていたけど、どうやって水を集めてるんだ?」
「原理はよく解らないけど、水を造れるのよ。エネルギーからの物質への変換なんじゃないかな」

「そんな技術が開発されていたのか? 太陽からのエネルギーをそれに使えるなら、いくらでも物資が造れるじゃないか」
「複雑なものは姫李佳じゃ無理みたいよ。姫李佳が造れるのは水ね。化学合成は防御機構として組み込まれているもので、造水機構とはあまり関係ないわ」

「お水が造れるって……じゃあ姫李佳ちゃんが居れば、何時季はどこにでも行けるってことですか?」
「そうね、お日様の恵みはここでなくてもあるでしょうしね」

「行っちゃ、やです……」
 晴香が何時季の手を握りしめる。
「い、いや、どこかに行くって決めたわけじゃないから」
 何時季は晴香を抱き寄せた。

「私たちが何時季を必要とするのと同じように、何時季が姫李佳ちゃんを必要とするわけだから、何時季を取られると思っちゃうわよねえ。でもね、その心配はないと思うわよ」
 晶華も何時季に身を寄せてくる。
 少年の肉棒を撫で回す。

「私たちが栄養として必要とする以上に、何時季は私たちに注ぎ込むんだから。それは気持ち良くてうれしいけど。姫李佳ちゃんだけじゃ受け止めきれないと思うわよ」
「そうだな、結局、何時季は気に入った女の子なら誰にでも手が出てしまうみたいだから、離れられなくなるくらい快感を与えてやればいいんじゃないかな」
 空流と帆夏が何時季の脚を捕らえた。

「でも、姫李佳ちゃんと何時季がいれば、ここに居る必要が無いということね。新しい可能性を与えてくれるわ。この世界にはまだ何か残っているかもしれない。旅に出てみるのも良いかもね」
「そうだね、何時季以外にも男の子とか見つかるかもしれないし。そうしたらみんなそっちに行っていいよ。私は何時季一筋だけど」
 柳裸が何時季の肉棒に唇を寄せてゆく。

「姫李佳ちゃん、試しに何時季に飲ませてあげて。何時季の特別になれるかもしれないわよ」
 姫李佳は何時季の顔の上に座り込んでいった。
 おしっこをする体勢に近い。
 水を溢れさせる感覚はそんな感じだ。

 少年の唇に自らの秘唇を捧げる行為に姫李佳は真っ赤になる。
 それでも自分を試して欲しかった。
 何時季に必要とされたい。

 少年が緊張した肉唇を舐めあげると、水源は決壊した。
 溢れる水はわずかに甘かった。
 何時季はこくこくと飲み干す。

「ああっ、あ、あ……出ちゃってますう……」
 自分を助けてくれた少年に吸われて姫李佳は絶頂する。
 溢れる水に姫李佳の味が混じる。
 舌が肉唇に入り込み、もっと欲しいと催促した。

 貯まっていた分を出し尽くした感覚に姫李佳は震える。
「んんっ……全部出たみたい……少し貯めないと出ないです……」

「ありがとう、姫李佳、美味しかったよ」
 何時季の言葉で姫李佳は恥ずかしそうに震えた。
「姫李佳ずるいわね。必要だからって何時季にオマ×コ吸ってもらえるなんて……」
 練佳が何時季の唇を奪う。

「姫李佳ちゃんのお水で大丈夫みたいね。そのうちみんなでどこかに出かけましょう。遠い所にも行けるわよ」
「そうだね、誰かに会えるかなあ」

 少女たちは少年を脱がせた。
 少年を搾るのは必要なことだし、気持ち良いのだ。

「で、何時季さんは誰が一番気持ち良いのですの?」
 練佳がなにげなく聞いた。
 空気が凍った。

「あえて避けてきたことをずばり訊いたね……」
 空流がやれやれといった感じで首を振る。

「み、みんないろんな感じで、それぞれに気持ち良くて、選べないよ」
「うんうん……で、誰が一番?」
 晶華も面白そうに聞き返す。

「だから、みんな気持ち良いってば」
「そうねえ、せっかくだし、しっかり味わって比べてもらいましょうか」
 晶華の指令が少女たちに伝わった。何時季には秘密だ。

「ちょっと我慢してね、きっとすごく気持ち良いから」
 柳裸が何時季の会陰部に触れて射精を止めた。
「やっぱり何時季のミルクは大事にするべきだとも思うの。射精はなるべく我慢して、どうしても出したくなったら射精しましょう」
 晶華の言葉は我慢してしっかり刺激を味わえということだ。

 そのまま少女たちのお口とオマ×コを一通り体験することになった。
 少女たちは絶頂すると交代する。
 何時季は射精を許されなかった。

「それで何時季、誰の何処で射精したい? 誰でもどこでもお望み通りよ」
 射精したくてたまらない少年に選ばせる。
 何時季は冷静な思考はできないだろう。
 それが一番気持ち良い少女を選ばせるはずだ。
 誰が選ばれてもいい。

 少女たちが緊張する。
 少年は誰を選ぶのだろうか。

 何時季はそれでも悩んだ。
 少女たちを次々に愛するとしても、最初誰かを選ばねばならない。
 自分は一人しかいないのだ。

 それでもあまり待てない。
 射精欲求はもう我慢できない。

 何時季の身体が芽吹き始めた。
 急速に成長するいくつもの緑の触手は、彼の肉棒そっくりの先端を備えていた。

「あらら、ちょっと追い詰めちゃったみたいね」
「また何時季を回収するのか……誰を選んでもいいのに」

「でも、このままなら彼、みんなを一緒に愛せますねえ。連れ戻していいんでしょうか」
「この樹は何時季だと思うから愛せるけど、正直男の子の姿の方が萌える。……可愛いよね」
「こんなのずるいです。結局選んでないじゃないですか。さっさと連れ戻しましょう」

 柳裸が何時季の樹に触れて感覚を接続する。晶華が少年の精神にみんなを送り込む。
 その間にも肉棒を備えた触手は少女たちの秘唇に入り込んだ。
 膣内で射精される感触。

 少年の夢の世界で少女達は何時季を取り囲む。
「ねえ、何時季、このまま触手プレイで私たちを愉しみたいのかしら?」
「ごめん……でも、決められ
なくて、我慢もできなくて……」
「男の子に戻していいわね?」
「うん、また来てくれてありがとう。自分じゃ戻れないから……」

「うーん、スケベなのはいいけどさ、触手じゃあんまり萌えないんだ。いつもの何時季のままで飲ませてよ」
「何時季さん、悩ませてごめんなさい。でも、普通の女の子に触手でしたら嫌われますよ? 私はまあ、いいですけど、でもまあ男の子の方が……」
「何時季の変態性能もかなりのものよねー。けっこうエロ魔人よね」

 少女たちが少年の肉棒を咥えた。
 夢の中でだけ許される同時フェラだ。

 搾り取られる感覚。
 射精とともに何時季は目覚めた。

「もう、適当に選んでおけば良かったのに」
「何時季はスケベで優柔不断でそれでもみんなが欲しいのよね。別にいいけど、はっきりしないままだといつか大変かもよ?」
「んく、ちゅうう……もういいです、誰でもいいみたいですから、私でもいいですよね?」

 何時季はさんざんじらされて、まだまだ射精し足りない。
 少女たちに手を伸ばそうとすると、優しく捕らえられて自由にさせてもらえない。

 選べなかった少年に選択権はない。
 ただ少女たちが仲良く彼を搾るのみだ。

 少女たちは思うまま少年を貪った。
 少年が満足している様子に少しため息をつきながら。

☆ それは他の目的のためでも、愛の行為とされるものでもあって

 少年と少女たちは旅に出てみることにした。
 旅と言うほどのものでは無いかもしれないが、その言い方が楽しかった。

 この場所を捨てるつもりというわけでもない。
 戻ってくるかもしれない。
 もっと良い場所が見つかるかどうかは解らない。

 準備することはあまり無かった。
 食料などはもともと無いのだ。
 水は持って行ける容器に満たしたが、これもすぐ姫李佳が供給することになるだろう。

 練佳と姫李佳が居た地下施設には地図データもあったが、現在の状態がどうなっているかは解らない。
 それでも少しは参考になった。
 街だったところ、施設だったところを目指すことができる。
 水源のある街を出て、最寄りの軍事施設だった場所を目指すことにした。

「街の外はほとんど沙漠なのね」
 少女達は街の外に行くのは久しぶりだ。
 あまり遠出したことも無かった。

「水がある場所をずっと探してたけど、見つけたのは初めてだった」
 何時季はここまでの道のりを思う。
 ずっと水を探していた。

 しかし水を得られた以上に、少女たちに出会えたのが幸運だと思う。
 水も見つからなかったが、他人も見つからなかった。

 最寄りの軍事施設だった場所までは2日で着いた。
 まだそれほど旅をしている感じはしない。

 施設は当然のように沈黙している。
 しかしまだ警備機構などが生きている可能性はある。

 入り口らしきところが開いていた。
 慎重に入ってみる。
 内部は広く、主に地下に広がっているようだ。

 それなりに深くまで来た時、いきなり警報が響く。

 一瞬の違和感とともに、周囲の情景が変わった。
 何時季は練佳と晶華だけが一緒にいることに気付いた。
 周囲の光景が変わっている。

「テレポーター!?」
 晶華も驚いている。
 空間転移させられたらしい。

 閉ざされた部屋で、晶華はコントロール中枢にアクセスしようとした。
「あらら……迷惑なことに、今の転送でエネルギーが尽きてるみたいね。エネルギーを供給してやらないと転送装置が動かないわ」
「転送でしか出られないの?」
「そうみたいね……困ったわね」

「動力系にアクセスできる?」
「ええ」
「エネルギー変換ならできるかもしれない。私もこういう施設に組み込まれていたから」
 練佳の言葉で、可能性を探ってみる。
 転送装置の電源ユニットにつながる部分は見つかった。

「電源が得られれば動かせるかもしれないけど、相当な電力がないと無理よ?」
「電力で良いならできる。でも、私自身がエネルギーを得ないとダメだけど」
 晶華と練佳が何時季を観る。

「エネルギーってもしかして……」
「何時季のアレしか無いわねえ。光合成してある分で何とかなるかもしれないけど、かなり飲ませてあげないとダメなのは確かだわ」
「どのくらい必要なのか解らないけど、そんなに出せるのかな……」
「何時季なら大丈夫……たぶん……やってみるしかないわねえ」

 練佳が何時季にキスした。
 愉しむべき状況ではないが、少年が欲情しないと話にならない。

 しなければならないという状況が何時季を欲情させる。
 少女に飲ませることにいつもより強い目的がある。

「じゃ、じゃあ練佳さん、お口から飲めばいいの?」
「膣内に注いでもらっても良いけど、消化吸収するのが一番効率が良いわね。でも私のお腹の容量が問題ね。あなたのエネルギーは膣内からでも補給できるから、飲み過ぎたらそっちにお願いね」

 練佳が何時季の肉棒を含む。
 あえて時間を引き延ばすのでなければ、愉しむことは問題ないだろう。
 存分に少年を味わうことにする。

「練佳ちゃんに何回飲ませたかはちゃんと数えておきますから。もちろん他の娘にするのは義務ではないけど、みんなに報告しますから」
 しばらく少年の射精は全て練佳が独占することになる。
 晶華はそのことをあえて責めるような言い方をした。
 何時季は嫉妬されることにも興奮するのだ。
 求められるのが好きなのは知っている。

 晶華は心に触れることができる。
 柳裸の感覚接続は肉体の機能に関するものだが、晶華のそれは別の何かであるようだ。
 集合的無意識や精神感応と呼ばれるものでアクセスしているのかもしれない。
 だからここから他の少女に伝えることができた。

(浮気……というわけでもないか……えこひいき? 独占?)
(不公平なことは確実ですね)
(私も今凄くエネルギー足りないかもしれないです。あとでくださいね)
 ここには居ない少女たちの心が伝わってくる。
 やってることは伝えられているようだ。

 少女たちの嫉妬を感じながら射精した。
 練佳がこくこくと飲む。

 連続で何度も飲ませたことはある。
 それでもどのくらいできるのかは解らない。

 咥えたまま何度も少年の射精を飲み込んでゆく。
 先に限界に達したのは練佳の方だった。

「んぷぁ……飲み過ぎたわ……晶華、動力へつながるところを教えて」
 練佳のお腹は少しふくらんでいる。

 電源装置につながるケーブルを受け取ると、練佳の指先から電圧が供給された。
 バッテリーが充電されてゆく。まだまだ足りないようだ。

「電力に変えて放出するからすぐ飲めるようになると思うけど、少しこっちにお願いね」
 練佳は脚を開いて少年を誘った。

 膣に挿入する。
 感情表現は抑えているが、練佳が悦んでいるのは晶華の精神感応を通じてみんなに伝わっている。

 子宮に貯められるだけ射精を受けた。
 お口で飲んだ分より少ないが、これ以上は溢れてしまう。

 何度口内射精と膣内射精を繰り返しただろう。
 晶華始め他の少女たちは数えているかもしれないが。

「転送装置が動かせるようになったみたい。出ましょう」
 晶華は装置を作動させた。

 施設の入り口付近に出た。
 他の少女たちにも出現場所は伝えてあった。
 待っていてくれた。

 施設から出て野営の準備が終わると、何時季は少女たちに囲まれた。
 エッチするのはいつものことだが、少し雰囲気が違う。

「練佳、どうだった?」
「美味しかったわ。それに可愛かった。まだまだできるみたいで驚いたわ」

「強要してはいけないルールになってるよね。あの状況はまあ強要ではないけど、やっぱりずるい。嫉妬はしても良いと思う」
「何時季さんが私たちを想ってくれてるなら、がんばってみんなにもしてくれると思います」
「そうだね、女の子の気持ちを汲んでほしいなあ。まあもちろん何時季の自由だけどさ」

 何時季はがんばった。
 少女たちはみんな好きだ。
 しかし流石にフォローしきれない。
 時間も足りない。

 でも少女たちはそれなりに満足した。
 少年に愛されていることは感じられる。
 そしてがんばる少年は可愛いかったのだ。

☆ 甘いのは好きだけど、舐めるだけじゃ物足りない

 テレポーターのあった施設には、使えるものもあるようだ。
 晶華は施設の内容、現状をスキャンしてだいたい把握していた。

 しかし、転送装置による出入りが前提とされていて、気軽に持ち出せない。
 だからこそ今でも残っているわけだが。

「転送装置が気軽に使えれば良いんだけど……また起動するにはあそこに行って、練佳ちゃんがエネルギーを貯めないといけないし……どうしようかしら」
「転送装置の構造は解る? 電力を供給したとき、かなり解ったけど、あのときは何時季に夢中でちょっと集中できなかったの。私が転送機能を再現できるかも」

 練佳は未知の機械の機能を再現できる、かもしれない。
 不可能なものもあるだろう。
 でも、あの転送装置の機能は再現できそうな気がした。
 電力で動いていたから、できそうな気がする。

 晶華が転送装置の内部構造をスキャンして練佳に伝えた。
 施設のネットワークに侵入するだけなら簡単だった。

 原理はよく解らないが、電磁的効果によって行われている。
 同じ効果を再現することはできそうだ。
 練佳にとって、電気力を操るのは簡単だった。

「できそう……やってみる」
 空中にスクリーンのようなものが見えてきた。
 練佳は転送装置の原理を使って、転移門を造った。
 それなりにエネルギーを必要とする行為だが、物質をジャンプさせるより効率的かもしれない。
 一個で終わりにはならない。

「うん、できる。で、転送機能を気軽に使って何がしたいの?」
「施設内に物資が残ってるみたいだけど、空間転送でしか入れない場所なの。場所を教えるから、持ってこれないかな?」

「ちょっと待ってて」
 転移門の向こうに部屋が見えてくる。
 物資が貯蔵されているようだ。

「食料がある?」
「あるみたいだけど……あれ? コレって……」

 その部屋に残されていたのは、確かに食料ではあった。
 主に製菓材料。
 しかも、小麦粉などの肝心なものは無い。

「お砂糖、ジャム、蜂蜜、チョコレート、フルーツシロップ、クリーム、マシュマロ? デコレーション用かな?」
「他の部屋は?」
「まだよく解らない部分もあるけど、望み薄みたい。総当たりするほど気軽に造れるゲートじゃないでしょう?」
 ゲートが閉じる前に、それなりに持ち出した。

「何時季ー、何を期待してるのかなー?」
 柳裸が勃起している肉棒を撫でる。

「期待してるのは柳裸じゃないか?」
 空流が脱ぎ始めた。

「私に優先権があって当然だと思うんだけど」
 練佳がチョコレートシロップのボトルを持っている。

「昨日かなり独占したんだから、これ以上はダメでしょう」
 姫李佳は自分の膣に何か入れ始めている。

「姫李佳ちゃんはいつも何時季にオマ×コ吸ってもらってますよね? 私たちもたまにはしてもらえるけど、味付けでアピールするのも良いかも」
 帆夏も膣にいろいろ入れ始めた。

「こぼれたら空中で回収しますから、いっぱい使って良いですよ」
 晴香が全員に空中のベッドを提供した。

「じゃあ、全員、何時季に味わってもらって、それで何時季のを最初に味見できる子を決めてもらいましょうか」
 晶華がルールを決めた。

「よし、できた!」
 空流が何時季を自分の上に引き倒した。

 空流は全身に蜂蜜を塗った。膣内には少し溜めてある。
 陽光を受けて輝く肢体は美しい。
 いろいろ考えるより、最初に食べてもらうことを選んだ。

「い、いただきます」
 何時季が乳房から舐め始める。
 強烈な甘味は久しぶりだ。

 オマ×コも味わった。
 姫李佳の水ほど多くはないが、空流の蜜の味もする。

 このまま全員を舐め味わうことに異存はないが、オチン×ンが寂しくせつない。
 何時季は蜜溢れる空流のオマ×コに挿入した。

「何時季ってオチン×ンでも味が解るの?」
 練佳の口調は我慢できない少年を責める感じだ。
「解るのでしょうね、それと、オチン×ンを味付けしてるんじゃない? ちゃんとお返しをくれるために」
 晶華はおもしろがっている。

 空流の膣内に射精した。

 次は柳裸と晴香が待っていた。
 柳裸はストロベリーシロップ、晴香はホイップクリームをメインに選んだようだ。

 何時季は食べ物で栄養を取るのは久しぶりなことに気付いた。
 光合成で生きていける自分より、少女たちが食べるべきかもしれない。

 柳裸と晴香も舌で味わい、オチン×ンにもそれぞれ味付けしてもらった。

 姫李佳からは、いつものように水をもらった。
 甘い。オレンジシロップが溶け出している。
 ちゃんとオチン×ンも入れた。

 帆夏の膣内は、少しずついろいろな味が混ざっていた。
 自在に変形できる膣内にシロップやクリームを貯めている気がする。
 射精するまで、いろいろと塗り込められた。
 精液も分けて貯めるのだろうか。

 練佳はチョコレートシロップだった。
 何時季はチョコレートが似合うのは晶華だと思ったが、さすがにそれを口にはださなかった。

 膣内に挿入したとき、舌で舐められる感触がした。
 練佳は口内に転移ゲートを造ったようだ。
 ちょっと抜け駆けしてオチン×ンを味見された。

 晶華の膣内に舌を差し込んだとき、不思議な感触がした。
 マシュマロをいくつも入れているようだ。
 柔らかくも不思議な刺激だった。
 膣内射精するときも濡れたマシュマロが押しつけられ、精液が絡まった。

「誰が良かった? 誰からその美味しそうなオチン×ンを食べさせてもらえるの?」

 何時季は晶華の膣内から精液まみれのマシュマロを取り出すと、晶華の唇に運んだ。
 マシュマロを詰め込んだ口内に肉棒を含ませる

 最初が晶華なのは、少女たちは予想していた。
 いつも競争して選ばせているような感じでも、何時季はローテーションして公平にしようとしている。
 今回は晶華の番だろうな、とみんな思っていた。

 ある意味順番通りと言っても、今回のような少し特別なエッチで最初にしてもらうのはうらやましい。
 晶華もそれは解っているが、譲るつもりはない。

 肉棒を咥えると、マシュマロの甘さに、蜂蜜やチョコの味が混じる。
 慣れ親しんだと言って良い肉棒の味が、甘い。

 膣内射精した精液も塗り込められている。
 何時季の精液はたっぷり栄養とエネルギーを含んでいて、いつも美味しい。
 それに口内のマシュマロをからめ、味わう。

 口内射精されたとき、初めて何時季の精液を飲んだときのことを思い出した。
 あのときは飢えていた。
 空腹がそれを美味に感じさせた部分もあったと思う。

 しかし空腹という調味料がなくても、何時季のミルクは美味しいのだと再確認した。
 今、空腹ではないお腹を満たしてくれているのも、彼の精液だ。

 光合成できる少年は、少女たちを生かしてくれているのだが、彼はそのことを忘れているかもしれない。
 それで良いのだ。
 ただ気持ち良くなるために注いでくれるだけで良い。

 エッチしなくなったら少女たちは飢えるのだろうが、それはないだろう。
 何時季はスケベで、少女たちに搾られるのが大好きなのだ。

 気がつくと、二回目の口内射精が始まっていた。
 何時季は全員に二回ずつ飲ませるだろう。
 公平にしようとするのは栄養補給だからではない。
 彼はただスケベで、みんなに愛されたい浮気者なのだ。

☆ 空腹の少女と、暗いところにいた少女

 晶華は狂気の気配を感じた。

 まだ施設の調査は終わっていない。
 練佳の転移ゲートもそれなりのエネルギーを使う。
 むやみに使うことはできない。

 施設はかなり広大だった。
 空間転移による移動が前提とされていて、かなり深くまで部屋があった。

 地下深く、誰かが生きていることを感じた。
 精神をつなぐことをためらわせる狂気の気配。
 おそらく出られないのだろう、どうやって生きているのだろうか。

 それでも、その存在を見捨てることはしない。
 自分たちは何時季のおかげで助かった。
 誰かを助けられる可能性があるなら、捨てたくない。

「誰か居るわ。生きてる。でも、危険な心の気配も感じる。練佳、ゲートを造って。かなり深いところだわ」

 全員で空間転移ゲートを抜け、その場所に入った。
 暗い。
 空流が柔らかい光を発し、照明になる。

 空気は毒を含んでいた。硫化水素のようだ。
 火山性のガスだろうか。
 ここで生存している存在はどんなものだろう。

 何時季と姫李佳がガスを分解しつつ進んだ。
 改造体の少女たちの呼吸器のフィルターも限界がある。

 晶華と晴香は二人の少女の気配を捉えていた。
 晶華が声をかける。
「初めまして。私は晶華と言います。どんな状態? ここから出られなくて困ってた?」

 空流の光に照らされて二人の少女が見えてきた。
 寄り添うように座り込んでいる。
 不思議な肌色の眼を隠した少女と、普通の女の子に見える少女が居た。

 普通に見える少女が目隠しの少女を護るように少し前に出た。
「私は咲生逢(さいあ)、この娘は憧姫(しょうき)。お腹が空いて困ってた。出られなくて困ってた。来てくれてありがとう」

 咲生逢が立ち上がり、何時季に近づいてきた。

 なんてこの少年は美味しそうなのだろう。
 咲生逢はこの少年は食べられるために居る、と直感した。
 首筋にかじりつこうとした。

「何をするんだ!」
 空流が少女を突き飛ばす。
 咲生逢は俊敏な動作で体勢を立て直し、今度は空流に噛みつこうとした。
 空流の身体が反射的に光を発し、咲生逢の足先を消滅させる。

 移動が困難になった少女は、舌を噛んだ。
 噛み切る必要はなかった。この行為は一種のスイッチだ。
 復元機能を働かせるためには一度死亡する必要があった。
 そのための毒物が体内に用意されている。それを使用した。

 少女の足先が復元した。
 一瞬、少女の意識が途切れたのを晶華は感じている。
 彼女はおそらく死亡して、その瞬間元に戻った。

「復元者……冥界から拒絶された者?」
 晶華はその技術を聞いたことがあった。あまり造られなかったらしい。
 肉体だけ残っても、戦闘で役に立つのは難しい。
 しかし、消滅兵器が使用されても彼女は戻り、情報を伝えることができる。
 身体が何も残らなくても、再生ではなく完全復元するのだ。
 時間を越えたバックアップからの復元なのかもしれない。

 咲生逢の心が壊れた……変質した過程を想像することができた。
 お腹が空いていると言っていた。食料は無かったのだろう。
 餓死……栄養失調死しても復元するだろうが、お腹は空いたままだ。
 空間転移でしか出入りできないここからは出られない。

 咲生逢は最初に噛みついてきた。
 もう一人の少女……憧姫にそうしようとはしなかったのだろうか。
 憧姫はどうやって生き残ったのだろうか。

 憧姫が咲生逢に抱きつくように抑えた。
「ごめんなさい、何か食べるものはありますか?」
 憧姫が訊く。

「あるわ。飲み物だけど、栄養満点よ。ちょっと待ってね」
 晶華が応えると、柳裸が何時季の肉棒を取り出し、お口で精液を搾る。少年も協力した。
 少し急いだため、強めの刺激になった。何時季は快感に声を上げた。
 柳裸は口内に受けた精液を手のひらに取って差し出した。

 咲生逢は少し顔をしかめた。
 初対面の女の子に差し出すモノなのだろうか。
 栄養として少年の精液を差し出されたことの違和感が少し理性を取り戻させた。
 しかし飢えは自分を狂わせている……少し理性が戻っている間になんとかしたい。

 少年の精液を少し舐め取る。
 美味しかった。
 空腹が調味料となっていることもある。
 そして待ちかねていた栄養、エネルギーも感じる。

 すぐに手のひらで差し出された分を舐め尽くした。
 柳裸が口の中に残していた分を垂らしてくれた。
 舌で受け、味わいたいと思いながら我慢できず飲み干す。

「美味しい……でも、まだ足りない。もっと欲しい」
「もう噛みついたりしない?」
「しない。ごめんなさいでした。でも、もっとくれないとまた噛みつくかも」

 何時季が肉棒を差し出した。
 飢えた少女が吸い付く。乱暴な舌使いと激しい吸引。
 咲生逢が落ち着くまでに何度も口内で射精させられた。
 最低限の空腹を満たすだけでは足りない。
 飢餓の反動は、お腹が膨らむまで飲まないと治まらなかった。

 その間に憧姫が語り始めた。
「私のせいで、ここに居たみんなは死んでしまったの。私はこの毒の中でなら、ずっと生きていられるみたい。この毒をエネルギーにできるみたいなの。私の身体から出ているみたいなのに、それで生きていられるって変な気もするけど」

「でも、ここから出られなかったみんなは毒で死んでしまった。咲生逢だけが残った。そのうち毒には耐性ができたみたいだけど、食べるものは無かったわ。私を食べても良いって言ったんだけど、咲生逢はそうしなかった。自分は死なないから良いって言ってたわ」

「ここに入ってこられたなら、出られるのでしょう? 咲生逢を連れて行ってあげてくれない? 私はその男の子のくれる栄養は要らないけど、咲生逢には必要だわ」

 咲生逢は食事の途中で顔を上げると、抗議した。
「憧姫も一緒じゃなきゃ、行かない。確かにお腹を満たしてくれたけど、私はコレが無くても死なない。憧姫がいなくなったら、死ぬ方法を考えると思う。死ねないかもしれないけど」

「二人とも一緒に来るのに何か問題があるのか?」
 空流がこともなげに言う。

「私の毒も一緒に行くことになるのよ? 咲生逢以外、みんな殺してしまったのに」
 そう言った憧姫は、何時季と姫李佳が毒素を吸収か中和していることに気付いた。

「何時季と姫李佳が居れば、もう死なせなくて済むかもしれないわよ。憧姫さんも一緒に来るべきだわ」
 練佳の指摘はおそらく正しい。
 もしかしたら未来に訪れるかもしれない他の誰かが、毒に耐えられるかどうかは怪しい。

「頼るだけになるけど、良いの?」
「たぶんそうはならないです。何時季さんは姫李佳ちゃんのお水があって、お日様があれば、いくらでも飲ませてくれるみたいですし、エッチしてあげると喜ぶし。憧姫ちゃんも可愛いから、もしよかったらしてあげると良いかもしれないです」

 晴香の言葉に咲生逢が反応する。
「こんなにたくさんの女の子が居るのに、私たちともしたいわけ? 私はもちろん飲ませてもらうためにお世話するけど、栄養としては必要ない憧姫ともしたいの?」

「……憧姫さんが、その、嫌じゃなければ、して欲しい……憧姫さんも可愛いし……あの、でも、毒を大丈夫にするからその代わりに、とかは、できれば止めてほしい。咲生逢さんにも栄養として必要な分は飲ませるけど、僕がしたいからしてもらう分は、その、嫌だったらはっきり断ってほしい」

「何時季さん、格好つけてるけど、嫌だなんて言えないんですけど。だって、その分は他の娘に取られちゃうじゃないですか」
「帆夏、それって嫌がってない……」

「あなたが他の娘とやりまくっているのを見せつけられながら我慢しろって言うなら、一緒に行けないわ。私にもさせてくれるなら一緒に行っても良いです」
 憧姫の言葉は本心なのか、少年を気遣っているのか、恥ずかしいからなのか解らない。

 咲生逢と憧姫も一緒に地上に戻った。
 目隠しをした少女は恐る恐る光の中に出ていった。

 咲生逢はどこからか持ってきた日傘で憧姫を護っている。
「大丈夫みたい。眼は心配だから、まだコレは取らないけど」
 光が無くても生きられる少女は、初めて外の光を浴びたようだ。

☆ 暗い所に居た少女が搾りながら考えたこと

 憧姫のお口は敏感だ。眼を使わないから。
 目隠しした少女は、何時季を咥えながら口の中の感触に集中する。

 光の存在を前提としない少女も、おそらくは人間がベースなのだろう。
 それとも人間の姿に造られたから眼があるのだろうか。

 光の中で生きる、自分とは違う生き物の感触。
 いや、たぶん自分の方が特殊なのだろう。
 何時季は他の娘を活かしている……自分はみんな死なせてしまったのに。
 異質なのは自分の方だ。

 活かされているのは自分も一緒だ。
 何時季と姫李佳がいるから、こうして他の娘と一緒にいられる。
 光の中で生きる少年は、暗い所にいた自分に世界と仲間をくれたのだ。

 これまでは咲生逢だけだった。
 昔、飢えた咲生逢が自分自身の身体をかじっていたことを感じていた。

 自らの肉体のうち口に届くものをかじり尽くし、致命的な部分をかじって死ぬ。
 そしてまた完全な肉体に戻る。
 それでも憧姫に噛みついたりしなかった。

 やがて自分をかじることにも飽きたようだった。
 咲生逢はただそこに居て、時々復元した。
 空腹のまま。

 何時季が来たとき、迷わず噛みついたことに驚いた。
 おそらく何時季だからだ。
 栄養に満ちた少年はとても美味しそうだったのだろう。

 そのとき、何時季に嫉妬した自分にも気付いた。
 咲生逢は噛みついてくれなかった……栄養より話し相手を選んだことは解っていたけど。

 結局、咲生逢に助けられたのだ。
 それ自身が発する毒で生きられる身体が生き続けたとしても、精神は死んだかもしれない。
 二人とも身体は勝手に生き続ける。
 精神は助け合って生き延びたのだ。

 これからも咲生逢とは一緒に居たい。
 でも、何時季や晶華や他の娘とももっと解り合おう。
 広い外の世界にはまだまだ余裕がある。
 もっとたくさん居ても狭くない。

 何時季が射精した。
 飲み込まず溜めようとするが、こぼれそうになって少し飲み込んでしまう。
 美味しい。
 自分もコレでも生きられるのだろうか。

 口の中に溜めた分は、咲生逢に口移しして飲ませた。
 咲生逢とキスしたのは外に出てからが初めてだ。
 何時季が居なかったら、永遠にしなかったかもしれない。
 そのことは感謝している。

 何時季に膣内射精されたら、咲生逢は舐めてくれるだろうか。
 身体が熱くなってきた。
 自分がかなりエッチな娘だったのかもしれないと思う。

 少年はまだできそうだ。
 でも、咲生逢と口付けしている間に晴香と帆夏に取られてしまった。

☆ お腹が空いていた少女が少し自由になること

 咲生逢は他の少女のように何時季を求めない。
 憧姫が搾って分ける分だけ飲んだ。

 少年に求められ、愛されるのは怖い。
 彼はみんなを生かしている。
 大切な者だ。

 憧姫が昔、身体から発生してしまう毒で、周りの者を死なせてしまったのは仕方ない。 自分も何度も死んだ。
 復元するたびに少しずつ耐性ができた。

 憧姫の毒を何時季は問題にしない。
 無害化する。
 だから憧姫も一緒に来てくれた。

 何時季を害してはいけない。
 でも自分はしてしまうかもしれない。
 あんなに美味しそうだから。

 自分は初めて会ったとき、何時季に噛みつこうとした。
 死して復元する身体のせいで精神も少しおかしくなっていた。

 少年はとても美味しそうなのだ。
 咲生逢はお腹が空いて、自分の身体をかじっていたことがある。

 噛みちぎる感触を思い出してしまう。
 何時季はどんな感じだろうか。

「あの、咲生逢さんはエッチさせてはくれないの? もちろん嫌ならしないけど……」
 何時季は咲生逢が気になっているようだ。

 他の娘で満足できないわけではないだろう。
 ただ、咲生逢は可愛いし、何時季はスケベなのだ。

「嫌。あなたなんか嫌い。こんなに美味しそうなのに、我慢させるんだもの」
「何で我慢するの?」
「あなたを食べたくなるから。噛みつきたくなるから」

「でも、咲生逢、我慢しすぎるのはたぶんよくないわ。オマ×コで噛みつくのは構わないんじゃない? あなたの牙は、私が封じてあげる」
 憧姫が咲生逢に口付けした。
 そのまま咲生逢を押し倒し、脚を開く。

 憧姫は咲生逢のオマ×コを開いて何時季を誘う。
 準備できている、と言うより我慢できない状態であることが解る。

「何時季、咲生逢にしてあげて」
「ちょっと待ってよ、私は嫌だって言ってるのよ?」
 そう言いながら、咲生逢は抵抗しない。
 これがチャンスだと解った。

「うん、嫌だって言われた。でも、僕は咲生逢さんとしたい。好きになってくれるようにがんばる」
 何時季が咲生逢に挿入する。

 咲生逢は快感に声を上げようとしたが、唇はまた憧姫に塞がれた。
 何時季は容赦なく攻める。
 少し特別な少女たちを満足させてきた少年の肉棒は咲生逢を容易く堕とす。

「どう、咲生逢、もうしたくない? まだ嫌い?」
「バカ、エッチ、こんなの、良すぎるって解ってた……」

「ごめん、でも咲生逢さんも凄く可愛くて気持ち良い。オマ×コがくにくに噛みついてきて、我慢できない」
 何時季は射精する。

「うう……嫌だって言ったのに……しっかり私を夢中にさせて、あなたが大好きで傷つけられないくらいにしてね? もう我慢できないし、あなたがそうしたんだからね?」

「咲生逢、それちょっとずるい。解るけど、咲生逢だけじゃないんだよ?」
 そう言ったのは憧姫だが、他の少女たちも肯く。
 何時季の意思を尊重して邪魔しなかったが、これ以上は譲れない。

「咲生逢が変なことをしそうになったら僕が止めてあげるよ。咲生逢は消えないからね」 空流が止める、というのは破壊、消滅させることだろう。
 咲生逢は消滅しても未来時間のバックアップから復元する。

 咲生逢は自分が正しく理解されていることに改めて気付いた。
 みんな強く、優しい。
 自分は少し弱っていただけだ。

 何時季はみんなを活かし、護られている。
 大丈夫だ。
 自分も護れるようになろう。

☆ 水と光だけじゃ足りないから

 施設はだいたい調べ尽くしたようだ。
 練佳が空間転移技術を手に入れたのは大収穫だった。新しい仲間も見つけた。
 また次の場所を目指すことにした。

 そのことに最初に気付いたのは咲生逢だった。
「何時季、ちょっと薄くなってない? 味が落ちてる」
 何時季の射精を口内に受けて、心配そうに少年を見る。

「そうかな? ちょっと疲れてるかもしれないけど……」
 何時季も身体の異常に気付いていた。なんだか疲れる。

「はい、横になってくださーい。柳裸ちゃんの健康チェックでーす」
 柳裸は感覚接続だけでなく、相手の身体を調べることもできる。
 癒やすための改造体なのだ。
 何時季のあちこちに触れ、チェックする。

「何時季は特別な身体だから気がつかなかったけど、栄養失調? ビタミン不足でもない? そっか、肥料分が足りないんだ。植物だって水と光だけでもないものね」

「何が必要なんだ? 手に入れば良いけど……絶対手に入れるけど」
 空流が心配そうに決意表明する。

「えーと、普通の植物なら栄養のある土から吸収するんだけど、何時季は結構なんでも良いみたい。全く何も食べなかったから足りなくなったのね」

「でも、食べるものって無いですよね……何時季さんの精液を自分で飲んでも、必要なものは得られないんじゃないでしょうか」
 晴香も不安そうだ。

「私の身体で良ければ食べて。何時季に食べられるのってちょっと嬉しいかも」
「何時季に変なことさせるな!」
 咲生逢の言葉に空流が怒るが、それも方法かもしれない。

「何時季、ちょっと試してみてね」
 晶華が何時季を押し倒し、顔の上にまたがった。下着を着けていない。

「ん、んぷっ……」
 何時季は思わず膣口を舐めてしまう。
 少女たちの性欲に応えるために何度も味わってきた。

 液体が溢れてきた。
 愛液では無い。小水、オシッコだ。
 姫李佳の水と同じ感じで飲んでしまう。

 美味しかった。足りなかった成分を含んでいる。
 普通はそのまま植物に与えないが、少年の動物の部分が栄養として取り込んでゆく。

「補給できてるみたい。んふふ、何時季のために飲ませてあげなきゃね」
 晶華が出し終わると、柳裸がまたがった。
 少年に小水を飲ませるのは背徳的に気持ち良い。
 しかも彼に必要なことだ。遠慮しなくて良い。

「姫李佳ちゃんはいつもこんなことしてるんだよね、うらやましかった……あっ、何時季、オマ×コ舐めるの上手すぎだよ……姫李佳ちゃんで上手になったんだね……ずるいよ」
 絶頂とともに排尿する。少年が美味しそうに飲む。

「ん、元気になってきたみたいね。ちゃんとチェックしないとね」
 咲生逢が何時季の肉棒を含もうとすると、憧姫と姫李佳が割り込んできた。

「最初にお味の変化に気付くなんて、咲生逢って美食家だったのね。それとも舌が特別に敏感なのかしら?」
 眼を使わない憧姫は舌の感覚にも自信があった。咲生逢に先を越されたのが少し悔しい。

「いいですか、お水は私があげてるんですよ。何時季に一番必要なのは私なんです。あと、お水を出すのと、オシッコを出すのは違うんです。私だって何時季にオシッコ飲ませてあげられるんです」
 姫李佳がなんだか怒っている。

「確かに、姫李佳ちゃんのお水がまず必要なのは認めます。私たちだって飲ませてもらってるしね。私たちにお水を飲ませてくれなければ、姫李佳ちゃんだけが何時季に飲ませることもできますよ。私たちはオシッコ出なくなるでしょうから」
 帆夏の言葉に姫李佳は驚く。そこまで考えていなかった。

「そんなことしたら、何時季に嫌われると思うし、何時季はちょっとしか出なくてもみんなのオシッコ飲むと思うし……水と栄養だけじゃ、たぶんダメだから、独り占めはしないわ。でも、これまでは飲ませるのは私だけだったの、私だってオシッコ飲んではもらわなかったの! ああ、もう、このもやもやした気持ちは何時季のせいよね?」

 少女たちは今、姫李佳が肉棒にしゃぶりつくのを邪魔しない。
 嫉妬は少年の大好物だ。

 口内で射精したとき、何時季は空流のオシッコを飲み干したところだった。
「ちょっと、ちょっと多すぎる、っていうか、普通のお水が欲しい……」

「私たちのは飲んでくれないんですか?」
 晴香と咲生逢、憧姫、練佳、姫李佳はまだ飲ませていない。

「えっと……必要だし飲みたいけど、お水も飲まないと……」
「いつでもいいよ、何時季にお水をあげるのは私の特権で、いつでもあげるって決めたもの」
 姫李佳が嬉しそうに脚を開く。
 少年が飛びついてきた。

 膣口から水を溢れさせるより先に舌を差し込まれ、吸われる。
 確かに姫李佳の水は尿道から出ていないようだ。
「ちょっと、何時季、激しいよ、ああん、いっぱいあげるから、ちょっと待って」

 溢れる水を飲む少年はいつもより元気に見える。足りなかったものを補給したからだろうか。生命力に満ちた感じがする。本当に元気になった少年を初めて見た気がした。

「んっ、終わりだよ、あ、足りないの? ごめんね、ちょっと待ってね」
 姫李佳の水はすぐに造れるわけではない。
 造水機能の仕組みは晶華や練佳にもよく解らない。

 何時季は終わりを告げられると、そのまま姫李佳のオマ×コに挿入した。
「ちょっと何時季、私何度もイッてるのに……あ、何? 激しいっ!」

「ありがとう姫李佳、みんなもありがとう! 元気になったみたい。えっと、ちょっと元気になりすぎたみたいで、エッチしたくてたまらない……」

「そんな期待させること言っていいんですか? みんな満足させてくれるんでしょうね?」
 晴香が何時季と姫李佳を浮かび上がらせる。結合部に舌をねじ込むためだ。

 その後も何時季が少女たちを犯し続けた。
 いつしか飲みきれなくなり、膣内、子宮にも貯めきれなくなった。
 帆夏は身体を変形させてかなり貯められるが、晶華が止めた。

 貯めておけない分は、練佳がエネルギーに変換して転移ゲートを作った。
 かなり遠くにつなげられたようだ。
 持っている地図では確認できない。

 何処に出るのだろうか。
 少年と少女たちは迷わずゲートをくぐった。

☆ 水の上に出たこと

 水。大量の水があった。
 ゲートを抜けた先、そこは海だった。

「ああ、まだ、干上がってはいなかったのか。それはそうだ」
 海が無くなっていたら、気候変動はもっと恐ろしいことになっていただろう。

 陸地が見えない。
 全員、海面に落下した。すぐに晴香が全員を浮かび上がらせる。

「うーん、船が欲しいわね」
 空間転移ゲートはもう閉じている。

「そうだな。でも、木材とか無いだろうしなあ」
「何時季に樹になってもらう?」

「ちょっと待って。船を造れるかも。姫李佳、手伝って。あなたの物質生成はお水までだけど、組み換えは色々できるかも」
 練佳が姫李佳の能力を解放する。

「組み替え? 化学合成の応用?」
「ええ、何時季にもらったエネルギーがまだ余ってるから……私の能力と合わせて」

 練佳の電磁力コントロールが素材粒子を集める。姫李佳の化学合成能力が足りない材料を合成する。

「かなり色々溶けてるわね。何時季にもらったエネルギーがまだあるから、分けられるわ」
 海水中からヨットが現れる。

「練佳と姫李佳って、かなり凄いよな。戦闘用のチームだった僕たちとは違うよね」
 空流は自分に何ができるか考える。破壊と消滅。その能力は、攻撃の要だけど。もう、戦争は終わったらしい。

「私と姫李佳は補給用のユニットだったからね。でも、何時季の栄養でエネルギーをもらえるからよ。姫李佳も私も、何時季がいなかったら役に立たないわ」

「何時季も、戦闘用じゃないよね? やっぱり補給用?」
「うん、そのためもあったみたい。でも、僕は本当は、緑を増やすタネだったみたい」

「タネ?」
「僕が樹になるたびに、みんなが連れ戻してくれるよね? 樹になって、そのまま森になって、そういうことを望まれてたみたい」
 それを言う何時季はどこか寂しそうに見える。

「やっぱりそうなのね。ねえ、何時季、あなたはそうしたいの? たぶん、今のまま、男の子のままで居たいのよね?」
 晶華は知っている。でも訊く。何時季自身は、自分の気持ちを知らないかもしれない。

「うん、自分じゃ戻れないから、樹になるのは怖い……森になれば、もっとたくさんの生命を養えると思うけど」

「必要無いわ。私たちは今の何時季で足りてるし。私と咲生逢は、たぶんずっと生きるから、増えなくても良いし。もっとたくさんになんて、ならないわ」
 憧姫がどこか怒ったような声で言う。何時季と受精することはできないだろう。違う生き物だ。

「そうね、何もなければ、憧姫と咲生逢は生き続けるわね。でも、何があるか解らないわ。増えるのも良いわよ。と言っても、妊娠とか難しいけどね」
 改造された身体のおかげで生きている。生き物として増えることはできないかもしれない。
 何時季の精液も、ただの栄養のような気がする。精液と言うのは違うのだろう。果汁や乳のようなものだ。ただ、彼が喜んで出すようにするために、オチン×ンから出るのだろう。

「何時季は光合成で、食べずにエネルギーを造る。最初の生産者だ。姫李佳は何時季にエネルギーをもらって、水を作って、彼と僕たちを活かす」
 空流は自分に確認する。大事なものは何か。

「僕たちは活かしてもらってる。でも、栄養だけじゃ足りないかもしれないから。自分を護ることも必要かもしれない。何時季と姫李佳は、僕たちが護る」
 空流にできること。破壊の能力。
 もともと、そのための、護るための能力だったはずだ。何かおかしいけど。

 光をエネルギーにするだけなら、空流にもできる。ただ、それは破壊のパワーの充填に使えるだけだ。命を生かすことはできない。自分の命すらも。

「そうね、護りながら、探しましょう。助けられる誰かを。それも増えるということよ」
 晶華は何かを夢見ている。
 この世界に再び生命が満ちること?

「子孫を残せないとしても、必死に生きるものよ。そのために、他の生き物を食べようとするのも普通のこと」

「でも、何時季は、食べきれない程の栄養をみんなにくれるわ。会えて良かった」

 そう、自分たちは生きている。生きようと思うことができる。何時季の果汁を飲みたいと思うことができる。

 他の生き物は見つからなかった。見つけたら、食べようとしたかもしれない。
 食べきれない何時季のおかげで生きている。

「海か。陸上より、生命が残ってる可能性は高いよね。でも、会うのは難しいかな」
 海は広いだけでなく、深い。

「生命に会えたら、食べる?」
 憧姫が訊く。何時季の栄養さえ、必要ではない少女。生存するためだけなら、食べる必要がない。

「どうかな。食べられない生き物もいるし、食べられる生き物でも、食べないかも。寂しくなるからね」

「そうね、何時季がいるもんね。栄養をもらっても、いなくならない何時季がいてくれるもの」

「さて、じゃあ、何時季を逃がさないようにご奉仕しようかな」
 空流が何時季の脚を抱きしめる。胸が当たる。
 頬ずりされる感触。

 何時季は思わず額に触れてしまう。咥えて欲しいというサインだ。

「んふふ……」
 口淫を許可された空流が嬉しそうに少年の肉棒を取り出す。

 非難する者はない。彼が望んだ。
 みんな何時季の周りに集まっている。手が届く位置に。

「気持ち良い風ね」
 青空の下でするのは初めてではない。
 でも、水平線を観ながらは初めてだ。

☆ 海に棲む少女に会ったこと

 水平線に日が沈む。

「休みましょう。明日、海の中も探してみましょう」
 かなり先まで陸が見えない。晴香が上空から確認した。

 生き物の気配は無い。海水中に微生物などは居るかもしれないが。それも解らない。海を探るのは難しい。

「夜ね。暗くなるから、夜なのよね」
 憧姫は目を覆っている。でも、光の感触は解る。太陽のそれは、痛いくらいだ。今、光の気配が遠ざかっている。

「そうね。あの部屋は、ずっと夜だったわね」
 咲生逢も応える。憧姫の身体に棲む菌類が、仄かに光っていた。それが解ったのは、夜だったからだろう。

「あそこから出られても、お腹は空くわよ。何時季が居ないと」
 帆夏が言う通りだ。お腹を空かせていたのは、閉じ込められていた憧姫と咲生逢だけではない。今、陸は見えないが、陸にも食べるものは見つからなかった。

 何時季と姫李佳が居るから、飢えることはない。太陽の光は十分以上だ。

「みんな、生き物なのよね。私も」
 練佳はそのことが少し疎ましい。電磁力を操る自分は、完全なロボットでも良かった気がする。

「私はアンドロイドや兵器を造ることもできるけど、私自身は生き物。やっぱり、お腹は空くわ」
 この船も練佳が造った。何時季に栄養をもらって。

 船が大きく揺れた。
「何? 何か、ぶつかった?」

 静かに見えていた海が、大きく落ち込んだ。
 まるで落とし穴のようだ。
 上の方で水が閉じた。降ってはこなかった。

「渦、じゃないな。泡? 大きな泡に包まれてるみたいだ」

 船を包む泡の側面、水の壁から、何人かの少女が顔を出した。

「あなたたち、どうやって来たの? その船、昨日まで無かったわ。あなたたちの気配も」

「空間転移してきたの。私は晶華。あなたたちは海に棲んでるの?」

「ええ、そうよ。何をしに来たの?」
「仲間を探しに来たの」

「仲間? 陸の生き物が、海に仲間を探しに来たの?」
 海に棲むらしい少女たちは、人間と同じ姿に見える。おそらく、改造された人間だろう。
 棲む所が違っても、同じような存在だろう。でも。

「ええ、そうね、私たちは、あなたたちのようには、海では暮らせないわね。でも、こうしてお話はできるわ。ねえ、栄養は、足りてる?」
 足りているようには見えない。

「足りなければ、何かくれるの? 食料、持ってるの? それとも、あなたたちを食べさせてくれるの? ええ、お腹は空いてるわ」
「何時季というこの男の子が、光合成で栄養を作ってくれてるの。あなたたちも可愛いから、飲ませてもらえるかも。協力してくれない? 海はどうなってるのか、あなたたちはどうなってるのか、色々教えて」

「可愛いから飲ませる? 男の子が、私たちが可愛いから飲ませるって、もしかして……」
「ええ、彼の精液。でも、光合成で作った果汁のようなもの。栄養満点よ」

 どこか怒っていたような海の少女たちが、一瞬救いを求めるように何時季を見た。
 でも、すぐに睨みつける。

「私たち、仲間を食べてたわ。私たちも、そのうち、食べられるはずだった。その男の子、たぶん、足りないわ。どれだけ出せるの? 足りないなら、要らないわ。帰って。食べ尽くされる前に、帰って!」

「ちょっと待って、キミたち、たくさん居るのか? 仲間を食べて、食べられて、それでも居なくならないくらい。それとも、何かで増えるのか?」
 空流が訊く。

「たくさん居るわ。そして、増えるわ。どうして増えるのか、知らないわ」
「みんな泳いで、探してるのよ。食べるものを。見つからないから、少しずつ、仲間を食べるわ。食べられるわ」

「どこから来たの? どこで増えたの?」

 その質問に、海の少女たちが怯える。

「……秘密よ。言えないわ。生まれる所、知られたら、みんな、食べられるわ。生まれたての私たち、みんな、食べられちゃうわ。そして、生まれなくなるわ」

「知らないのね。忘れるようになってるのね。そうね、大事な場所だものね。あなたたちは、探索用の端末。本隊の位置を知られないために、忘れるようになってる。何人かで群れを作って、互いを食べながら、探すのね」
 晶華は海の少女たちの精神に触れ、そのことを知った。

「そうよ、私たち、そんなモノよ。そんな私たちに、あなたたちのこと、その男の子のこと、知られたのよ? 逃げなさい! いや、私たちのこと、狩れば? たまには、違うモノ食べたら?」

 海の少女たちは、怖がっている。

 何時季に希望を感じる。彼を食べなくても、彼が食べなくても、飲ませてくれるらしい。
 でも、大丈夫なのか? 食べたくなって、食べ尽くしてしまうのではないか?

 自分たちは我慢できたとしても。
 自分たちを生んだどこか。飢えを満たすため、食べ物を探すために、離れなければならなかった場所。
 そこには、何時季は、足りないのではないか。

「さてと、美味しそうな女の子たち、捕まえようよ。何時季のために。ドスケベなんだから、飲ませたいと思ってるわよ」
 柳裸が空流と帆夏を促す。

「そうだな、何時季を心配して、帰れと言ってくれる女の子、もう好きになってるだろうし」
「逃がしたら、後悔しそうよね」

 空流が爆発した。海の少女たちには、そう感じられた。
 圧倒的な光。それは指向性を持ち、少女たちの視覚を奪い、衝撃を伴って気絶させた。

 帆夏の髪が伸び、気絶した少女たちを捕獲した。指先を伸ばすのは、何時季の前では避けた。そのことは、仲間たちには解ってしまうだろう。でも、そのことを言ったら怒る。それも解るだろう。

 捕獲した少女たちに柳裸が触れた。神経接続し、癒し、情報を集める。

「なるほど、本人も気付かないうちに、情報は送信されてるのね。低周波の音かな? もう、知られてるわ。彼女たちを送り出した何かに」

「接続を切れる? 私も手伝うわ」
「どっちかと言えば、晶華ちゃんの分野かな。一応、脳神経関連は調整しておくね」
 落ち着くこと、判断力などは、肉体と神経の正常さに多くを依存している。柳裸はそこを癒すことができる。

「仲間を食べるのが辛かったのね。それが平気な心じゃなくて、普通の女の子の心に造られたのが、辛かったのね。でも、だから、仲間になれるわ。きっと」
 晶華は彼女たちの心に触れて、励まし、受け止めた。彼女には、解るのだ。言葉で伝えられない苦しさを、解ってくれるのだ。

 船は浮かび上がり、泡の拘束を解かれていた。

 皆、船室に入る。
 夜だ。

 星空の下も悪くないけど。
 雨が降ったら、濡れるだろう。

☆ 痛くない栄養

 海の少女たちが目覚める。
 落ち着いているようだ。柳裸と晶華に癒された。

「どうしたの? 私たちをどうするの? 何かするのよね?」
「うん、あの、ごめん、勝手に捕まえちゃってごめん。もっと落ち着いて話したかった」
 何時季が謝る。

「飲ませるんじゃないの? あなたの精液。光栄ね。こんなに綺麗な愛人がたくさん居るあなたに、選んでもらえたんじゃないの?」
「えっと、嫌ならしないよ。キミたちがしてくれなくても、みんなが搾ってくれた分を、飲ませてあげられる」

「どんな趣味よ。結局、私たちが精液飲むのを見たいの?」
「いや、お腹が空いてる娘に飲ませてあげたい。あ、違わないな……えっと、食べ物を探してたんだよね? 僕の果汁、精液じゃダメかな? 試してももらえないかな? もし、試して、気に入ってくれたら、その、やっぱり直接、飲んでくれないかな? 女の子にオチン×ン咥えて、舐めてもらえるの、気持ち良いんだ」

「これだけの女の子が居ても足りないの? 私たちも必要なの? そんなことないように見えるけど」

「ええ、足りないなんてことは無いはず。でも、足りないのよ。何時季はドスケベだから。新しい女の子に会ったら、飲ませたくなっちゃうのよ。解るでしょ? 男って、そんなものよ」
「晶華、確かにそうだけど、それを言われちゃうのはちょっと……興奮しちゃうんだけど」

「男、か。そうね、そうだわ。植物のような身体でも、あなた、男なのね。私たち、女だわ。飲ませたいわよね。飲みたいって言ったら、喜んじゃうの?」

「うん、栄養として、栄養だから飲んでくれる、それでも良い。僕はそれで気持ち良い。でも、あの、エッチしたくて求めてくれたら、もっと気持ち良くたくさん出せる。オマ×コに注いでも良いなら、君たちも気持ち良いかも。みんな、そこから飲んでくれるから、無駄にはならないよ」

「エッチしたいだけ? 愛してはくれないの? ただの性処理のため?」

 何時季は口ごもる。
 みんな好きだ。性処理のためだけではない、そう言いたい。

 でも、どう言えば良いのだろう?
 結局、そのように見えるはずだ。
 でも。

「性処理のため、とか、そういう感じに考えるなら、してあげない。って言いたいけど、それも違う。キミたち綺麗で、抱きしめたくなる。抱きしめるだけじゃ、オチン×ンが切なくて、収まらない。それって、エッチしたいだけ、ああ、そうだね、まだ、そう見えるかも、でも……」

「僕がこういう身体になってること、活かしたい。えっと、みんなに仲良くしてほしいんだ。お腹が空いた時、仲間を食べるしかなかった、そんな娘に、飲ませてあげられる。何で、僕を誘惑しないの?」

「僕が居れば、キミたち全員、食べられなくて良いかもしれない。これって、愛してない? そのために、気持ち良くなっちゃダメ?」

 どこか怒ったような何時季を、咲生逢が後ろから抱きしめる。
「愛されてるわ。ありがとう、何時季。ずっとお腹が空いてた私、それでも死ねなかった私、あなたの愛、感じたわ」

「自分の身体を食べたこともあったわ。復元する私は、それができるの。憧姫も、身体を食べて良いって言ってくれたわ。憧姫も、少しかじられても再生するかも。でも、憧姫をかじったら、痛いわ。それはしなかった。自分をかじるのは、痛かったから」

「何時季も気持ち良くなってくれる。そして、私は、美味しい果汁ミルクが飲める。凄いわ」

「そして、オマ×コに射精してもらえるのは、気持ち良いわ。憧姫もみんなもオマ×コから飲んでくれて、舌で掻き出されて吸われるのも気持ち良いわ。何時季は、食欲だけじゃなく、性欲も満たしてくれるわ。凄いわ」

「何時季の愛が解らない娘に、させてあげる必要ないわよ。私に、いっぱいさせて。あの娘たちの空腹を満たす分は、私が搾ってあげる。ねえ、何時季、私の旦那様。咲生逢はあなたの愛奴隷よ。何時季の愛に包まれて、幸せよ」

「咲生逢、狡い! 何時季のこと、旦那様って呼ぶなんて!」
 姫李佳も何時季にくっついてくる。

「姫李佳も呼んであげれば?」
「旦那様……うーん、ちょっと違うな。何時季の反応が違うわ。ねえ、何時季、姫李佳にはどう呼ばれたいの? 御主人様、あなた、ダーリン……あ、ダーリン? あ、恥ずかしそうね、可愛い! ダーリン、姫李佳のダーリン!」

「旦那様、咲生逢を使ってください! いえ、ご奉仕します、させてください!」
「ダーリン、姫李佳のオマ×コにして! ダーリンのオチン×ン、いつも待ってるんだよ」

「いつもこんな感じなの?」
 海の少女たちが、晶華に訊く。あきれている。毒気を抜かれた。

「そうよ。ちょっと待ってね、すぐに二人が搾ってくれるから。それとも、飲みたくない? 食べるもの、栄養、探してたんでしょ?」

 咲生逢と姫李佳は。お尻を列べて交互に何時季に突かれている。
「あっ、あっ、あっ、旦那様、嬉しい!」
「あん、あん、ダーリン、いっぱい射精してね!」

 海の少女たちの一人が、咲生逢の横にお尻を列べた。
「使って良いわよ。私で良いなら」

「使ってほしい? 僕のオチン×ン、入れてほしい?」
「私のオマ×コじゃ不満?」

「いや、入れたい、使ってみたい、でも、咲生逢と姫李佳としてるし、望んでくれないなら、二人とも怒ると思う」
「あん、そうよ! 私たち、ダーリンにお願いしたんだから!」
「旦那様、ありがとうございます!」

「お願い、してください! 言ったわよ! 仲間に飲ませる分、私に搾らせて! お願い!」
「ありがとう、させてもらう!」
 初めての膣に、まず指で触れる。不思議なほど潤っていた。
 大丈夫そうだ。肉棒を突き込む。

「あっ、ああっ、あん! どう? 気持ち良い? 射精できそう?」
「キミは、どう? 気持ち良い?」
「良いわ、気持ち良いわ」
 少女の表情は硬い。演技もまだ慣れていない。

「はーい、お手伝い」
 柳裸が少女に触れ、神経系を調整する。性感を解放する。
「ああーっ! あ、気持ち良い、気持ち良くなっちゃった! あ、イク! イッてる! あ、ああっ、止まらない、あ!……」
 膣奥で射精が始まる。その感触が心を融かす。

「ふーっ……良かったよ」
 何時季に頭を撫でられる。気持ち良い。

 何時季が回り込み、肉棒を眼前に突きつけられた。
 白い液体がまとわりつくそれは、まだ硬い。

 しゃぶりついた。
 美味しい。中に残っている分を吸い、飲み下す。
 栄養の塊が喉を抜け、空腹を癒やす。

 夢中でしゃぶっていると、それが膨れ上がり、再び大量の果汁を放出した。
 美味しい、飲む。
 多すぎる、唇から溢れる。ああ、もったいない……

 口中に少し貯め、離れた。
 仲間が吸い付いてきた。飲ませる。
 膣にも唇の感触。舌が入ってくる。吸われている。

 膣を吸う仲間に、噛みつかれはしない。
 痛くない、いや、気持ち良い。

「解ってた、ありがとう。何時季さん、あなたが、探してた人。お願い、みんなにさせて」

 海の少女たちが、唇を開き、舌を出す。
 何時季の肉棒が近付くと、自分から吸いつく。

 口淫しながら、自分のオマ×コをいじる。お腹いっぱいになったら、こっちを使ってもらえるように。

☆ 浮気のお願い、嫉妬の誘惑

 何時季の果汁を求める食欲と淫欲の宴は、全員を巻き込んで続いた。これまでの愛人たちにも、栄養は必要だ。

 海の少女たちは、初めて会った時の姫李佳や咲生逢ほど飢えていなかった。

 食べるものはあったのだ。仲間を食べていた。一番やせ細った者から、身体を仲間に捧げてきた。人数は減るが、いきなりゼロにはならない。一人だけより、長く生きられた。

 いつか、自分も食べられると思っていた。それを待っていた。
 噛みちぎられるその時、笑えるだろう。仲間を生かせる。自分もそうして、生かしてもらってきた。

 でも、それは、探すためだったはずだ。
 他の栄養を探すため。そのために、生きる。
 そのために、仲間を食べていた。

 やっと、見つけた。
 もう、食べられる必要は無い。
 食べられることを望んだら、怒られるだろう。
 これまで食べた、生かしてくれた仲間に、怒られるだろう。

「何時季さん、お願いがあるの」
 海の少女たちのリーダーらしい彼女は、今、何時季に貫かれ、腰をくねらせて奉仕している。他の少女も、彼に柔らかい身体を押しつけている。
 柳裸に調整された感覚は、初めての性行為を容易に受け入れ、快感を感じている。気持ち良い、そして、何時季も悦ばせたい。彼は、少女たちが快楽に溺れる姿が好きなようだ。感じてみせる。彼のために。

「お願い? 何?」
「私たちの仲間、他にも居るはずなの。みんなを助けて欲しいの。あ、でも、無理かもしれない。たぶん、人数が多すぎるわ。あなたの果汁精液、足りないと思う。でも」

「あなたのこと、知ったら、知るだけで、楽になるかも。私たちの隊だけでも、あなたに助けられたこと知ったら、みんな、少し楽に、幸せになれるかも。私たちの隊は、届いたのよ。探してたものに。他の隊も、届くかも。その夢、まだ、信じられるかも」

 快楽を貪る何時季の動きが激しくなった。
「知らせるだけなんて、飲ませてあげられないなんて、僕が嫌だ! 僕は、お腹が空いてる娘に飲ませるのが好きなんだ! 僕は、こんなに出せる!」
 彼女の膣内をえぐり、その快感で射精する。
 何度目の射精だろう。明らかに、普通の男性には不可能な量、回数だ。でも、それでも、足りないかもしれない。

「ふーっ……でも、足りないんだろうな。それも解る。一日中射精することが出来ても、足りないんだろう。それは解る」
 そう、自分一人では足りないだろう。そして、自分にできるもう一つのことをすれば、足りるかもしれない。

「何時季、森になる必要は無いわよ。あなたが森になっても、足りないわ。あなたのこと、抱きしめて、ご奉仕して、その気持ち良さそうな可愛い顔見られないなら、足りないわ。栄養だけじゃダメ、知ってるでしょ?」
 練佳の言葉にみんな肯く。

「足りなければ、何時季を奪い合うことになるかもね。それでも良いわ。そして、何時季を奪う方法は、暴力とか、泣き落としじゃダメだわ。誘惑よ。でも、それは、何時季しだいでもあるわ」

「何時季、あなたが決めなければならないことよ。可哀想だから飲ませる、それは、そのことで気持ち良くなるための、感情の味付けなら、構わないわ。でも、それだけにこだわるなら、みんな、可哀想な女の子になっちゃうわ。なろうとするわ。そして、自分を悲しまない、強い女の子は、あなたを諦めるわ。それで良いの?」

「ダメだ。練佳、ありがとう! そうだ、それは、違う」

「可哀想だからじゃ、ダメだ。僕の精液が無ければ、仲間を食べるしかない。食べられるしかない。だから、僕を誘惑してくれた。求めてくれた。でも、可愛い女の子じゃなかったら、それは、できなかった」

「可哀想だから飲ませたい、その相手が可愛い女の子だったから、助かった。たくさん、出せた。そうじゃなかったら、オナニーして渡しただろうけど。でも、オナニーじゃ、こんなに出せなかったと思う。出すことも、嫌になったかもしれない」

「キミたちの仲間、みんな、キミたちみたいな、可愛い女の子なんだろうな。僕の果汁、もっとたくさん出すお手伝い、頼みたい。もちろん、報酬は出す。飲ませてあげられる。紹介して欲しい」

「あー、えーと、何時季さん、つまり、私たちの仲間、姉妹、みんなにあなたのオチン×ン咥えさせたり、オマ×コを使いたいってこと? 何百人、いや、もっと多いかもしれない姉妹全員を、愛人にしたいのね?」

「うん、そう。えっと、その、かなり、なんだか、ダメなこと言ってると思う。みんな、こんなに、愛してくれて、エッチしてくれて、させてくれて、それなのに、もっと欲しいなんて、でも」

「それは、僕がたくさんの女の子を求めるのは、僕が諦めて森になるより、キミたちが仲間を助けることを諦めるより、良いことだと思う。たくさん射精すれば良いんだ。それは、助けるためじゃなくて、僕が気持ち良くなるためだ。当然だよね、僕は男で、相手は可愛い女の子たちなんだから」

「ありがとう、何時季さん。助けてくれるために、ただのドスケベでいてくれて、ありがとう。でもね、でもね」

「ちょっと、赦せない。私、女だから。ああーっ、もう、私からお願いしたのに。仲間を助けてって、お願いしたのに、後悔してるわ」

「浮気のお願い、しちゃった。皆さん、何時季さんの恋人たち、ごめんなさい。ドスケベの何時季さんに、もっと浮気してって、女の子紹介しますからって、言っちゃった」

「旦那様、咲生逢で足りないってことですよね? いや、咲生逢と憧姫と姫李佳ちゃんと、晶華と柳裸と空流と、帆夏と晴香と練佳と、今居る海の女の子たちと、多いなあ……それでも足りないって……足りないこと、証明してくれますよね?」
「咲生逢、何時季は嫉妬されるのも好きだから、それ、何時季の思い通りよ。まあ、知ってるわよね。それに、何時季の思い通りで良いのよ。さーて、いっぱい誘惑しましょうか。何時季に強制するのは禁止だけど、誘惑して、求められるのは構わないわ」

 夜が明けてきた。光が射してくる。
 何時季は船室を出る。みんな着いてくる。

 何時季の光合成が始まる。
 たくさん出せるように、いっぱい光を浴びよう。

 愛人たちは、彼を誘惑するために様々なポーズをとる。
 オマ×コを開いて見せつけるのも、みんな同じならアドバンテージにならない。お尻も脚も好きなのは知ってる。

 大事なのは表情だ。
 悲しげな顔ではいけない。物欲しげなのは悪くない。
 でも、笑顔。
 彼を元気にするのが、効果的だ。

☆ 太陽から離れた所へ

 朝日を浴びた何時季は愛人たちを貪った。異常な精力。
「あっ、あっ、昨夜もずっとしてたのに、まだこんなにしてくれるの?」
「うん、だって、これから、もっとたくさんの女の子に飲ませるんだもの、このくらいで休んでいられないよ」
「うー……頼んだのは私だけど……」

「キミたち、名前は無いの?」
 何時季が海の少女たちに訊く。
「あるわ。でも自分たちで勝手に付けた名前よ。私たちは何人か集まって行動してたから、名前は必要だわ」
「教えて」
「私はリナ。この娘はヤナ。あの娘は……」

 その時、船が大きく揺れた。落下感覚。船を支えているはずの水に穴が空いたかのようだ。リナたちが一度この船を捕らえたのもそんなやり方だった。
「来たわね。リナちゃんの仲間ね」
 晶華は落ち着いている。彼女には解っていたのだろう。精神感応可能な範囲は結構広いらしい。

「深いな、太陽が遠くなるな。何時季が心配だな」
 空流はそう言いながら少し期待している。自分は光を発することができる。何時季の光合成もしばらくは保つだろう。何時季の特別になれるかもしれない。でも、何時季が困ることに期待する自分もうとましい。少年に必要とされる、それは嬉しいことだけど。

 船は大きな泡に包まれたまま沈んでゆく。
「海底に基地でもあるのかな? やっぱり戦争のために造られた何かかな」
「私たちはそうだものね。その可能性は高いわね。でも戦うためより、生き残るために造られた何かかもね。咲生逢と憧姫みたいに」

「私は生き残るために役立ちはしなかったわ。そのためだったとしても、私は試作品で失敗作だったのでしょう。私の毒は咲生逢以外、みんな殺してしまったわ。何時季と姫李佳が居なければ、みんなとも一緒に居られないわ」
 憧姫が発する、おそらくは硫化水素のガスを、何時季と姫李佳が分解吸収して無害化している。二人の浄化能力は凄い。
 生き残るために造られ、成功したのは何時季と姫李佳だろう。光合成できる少年と水を生成できる少女。

「海底には、憧姫さんみたいな生き物が居たらしいわ。光合成に依存しない化学合成生態系というモノがあったらしいわ」
 リナのその知識はデータに過ぎない。見たことは無い。海中を旅するために与えられた、もう居ないかもしれない生き物の知識だ。
「私はその生き物がモデルなのかもね。それでどうしようとしたのか、何のために私を造ったのか解らないけど。まあ試作品ってそういうものよね」
 憧姫は自分のことが解らない。あの施設でも憧姫のデータは失われていた。

「でも、その生き物たちは海底からの硫化水素をエネルギーにしてるらしいわ。自分でエネルギーを出す訳でもないはず。憧姫さんが自分から出る硫化水素ガスで生きられるのは不思議だわ」
「憧姫は少し特別よね。光も何も無くても生きられるみたい。体内に十分なエネルギー源があるか、空間転移で海底や地底からエネルギーを取っているのか。憧姫が居た施設では空間転移が普通に使われてたから、体内に転移ゲートがあるのかも」
 晶華の知識に咲生逢の復元能力はあった。憧姫のことは解らない。戦闘用としては使いにくそうな身体だから、やはり実験体なのだろう。実験体の中には特殊で使いにくい能力を持つ者も現れる。

「そうね、そうかもね。この身体のおかげで私は生き残れたわ。あの、食べ物も出口も無い部屋で生き残れたわ。私と一緒でも死ななかった咲生逢のおかげで心も生きられた。みんなのおかげであの部屋から出られた」
「そんな私も、何かしたいわ。何かしてあげたい。何時季みたいに、みんなの、誰かの役に立ちたい。出来ないかもしれないけど」
「できるわ。できてるわよ。こんな、食べ物も他人もなかなか見つからない世界で一緒に居てくれる、凄いことよ」
「それも何時季と姫李佳ちゃんのおかげだけどね。ありがとう」

「そうよ憧姫、あなたは何時季じゃない、姫李佳でもないわ。あなたにできることは違った。憧姫は毒を発してしまう身体だから、何かしてあげたいと思うなら、他人から離れようとするでしょう。それは正しいことだったわ。離れることで、あなたの毒から他人を護れる。でも、寂しいわ。そんな憧姫という女の子が居ること知ってしまったから、もう独りにしたくないの。ごめんね、がんばって一緒に居て」
 晶華は憧姫と咲生逢を見つけてしまった。連れ出してしまった。だからもう仕方ないのだ。それに何時季と姫李佳が一緒なら大丈夫だ。

 どこかのんびりと会話している。皆、大きな泡に運ばれることを受け入れている。何処に着くのか楽しみだ。目指す場所は、誰かが居る場所。連れて行ってくれるなら拒む必要はない。
 落下感覚が止まった。進行方向が変わる。運ばれている。泡の外は暗い。夜空のようだ。
 星のような灯りが見えてきた。光を灯すエネルギーはあるらしい。でも、栄養にはできなかったのだろう。だから何時季を呼ぶ。
 船を包む泡が割れると、洞窟の中だった。

☆ 深い場所に居たモノ

「ようこそ、何時季さんと恋人さんたち」
 綺麗な声。洞窟の中、良く響いた。
 人影は見えない。スピーカーでもあるのだろう。

「初めまして、私は晶華。もう知ってたかな。あなたは?」
「乙姫とでも名乗りたいけど、違います。砂花菜(さかな)と言います」
「確かに乙姫は違うんだろうけど、砂花菜って名前も凄いな」

 広い洞窟の中、人工物と思われる建物がある。かつての海底基地だろうか。
 その船着場に着くはずだったものは、深海を航行できる潜水艇だろうか。いや、昔もあの泡が護って、普通の船も着いたのかもしれない。

「どうぞ、奥へ。歓迎します」
 船を降り、進む。進むべき扉は開かれているようだ。
「ここがリナたちが生まれた場所なのかな?」
「たぶんそうね。覚えてないけど」

 姫李佳と練佳が居た施設、咲生逢と憧姫が居た施設を思い出す。失われた科学技術が遺してくれたもの。その技術を理解し、継承する者は居ない。施設が動いていても、失われたと言って良いだろう。特殊な身体を持つ少女たちも、自分の身体を造った技術を全て理解してはいない。その知識は、そのうち消え去るだろう。

 いつか、全ては失われるのだろう。
 でも、自分たちは今、生きている。
 まだ消えようとは思わない。

 広いホールに入った。プールがある。
 水面にリナたちに似た少女が佇んでいる。
「私が砂花菜です。リナ、ありがとう。何時季さんを見つけてくれて。何時季さんにお願いしてくれて」
「そっか、キミが産んだのか。その卵からリナたちの姉妹が孵るのか」
 プールの中には、半透明の膜に包まれた少女たちが見えた。まだ小さい卵も見える。

「一つ訊いて良い? あなたはどうやってその卵を産む栄養を得てるの? 栄養は必要でしょ?」
 晶華が訊く。
「海のお水と、アレです」
 空中にスクリーンが現れた。
 巨大な生き物の映像が映る。動かない。死体?
 鯨でもない。触手の塊のような巨大な怪物。
 プールのもっと奥に居るモノの映像のようだ。

「巨大生物兵器か。死んでるのかな。この基地の奥にあるのね」
「そうです。私はこの大きなお肉を食べさせてもらってます」
「かなりの量の栄養ね。でも、新しい栄養も探したのね。そうね、いつか無くなるものね」
「そうです。リナ、見つけてくれてありがとう」

「どういたしまして。お母さん、砂花菜お母さん、リナを褒めてくれてありがとう。でも、アレ、あのお肉、リナたちには分けてくれなかったのよね。仲間を食べるしかなかった。この場所のこと、覚えてなかった。当然よね。あなたに怒る娘も居るでしょうから。仲間を食べてたのよ。仲間に食べられるかもしれなかったのよ。その痛み、解る?」
「ごめんね、リナ、優しい娘。優しい娘のまま送り出してごめんね」
「謝らないでよ。あなたにできることをしただけでしょ? でも、見つけたわ、痛くない栄養。みんな呼び戻して。もう、仲間を食べさせないで」

「リナ、ごめんね、少し辛いことを話すわ。遠くに居るチームは、仲間を少し食べないと戻れないわ。それでも、呼び戻した方が良いと思う? 何時季さんを見つけて、それで終わりにするべきだと思う? 他にも何か、誰か、見つかるかもしれない。それを諦めて、みんな呼び戻すべきだと思う?」

「たぶん、ほとんどのチームは、何も見つけられないわ。仲間を食べ尽くして、力尽きるわ。死ぬために、力尽きるために産んだの? いや、みんな、いつか死ぬ、解るけど」
「優しい娘、ありがとう。お母さんを抱きしめてくれるのね」
 リナを抱きしめているのは砂花菜の方であるようだけど。

「何で、何で、リナたちを産んだの? あの大きな死体を食べながら、ずっと待つこともできたでしょ? いつか、何時季たちが、いや、他の誰かでも、砂花菜お母さんを見つけてくれたかも」
「そうね、ごめんね」

「……いや、そんなことなかった、たぶん。探さなきゃ、見つからなかった。砂花菜お母さん、私、見つけたよ、愛する人。栄養だけじゃ、足りなかったよね。お母さんにも紹介する。お母さんが探してた人。待ってるだけじゃ、たぶん、会えなかった人。送り出してくれたから、会えたよ」

 何時季がリナを背中から抱きしめる。挿入する。
「あんっ、何時季さん、私は、今はいいから……砂花菜お母さんにしてあげて」
「砂花菜さん、僕の愛、欲しい?」
「ええ、欲しいです。リナを助けてくれてありがとう」
「みんな、呼び戻して。僕はリナに、姉妹全員紹介してってお願いした。砂花菜さんの娘さんたち、みんな可愛い女の子だ。欲しい。僕の果汁精液、飲ませたい。いや、抱きたい」
「ごめんなさい、さっき言った通り、全員は戻れません」

「練佳は空間転移ゲートを造れる。砂花菜さん、あなたの娘さんたちの位置、解る? 解るなら、みんな帰れると思う。練佳にパワーが必要だけど、僕がたっぷり注ぐから。可愛い女の子、たくさん来てくれる、そのためなら、いっぱい射精するよ」
「……位置は解ります。私の声も伝えられます。でも、何時季さん、全員満たしてくれるんですか? あなたに強要はしてはいけない、そのルールは聴きました。でも、あなたが望むんですよ? 責任とってくれますか?」

 何時季が少し寂しそうに微笑んだ。
「うん、ちゃんと飲ませる。愛する。でも、足りなかったらごめん。限界はあるかもしれない。でも」

「できるかもしれないから。できなかったらごめん。でも、もう、止められない。出会っちゃったから。想いが止められない」

「ありがとう、何時季さん。あなたを誘惑できたんですね。リナが誘惑してくれたんですね。呼び戻します。空間転移ゲート、持続時間は? 何回くらい作れますか?」

 晶華が笑顔で答える。
「そのあたりは私たちに任せて。私の専門分野よ。私は作戦指揮ユニットなの。砂花菜さん、あなたの精神に接続して良い? 練佳がまたたくさん飲まなきゃだけど、みんなで搾りましょう。練佳、みんなのオマ×コから飲んでね」
「ありがとう、晶華、練佳。僕の浮気、手伝ってくれてありがとう」
「何時季、たくさんご褒美ちょうだいね」

 皆の笑顔が広がる中、憧姫は寒気を感じた。見えないはずの巨大生物兵器の姿を感じる。目隠しした彼女には、スクリーンの映像は見えていない。でも、その姿が心に浮かんだ。
 呼ばれている。でも、そこに行く必要は無い。この怪物を動かす必要は無い。狂気を感じる。

 でも、何故、助けない? 助けられるかもしれないのに。怪物だから? 自分たちは怪物ではないのか? 姿形で忌み嫌うのか?
 いや、姿形ではない。狂気の気配。でも、だから見捨てるのか? こんなに呼ばれているのに。助けを求められているのに。

「憧姫、どうかした?」
 咲生逢は憧姫の異変に気付いたようだ。
「何でもないわ」
 何故、そう言ったのだろう? それは自分の意思だろうか?

☆ 帰還の宴、危険の予感

 何時季が搾られる。大勢の少女たちに、優しく、でも、情熱的に搾られる。
 彼自身も最初はがんばっていた。
 でも、少年は一人、相手は大勢だ。いつしか、少女たちに任せている。

 砂花菜の海底基地に、海の少女たちが増える。帰ってくる。
 晶華が砂花菜の意識に接続し、海の少女たちの意識を探り、帰還するよう伝える。反発する者も居る。でも、晶華の精神感応能力が砂花菜の覚悟と夢を直接伝える。
 娘たちに恨まれるだろう、食べられても良いと思っていた。でも、それは無いことも知っていた。新しい希望が見つかったら、優しい娘たちは自分を食べないだろう。そして、何も見つからなかったら、娘たちは帰って来ない。砂花菜は、共食いをさせてしまった娘たちに、その身を捧げることができないことを知っていた。
 その痛みを分かち合いたいとも思う。償いたいと思う。でも、身を捧げても償えないのだ。痛みを痛みで返しても、癒されはしない。

 砂花菜の娘たちはクローン体とも違う。砂花菜のように、卵を産む能力は持たない。砂花菜自身も娘たちの能力は持たない。水を操り、海を旅する能力は無い。
 砂花菜にできることは、海を旅することができる娘たちを送り出すことだった。
 この基地に居れば、巨大生物の死体を栄養として、かなりの期間を生きることができるだろう。
 でも、終わりは見えている。
 だから娘たちを送り出した。希望を探した。

 砂花菜自身は、この海底基地から出ることは難しい。出られたとしても、生きてゆけないだろう。独りでは、何にも会えないうちに餓死するだろう。
 でも、たくさんの娘たちを送り出せば、誰か、何かに届くかもしれない。互いの身体を栄養とすれば、独りより遠くまで行けるだろう。

 共食いする娘たちに、必要な知識とともに、優しい精神を伝えておく。それは辛いことだろうけど。
 誰かに会えるなら、優しい方が良い。探す相手は、この世界で生き残っている存在。強いだろう。武力で対することは無謀だ。優しい娘たちなら、助けてもらえるかもしれない。
 正解だった。優しく美しい娘たちだから、何時季に届いた。

 練佳が空間転移ゲートを開く。そのゲートを通って、空腹の少女たちが戻ってくる。ゲートのために何時季の果汁を飲みまくる必要はなかった。この海底基地では、電力は十分に供給されていた。地熱発電設備があるようだ。練佳は電気力を操ることが本来の能力だ。電力を操り、ゲートを開くことができた。

 戻ってきた砂花菜の娘たちが、何時季の精液を飲む。膣内に搾った果汁も飲む。みんなの性欲、愛欲も満たすため。そして、何時季が多くの少女を求めるため。受け入れるため。
 遠くの海から戻った、空腹の少女たちが飲む。他の少女が搾ってくれたものを飲む。
 何時季から直接飲むのは、彼が望んだ時だけ。時々、それが行われる。誘惑に成功した少女が、時々、彼を咥えることを許される。
 今、空腹な少女だけが飲む。他の者は遠慮している。まず、全員の空腹を満たすのが彼の望み。

 そんな彼は、勝手だとも思う。彼はハーレムの王だ。どんなわがままも叶えられるだろう。そこで公平にしようとするなんて、一番のわがままだ。
 でも、そんな彼は可愛い。空腹のまま待たせたくないのだ。それは彼の快楽を邪魔する。満足した笑顔が好きなのだ。

 何時季はたくさんの少女たちに奉仕される。気持ち良い。男の夢だ。
 与えるから与えられる、だから納得できる。安心してハーレムを愉しめる。互いの人数のバランスはとれていないけど。

「ん……みんな、お腹いっぱいになった?」
「ええ、ありがとう、何時季さん」
 砂花菜が礼を言う。空腹の少女は、もういないようだ。

 何時季はだらしなく座り込んだまま動けない。柳裸が彼を後ろから抱きしめ、神経系を調整し癒している。空流が光を発し、光合成を助ける。
 姫李佳も彼に水を与えるために控えている。でも、この海底基地では、水はあった。海水を真水にする装置があった。
 姫李佳が造る水は、乾いた地上では貴重品だった。ここではそうではない。それでも、何時季が姫李佳を捨てることはない。それは姫李佳自身も知っている。でも、やはり不安にもなる。
「姫李佳、飲ませて」
「うん、いっぱい飲んでね。あんなに出したんだもの」
 何時季が姫李佳の秘所に吸い付く。彼は優しい。姫李佳の不安を察してくれる。そんな彼だから、不安になるのだ。でも、優しくない何時季なんて想像できない。そんな彼が好きだ。

「ちょっと急ぎすぎたね。何時季、しばらく休んで。無理させないようにと思ったけど、調整が難しかったよ。あんなにせっかちに出そうとするんだもの」
 柳裸が何時季の神経系を調整し、大量の射精を助けた。だから大勢の少女に、最後まで応えられた。精力の回復だけでなく、抑制も効かせた。適度に抑えなかったら、急ぎすぎて身体を壊したかもしれない。でも、調整を効かせても、さすがに負担は大きかった。

「憧姫? 憧姫は?」
 憧姫の姿が無い。咲生逢が気付いた。

 憧姫が、何時季と姫李佳の傍を離れるはずが無い。彼女の発する毒は、彼らに浄化してもらう必要があるのだ。だから、みんなと一緒に居られた。
 おそらく緊急事態だ。何か起こっている。

「あれ? 居ない? 晴香、探して。精神感応で接触できないわ」
「私のセンサーにも反応ありません。圏外か、隠蔽されてます」
 晴香は空中浮遊能力だけでなく、重力検知による空間把握能力も持っている。周囲の質量の存在を感知し、安全に飛行することができる。あの戦争の間も、実体弾を受けたことは無い。でも、その能力でも見つからない。

「空気中に憧姫の毒の気配が無いわ。水の中かも。探して! 何か起ころうとしてるわ」
 海の少女たち、砂花菜の娘たちがプールに飛び込む。船着き場の方にも向かう。水中なら、探せる。

 晶華は焦りを感じる。何か忘れているような、隠されているような。
 彼女の精神感応能力も、あの戦争の中では普通に遮られ、敵の精神は必ず読める訳でもなかった。当然のことだけど。
 何か、起ころうとしている。それは解る。
 隠れる何かは、たぶん良くない何かだ。

☆ 護ると決めた

 憧姫は溶けた。自分の身体にあった、知らない能力。溶けて流れ、後で身体を再構成できる、それが解る。
 溶けたままプールに入った。そのまま、触手の塊のような巨大な怪物に達する。その触手は管になっているようだ。その中に入ってゆく。
 海水中を溶けて流れることが、心地良い。身体はまだ硫化水素を発しているようだ。それは溶けた身体に混じり、その身体に棲む細菌類を生かし、その細菌類が憧姫を生かす。
 憧姫自身も、細菌類のひとつなのかもしれない。いや、多細胞生物なら、様々な違う細胞で構成されている。その一部が自分であり、一部は違うと考えることもおかしい。
 そう考えるなら、溶けてこの触手に入った自分は、もうこの巨大生物そのものなのかもしれない。いや、まだ違う。でも、いつか混じり合うかもしれない。

 憧姫の体内には熱がある。恒温動物である人間がベースの改造体なら、普通のことだ。でも、憧姫の熱は、彼女が何も食べなくとも尽きない。どこかおかしい。
 この巨大生物は冷めていた。冷たい生き物は、海には多い。冷たいから死んでいるというわけでもない。でも、生命反応は消えていた。柳裸が触れて確かめても、死体と判断しただろう。
 でも、死んではいなかった。
 巨大生物の冷たい身体に、憧姫の熱が入った。

 海の少女たちが巨大生物にも近付いてきた。憧姫を探している。でも、溶けてその巨体に入ってしまったとは解らない。
 何時季を誘惑できた、水に生きる少女たち。自在に泳ぐ姿は美しい。美味しそうだ、触手が伸びる。
 避けられた、さすがに素早い。海の少女たちが水を操り、水圧の刃が触手を切断した。しかし、触手は多い。別の触手が海の少女たちを捕らえようとする。

 光が迸り、伸びてきた触手が消滅する。空流が発する消滅光だ。リナが泡を作り、何時季の最初の恋人たちを水中に連れてきた。
「憧姫は、あの巨大生物に取り込まれてるわ。わずかに意識を感じる。隠そうとしてるけど、解るわ」
「じゃあ、アレは消せないな。どうする?」
「憧姫を連れ戻す。みんなが僕を連れ戻してくれるみたいに」
 何時季が怪物を睨む。

 直接観る怪物は巨大だ。怖い。
 触手の塊のようなそれの本体は見えない。その巨体は、全て触手なのだろうか? 違う気がする。憧姫は何処に取り込まれているのだろう?

 何時季自身も、多数の触肢を生やすことができる。でも、それをしてしまうと、自分では元の少年の姿に戻れない。そのまま樹になり、森になるだろう。
 そうなった時、いつも、連れ戻してもらった。恋人たちに。
「憧姫も僕の恋人だ。みんなの仲間だ。連れ戻すよ」

「そうだよね。当然だな。何時季の望みだから、それだけじゃない。仲間を助ける、当然だ」
 空流が何時季の眼を見て話し始める。
「何時季、僕たちは、あの戦争を越えて生き残った戦闘チームだ。それがどんなことか、解る?」
「強いってことだよね?」
「たくさん、殺した。消滅させた」
「護るためにでしょ? 自分を、仲間を」
「うん、そうだ。でも、護りきれなかった。人間だけじゃない、動物も、植物もほとんど消えて、食べるモノさえ見つからなくなった」
「そうしたのは、僕だけじゃない。僕だけだったら、こんなに消せなかっただろう。戦ったみんなで、こうした。だから、みんな消えて、僕たちもお腹が空いて。何時季に会えなかったら、僕たちも消えてただろう。自分さえ、護れなかった」

「僕だけじゃないけど、僕もそうしたんだ。消したんだ。今でも、消せる。あの怪物も消せる。僕にはできる。消せる」

「でも、消したくない。助けよう。憧姫を連れ戻して、できれば、あの怪物も助けたい。お願いだ、何時季、みんな、手伝って」

「空流は優しいな。強いな。強くて優しい恋人に、お願いされたんだね。良いな、良い夢だ。もちろん、手伝うよ、僕にできることなら。僕も夢見るよ。良い夢だ。一緒に叶えよう」

「空流ちゃん、抜け駆けだね。でも、もちろん、柳裸も賛成」
「何時季は護るから、安心して。帆夏が護るから、空流は安心して攻めて」
「この泡、私にも動かせますね。何処に入りますか? あの触手は全部避けられます」

「方針は決まったわね。あの巨大生物の中に入る必要がありそうね」
「あの怪物は、意識はあるの? 晶華なら話せる?」
「解らないわ。精神感応へのシールドがあるわ。あのサイズの兵器なら当然だけど。憧姫の意識にも、そのせいで触れられない」
「体内に入って、柳裸の能力で神経系に直結してもらいましょう。何時季と咲生逢が居れば、憧姫は帰って来るわよ」

「ありがとう、お願い、みんな、憧姫を助けて」
 咲生逢は怯えている。
 空流にも消せない、不滅の身体を持つ咲生逢が怯えている。嫌な予感が消えない。

 でも、希望も見える。怯えて動かないのはおかしい。
 結果は後から振り返るモノで、目標ではない。悪い結果の幻に囚われてはいけない。目指すべきは、良い夢だ。

 怖れで動きが鈍る、多少は仕方ない。でも、だからこそ、恐怖は超えるべきモノだ。咲生逢の身体は、完全消滅しても時間を超えたバックアップから復元する。不滅の身体を持つ自分が、何を怖れるのか?
 憧姫を、何時季を、みんなを失うこと。それが怖い。自分は消えないけど、みんなは消えるかもしれない。戦いが起これば、誰か消えるかもしれない。

 でも、だから、護ろうとする。
 そうだ、護れないかもしれないことは問題ではない。
 護ると決める。

 覚悟しよう。護れないかもしれない、その可能性も受け入れよう。恐怖を受け入れよう。
 まだ、結果は決まっていない。護る。

 未来は夢だ。不安もあるけど、良い夢も見える。進む方向は、解る。

「咲生逢、大丈夫?」
「大丈夫よ。旦那様、ありがとう。また、助けて。でも、今度は私も手伝うわ」

 皆を包んでいる泡の動きを、晴香がコントロールする。リナが動かすより高速で小廻りも効く。
「空流ちゃん、入り口を空けて! 入ります!」
 空流が光を放ち、巨体に穴を穿つ。滑り込む。

☆ 夢に囚われた少年

 巨大生物兵器は周囲を認識し始めた。
 最初に感じたのは、憧姫の気配だった。目隠しした彼女の気配を感じた。光も他の生物も必要とせず、熱を保ち、生き続ける少女。暗く冷たい海底にこそ必要だ。

 自分の存在は戦うためにある。でも、誰と? 何と?
 この基地に居る少女は弱すぎる。相手にならない。

 もう、戦いは終わったらしい。それは解る。この星は静かになっている。
 戦うために造られた自分は、何をしようか?
 待とう。この巨体は長持ちする。

 この基地に居る砂花菜と言う少女は、生き残った誰かを探している。そのために、探索用の少女を産むために、自分の巨体を少し食べている。
 かまわない。こんな小さな砂花菜に、簡単に食べ尽くされることは無いだろう。
 でも、自分も手伝ったということだ。砂花菜に栄養を提供した。報酬を望んでも良いだろう。

 砂花菜の娘たちが連れて来たのは、一人の光合成する少年と、彼の愛人らしい戦闘用の少女たち。そして、憧姫。
 憧姫は自分に反応した。何か通じるモノがある。
 さあ、来るんだ。お前には、その少年は必要無い。憧姫ならずっと、何も無い海底に居られる。歓迎する。お前が発する毒で、誰かを殺してしまう心配も無くなる。

 憧姫は来た。自分は憧姫の熱を得た。尽きない熱。
 さあ、遊ぼう。動いてみよう。
 自分は戦うために造られた。あの少女たち、何時季と言う少年の恋人たちもそうらしい。
 戦士が出会った。戦ってみよう。遊ぼう。

 海の少女たちが近付いてきた。憧姫を探している。たくさん居る。捕まえてみよう。
 避けられた。反撃された。
 怖いのだろう。怖れられる理由はある。自分は巨大で、異形で、強い。
 でも、だから、巨大で強いから、反撃されるのも楽しい。こんな攻撃、問題ではない。みんな小さく、弱い。優しく戯れよう。

 何時季と戦闘用の少女たちが来た。憧姫が自分の中に居ることに気付いたようだ。
 空流と言う少女の攻撃は強力だ。懐かしい。消滅の光、かつて何度も受けた。自分の再生能力を超えるなら、倒されるだろう。物質を消滅させる原理は良く知らないが、効果的な攻撃だ。
 でも、負ける気はしない。尽きない熱、憧姫を得た。無限に再生できるはずだ。

 体内に入られた。さすがだ。消滅光を防ぐことは難しい。電磁場や空間操作など、物質ではない手段で避けなければならない。どんな壁も盾も、剣も触手も消される。
 触手による迎撃は全て消される。でも、無駄に見える攻撃を続ける。闘いの礼儀、手加減はし過ぎない。空流の光も無限ではないだろう。こちらの触手が無限だと気付いているだろうか?

「この触手、尽きないわよ。憧姫が生き続けるように」
「僕の光も尽きないさ。何時季と姫李佳が居る。それに、十分にチャージもしてある」
「そうね、憧姫を取り戻すまでだものね。永遠なんて、関係ないわ。終わらない戦いなんて、無いわ」
 終わらない戦いと呼ばれるものは、ほとんどは、ただ繰り返しているだけだ。ゲームが気に入ったから、また始める。繰り返す。ただそれだけだ。

 もう、戦いを、楽しむために繰り返すつもりは無い。少なくとも、今は。他にやりたいことがあるのだ。だから、少しだけ、戦う。
 戦いのために与えられた能力を持っている。その能力で競い、生き残った。この巨大生物もそうなのだろう。自分の能力を使いたい、試したい気持ちは解る。だから、戦える自分たちが付き合う。

 巨体の内部、十分深くまで来た。リナの泡、皆を護る水のカプセルの外は、肉色の触手の渦だ。帆夏の豊かな金髪が伸び、泡を補強している。

「憧姫を探さないと。神経系に接続してみるね」
 柳裸が触手に触れる。
「手伝うわ。みんなも、行くわよ」
 晶華が柳裸を通じて、巨大生物の意識に接続する。仲間たちの意識もつなぐ。

 そこは、館の中だった。夢独特の多重視点により、館の外観も解る。孤島の館。
 館の主は、少年だった。隔離された少年。閉じこもったのか、閉じ込められたのか。どちらでもかまわない。彼には関係ない。

「憧姫は何処?」
 何時季が訊く。
 拘束された少年が嗤う。彼が拘束されていることに、その時気付いた。目隠しもされている。憧姫のように。
「来たのか。ようこそ、歓迎するよ」
 少年の声は落ち着いていた。

「何時季、下がって。こんにちは、私は晶華。あなたは?」
「さあ? 名前なんて知らない。要らない」
「兵器として活動していたのよね? それなのに、名前が無いの?」
「コイツの名はあったみたいだ。でも、それも知らない。関係ない」

「私が中枢ユニットとして組み込まれていた、あの基地みたいなモノなのかな。あなたは、この巨大生物の中枢ユニットなの?」
「うん、たぶん、そうだ。そうか、コイツを止めに来たのか。じゃあ、失敗したね」
「何故?」
「解る。キミたち、可愛い女の子だ。声で解る。女の子が、来た。我慢しないよ? 我慢なんて要らない」

「キミたち、来たんだもの。巨大で怖いコイツを見たのに、来た。僕が行ったわけじゃない。キミたちが来た。何が起こるか解らないのに、来た。遠慮とか、我慢とか、要らない。キミたちのせいだ」

 拘束された少年の股間が見えた。いや、見えない。多数の触手が邪魔で見えない。
 つまり、この触手は彼の男性器なのだろう。身体が拘束されていても関係ない。こんなに伸びて、自在に動いて。それを使って移動することもできるだろう。

 襲いかかってきた触手は、空流の光が消滅させた。
 闘いが始まっている。ここは本当に夢の世界なのだろうか?

「見つけたね、二人目の男の子。なかなか凄そう。何時季に負けないエロ魔人みたい」
「ええ、でも、ひねくれてるみたい。どうしましょう?」

「助けよう。彼、閉じこめられてる」
 何時季は彼の気持ちが解る気がする。憧姫に似ている。恐ろしい自分の身体、他人を傷つけてしまう自分の身体を閉じ込めたのだ。

 でも、その心は?
 彼は他人のために自分を閉じ込めたのかもしれないけど。
 その優しい心は、そのまま残っているだろうか?

☆ 彼の場所、彼の夢

 巨大生物兵器の意識の中には、閉じ込められた少年が居た。
 皆で彼の意識の中に来ている。夢の中に居る感覚。柳裸の神経接続能力と晶華の精神感応能力が、彼の精神に入ることを可能にしてくれたらしい。

 何時季は他人の夢に入るのは初めてだ。でも、自分の夢に恋人たちが来てくれた、その記憶はある。
 何時季は樹になることができる。樹になれば、彼のようにたくさんの触肢を生やすことができる。いや、触肢を生やそうとするなら、樹になってしまう。そして、自分では戻れない。でも、いつも、恋人たちが連れ戻してくれた。

 彼もこの夢の中で、自分自身を縛り付けている。解放できるだろうか?
 解放しないと。そして、憧姫を返してもらわないと。

 彼が目隠ししている理由が解る気がする。自分を観たくないだろう。そして、自分を観る誰かを観たくないだろう。
 巨大な触手の塊、その多数の触手は彼の男性器が変化したものらしい。異形の身体。怖がられるかもしれない。怖がられないとしても、憐れまれるかもしれない。悲しがらせてしまうかもしれない。
 こんな姿に疑問も持たず、受け入れられるとしても。そんな相手は、普通ではないだろう。自分と同じ、化け物かもしれない。

 自分が異形の怪物なら、他の怪物を受け入れないのはおかしいのだろうか?
 そんなことはないだろう。怖い。
 自分が持っている恐ろしい能力、相手も何か、そんな恐ろしい能力を持っているかもしれない。怪物は、自分と同じような存在を怖れる理由がある。

 でも、その異形の身体は、能力は、何のためにある? それは活かせないのか?
 そんなことはない。恐ろしい身体、能力、使いようはある。
 闘えば良いのだ。もともと、戦うための身体、能力だ。

 戦いを望むことで避けられるかもしれない。それも望むところだ。こんな恐ろしい怪物、避けられるなら、それで良い。その方が良い。傷つけてしまうより、退治されるより良い。

「傷つけてしまうの? 傍にいるだけなら、大丈夫じゃないの? 戦わなければ、傷つけてしまうことはない、そうじゃないの?」
 何時季が少年に問う。

「戦いは止められない。我慢できないんだ。欲しくなる。だから、戦う。戦って、奪う。それは、普通の、あたりまえのことでしょ?」

「うん、でも、みんなそういうわけでもない。みんな、奪えるとしても、我慢もする。キミは今、我慢できない、それも解るけど」

「そうなんだよ、我慢できない! 僕は、強い! 戦って、奪える! だから、我慢が難しい……我慢が辛い」

「憧姫が来てくれた。憧姫の熱を得た。戦える。動ける。ここから、出られる。また、青空を、水平線を観られるかもしれない」

「そのことを邪魔はしないよ。一緒に、行こう。この海底から、行こう。お日様、青空、綺麗だよ」

「ダメだよ。青空の下、お日様の恵みは、何時季、キミの場所だろう? キミは光合成して、みんなを活かせるんだろう? でも、憧姫には必要ない。僕にも必要ない。この海底、地上の生き物には辛いだろうけど、僕と憧姫の場所は、この海底だ」

「青空の下は、広いよ。大きなキミが来ても大丈夫だよ。憧姫も暗い部屋に居たけど、出てきてくれた」

「違うんだよ、広いとか、そういうことじゃない! キミと僕は違うんだ! 違う生き物だ、居るべき場所が違う!」

「この海底に居ても、あなたは自分を閉じ込めているわ。この海底も、あなたが望む場所じゃないわ」

「知ってる、解る、でも、だいぶマシだ。この巨体を、少ないエネルギーで維持できる。憧姫が居れば、本当に、何も食べなくても大丈夫だ」

「でも、欲しくなる。何も要らないのに、欲しくなる。憧姫が来てくれたのに、もっと欲しくなる。キミたちも欲しい、みんな、欲しくなる」

「だから、帰ってくれれば良い。僕が避ける場所、青空の下に帰れば良い。キミたちが僕の場所に来たから、我慢できない。何で、来たの? いや、僕のこと知らなかったから、それは解るけど」

「僕の場所、ひとつくらい、あってはダメ? 僕がワガママになる場所、あってはダメ? みんな、此処を避ければ良いんだ。僕は欲しくなって、襲うけど、此処から出なかった。みんな、此処を避ければ良い。僕は、誘ったことは無い。来て欲しいとは言わない」

「誘ったでしょ。憧姫を誘ったわよね。お前が必要だって、誘ったでしょ」
 咲生逢がいつの間にか、拘束された少年の傍に居る。襲いかかる触手を噛みちぎり、少年の首筋に手をかける。
 目隠し拘束されている少年の本体は弱いだろう。触手の渦を抜け、彼に手をかければ、終わりだろう。
「憧姫も、あなたとは違うわ。何時季とあなたが違うように、違うわ。憧姫を返して」
 容赦なく締め、爪を立てる。あの戦争の中、何度もこうしてきた。急所は知っている。でも、この少年はこのくらいでは死なないだろう。死んでもかまわないけど。

「あなたは此処に居なさい。お望み通り、避けてあげるわ。だから、憧姫も、あなたを避けて良いはず」
「憧姫は渡さない……憧姫だけで良いんだ。尽きない熱、他には、光も要らない。でも、キミたちも、逃げないなら、もらうよ。何時季、ありがとう、こんなに女の子を連れて来てくれて」

 咲生逢に爪を立てられた少年が、破裂した。
 現れたのは触手の渦だ。咲生逢が巻き込まれ、飲み込まれる。

 咲生逢の全身に触手が入り込む。口腔、鼻孔、眼孔、耳、性器、肛門。改造体の少女にも、人体の九穴がある。
 触手、いや、彼の男性器が大量に射精し、咲生逢が破裂した。

「あは、良いな。女の子の身体、気持ち良い。僕はオチン×ンの塊だからね。でも、やっぱり、壊しちゃうな。逃げなよ、まだ、間に合うかもよ?」

「うーん、ちょっと激しすぎるなー、柳裸でも受け止めてあげられないかも。でも、咲生逢は大丈夫なんだよね」

「何? 咲生逢って、さっきの娘でしょ? 大丈夫じゃない、壊しちゃったよ、ごめんね」

「私は壊せないわよ。何でも消せる空流にも消せないんだから」
 咲生逢が居る。復元している。彼女のドレスも復元している。
 時間を超えたバックアップからの復元らしい。常にわずか先の未来時間に自分のコピーを作っているらしい。そのコピーが現れるのは、咲生逢の存在が途切れた瞬間だ。
 咲生逢の復元能力について、晶華と練佳による推論はそのような説明だった。本当のところはわからない。でも、とにかく、咲生逢は壊せない。消せない。

「へえ、咲生逢、キミも欲しいな。憧姫と一緒に居たいの? 僕の傍に居れば良いよ」

「嫌よ。あなたなんか嫌い。私の旦那様は何時季だけ」
「うん、だから、奪うよ。咲生逢には乱暴しても大丈夫なんだね。捕まえ易い」

「咲生逢、彼の居場所が解ったわ。この夢から出るわよ。憧姫を連れ戻すのに、あなたが必要よ」
 晶華に言われて思い出す。そう、ここは少年の意識の中、夢の世界であるはずだ。
 でも、闘った感触もある。リアルな夢もあるから、不思議でもないけど。いや、不思議だ。夢の中で死んだら、どうなるのだろうか? 復元する自分は死なないはずだけど。夢の中で、その能力に保証はあるだろうか?

☆ 夢現封滅

 咲生逢は考える。この夢から出ると晶華は言う。どうやるのだろう? せっかく来たこの夢から出てしまっても良いのだろうか?
 晶華の精神感応能力で巨大な怪物の意識の中に来た。そこには閉じ込められた少年が居た。彼を解放しないまま出られるのか? 出られるのだろう。でもそれで良いのか? 何のために来たのだろう。憧姫を助け出すためだ。憧姫をさらった彼は、目隠しされ縛られている。そんな彼から逃げる必要があるのか? いや、彼を見捨てるのか? 見捨てても良い。憧姫を取り返せるなら、彼は見捨てても良い。だけど彼を見捨てたら、怪物に取り込まれてしまった憧姫を助けることはできないような気がする。

 目隠しされた少年が笑う。口元だけでなく彼の眼も笑っているのだろう。憧姫と同じ目隠しをした姿。咲生逢も憧姫の眼を観たことはない。彼も目隠しを外したことは無さそうだ。だから二人は惹かれ合うのだろう。目隠しを外したことが無い、見えない二人。自分が目を閉じても同じようにはなれないのだろう。

 拘束された少年が笑いながら話しかけてくる。
「行っちゃうのか、良いよ。憧姫はもらった。咲生逢ももらうよ、気に入った。現実世界の僕は強いよ。あの巨体は空流にも消せないよ。消滅が再生に追いつかない。消せないよ」
「そうかもね。でも、消せるけどね。手加減してるから消せないだけだ。キミを消したくないんだ。僕は何時季にそう言った」
「何時季のため? 彼に嫌われたくないんだね。そうだよね、優しい自分を見せたいよね。いや、空流は何時季に優しく弱くされちゃったのか。弱いな。あんな、か弱い何時季に敵わなかったんだね」
「そうだね、弱いね。久しぶりに思いっきり戦えると思ったのに、できない。自分を縛り付けたままのキミと戦っても全力は出せないよ。出したくない」

「そんな余裕、無くしてやる!」
 尽きぬ触手の攻撃が激しくなる。絡みつかれれば潰されるだろう。体内に入り込まれれば破裂させられるだろう。
 しかし触手は何時季と恋人たち、誰にも触れられない。空流が放つ消滅光が護っている。
 無限に再生し無限に消滅させる。終わらない戦い。目隠しした少年のパワー源は尽きない熱を持つ憧姫。空流のパワー源は無限の太陽光をエネルギーにしてくれる何時季だ。終わらないだろう。

「このままずっと空流に消され続けるのも良いな。空流が消してくれなかったら、僕のオチン×ンはこの星を覆い尽くして、宇宙に溢れちゃうかもしれないね。昔はたくさんの街や基地を覆い尽くし、犯し尽くした。たぶん、そうしていた」
「楽しかった?」
「ぜんぜん楽しくなかった。僕には解らないんだ。この怪物、僕の身体が何をしているのか解らない」

「でも襲い犯す、そんなことをしていただろうことは解るのね。あなた、この怪物の中枢ユニットじゃないの? この怪物をコントロールできないの?」
「できるかもしれない。でもしたくない。どうせ襲い犯すことしかできない。可愛い女の子に会ったら僕だって襲いたくなる。でもそれは嫌だ。コントロールなんてしたくない」
「コントロールできない、じゃなくて、したくないのか。足りてないな。何か足りてない」
「愛が足りないのよ」
「ああそうだね、愛が足りてないんだな」
「愛、くれるの? 空流がくれるの? それとも、咲生逢? それとも、他の誰か?」
「憧姫を取り込んだくせに、まだ足りないのね。あなたにあげる愛なんて無いわ。私の旦那様は何時季だけ。咲生逢は旦那様の愛奴隷なんだから」
「何時季は愛が足りてるんだろうな。うらやましいな。好きなだけ咲生逢も空流も他の娘も貪って、浮気しまくって、それでも愛されるんだね。狡いな」

「何時季はみんなに愛をくれるわ。襲い犯すだけのあなたとは違う」
 砂花菜が言う。いつの間にか現れた。
 晶華が砂花菜の意識をこの夢に連れて来たのだろう。この夢から出るのではないのか? それとも、状況が変わったのだろうか? それとも、あの言葉はブラフなのか?

「砂花菜か。キミには僕も栄養をあげたんだけどな。僕の身体、美味しかった?」
「ええ。あなたは、私にオチン×ン食べられて、気持ち良かった?」
「うん。いつか、砂花菜も砂花菜の娘たちも犯し尽くす、そんな夢を見ていられた。気持ち良かったよ」
「都合の良いことは解るのね。あなた、あの巨体をコントロールできるのね。周りのことも解ることができるのね。襲い犯した、その記憶を思い出すこともできるのでしょう? あなたの身体が何をしていたのか、解ることができたのでしょう? 止めることもできたはず。でも止めなかったのね」
「だって、僕には愛が足りてなかったんだもの。うん、止めなかった。いや、やっぱり止められなかったんだよ。僕を愛さなかった世界が僕の身体に犯される、いい気味だと思った。止める理由なんて無かった」
「あなた、護るものは無いの? 大事なものは無いの? 護った記憶は無いの? あなたなら、護れたでしょうに」
「何か、護ったのかもな。でも解らない。誰も僕を褒めなかった。話しかけてこなかった」
「だってあなた、閉じこもっているのだもの。でも、ありがとう。あなたの身体を食べさせてもらってた、そのおかげでリナたちを送り出せたわ。そして、リナが何時季に届いたわ。ありがとう。晶華もありがとう、彼にお礼が言えたわ」

「あなた、このまま閉じこもったまま、憧姫さんも閉じ込めるつもりね。それは許せないし、あなた自身も辛いわ。あなた、このまま生きても辛いわ。止めてあげる」

 世界が消えた。皆、夢から醒めた。
 海の中に居る。巨大生物の体内ではない。まだ触手はある。でもかなり減っている。巨大生物兵器だったものは、その巨体の大半を失っていた。砂花菜の娘たちに食べられている。貪られている。
 長い夢を観ていたらしい。その間、抵抗できない巨大生物を砂花菜の娘たちが食べた。無限再生能力も夢の中だけに封じられていたらしい。眠らせたまま倒す、晶華の能力のひとつだ。

 多数の小さな生き物が群れをなして襲う。中枢神経や脳を押さえられれば、巨大で強いはずの生物が抵抗できない。昔から繰り返されてきたであろう光景。

「憧姫は?」
「今、分離してるわ。もうあの巨体のコントロールもこっちでできるわ。憧姫の身体も分離再生するわよ」
 巨大生物兵器の防御機構も弱まっている。柳裸の神経接続能力に対抗できなくなった。だからもう反撃も無い、その巨体を柳裸がコントロールしている。

「彼、このまま消えちゃうのかな」
 何時季がつぶやいた。

☆ 愛される二人

「まだ、助けられるのかな。彼にまた会えるのかな」
 何時季は自分がもどかしい。晶華のように心に話しかけることもできない。空流のように彼の侵略を止めることもできない。助けたいと思っても、自分には何ができるのだろう?
 巨大生物兵器は砂花菜の娘たちに貪られ、巨体は散り散りになっている。奥に居たあの少年も無事には済まないだろう。彼の男性器だったその巨体が貪られ、喰われている。
「ええ、会えるわ。まだ彼は残ってるわ。あの巨体の奥から、やっと出てきたわ」
 晶華が示す方向から、砂花菜の娘たちが来る。一人の少年と一人の少女を抱きかかえて泳いで来る。どちらも目隠しを着けている。あの少年と憧姫だ。
 二人は動かない。消耗しているのだろうか。いや、生きているのか?
「一度、砂花菜さんの基地に帰りましょう」
 皆で海底基地に戻った。

 咲生逢が憧姫を抱きしめ、呼びかける。
「憧姫、憧姫! 大丈夫?」
「ダメ」
 目隠しした少女が応える。
「何がダメなの? どこか壊された? 奪われた?」
「ええ、心を奪われたわ、壊されたわ。でも咲生逢、彼に手を出したら赦さないわよ。私、彼が気になってるのよ」
 その隣で、何時季が目隠しの少年を抱き起こす。
「大丈夫?」
「何時季か。キミじゃダメだよ。僕は男だよ、何時季の恋人にはならない。キミのオチン×ンから出る果汁なんて飲みたくない。僕には何時季は要らない。でも」

「何時季、お願いだ。憧姫を僕にください。大事にする。憧姫なら何時季が居なくても大丈夫だ。憧姫をください」
「あげるとか、そういうものじゃないよ」
「じゃあ、憧姫が望んだら、キミから離れても良いの?」
「ダメだ。憧姫は僕が居なくても生きられる、離れることもできる。でも、そんな憧姫だから一緒に居て欲しい」
「キミも憧姫の毒を抑えられる? キミの能力ならできそうだな。それなら、止める理由は無い。でも、キミには任せたくないよ。何で一緒に居られないの? 僕の果汁が必要ないから、一緒に居られないの? どうして? 互いに必要ないなら、一緒に居ちゃいけないの? 話せるのに。心がつながるかもしれないのに」
「心をつなげたいの? 晶華にしてもらえば? 晶華なら、つながるよね」
「そうじゃない! 精神感応でつながるとか、そういうことじゃないんだ! 憧姫と咲生逢みたいに心がつながることだよ。相手を大事に思うようになることだよ」
「何時季、キミは大事だよ。みんな生きるためにキミが必要だ。僕はみんなには要らない。僕は何もできない。いや、襲い犯す、そんな望まれないことしかできない」

「バカ、バカバカバカっ!」
 罵りながら、砂花菜が少年を抱きしめた。何時季から奪いとるように抱き抱える。
「え? 砂花菜?」
「望まれないことだと思ってるのね、あなたのあの立派なオチン×ン、望まれないと思ってるのね、バカっ」
「え、あの、その、砂花菜、あうっ!」
 彼の股間には立派な肉棒がある。あの巨大な触手に比べればとても小さいけど、人間サイズとしては立派だ。砂花菜は勃起したそれをこねくり回す。少年が悶える。
「砂花菜、ダメだよ、僕のオチン×ンは危険だよ、また大きくなって、増えて伸びて……」
「しなさいよ! 大きくして増やしなさいよ! 私と娘たち、みんな相手して、満足させなさいよ!」
「あなた、一度憧姫さんを取り込んだわよね? 尽きない熱の秘密、解らなかった? 海底に棲んでたのに解らなかった?」
「憧姫は、深海の化学合成生態系の生き物をモデルにした、それだけじゃないな。憧姫の体内、いや、細胞内にはこの星の内部につながるゲートがあるんだろう。だから熱が尽きない」
「この基地にも地熱発電設備があるわ。この星のエネルギーをもらってるのは憧姫さんと同じ。あなたにはできないの?」
「できるかもしれない。触手を伸ばして、海底を探って……星の中、深くまで探れるだろう……尽きない熱を取れるだろう」
「そうしなさい。そして、あなたの触手を食べさせて。尽きない熱があれば、無限に再生できるのでしょう? もちろんオチン×ンの世話もしてあげる。いや、私と娘たち、みんなの相手をして。私たちも性欲があるのよ?」
「でも砂花菜、キミたちは何時季に届いたのに」
「足りないの。何時季じゃ足りないのよ。あなたなら足りそう。あなたが必要なの」

「何時季、ふられそうよ。どうする?」
 柳裸が面白そうに訊く。
「仕方ないよ。砂花菜さんの言う通りだ。僕じゃ足りない。この前はなんとか飲ませたけど、アレは続けられないだろう。彼なら足りるだろう。でも、柳裸、晶華、空流、帆夏、晴香、姫李佳、練佳、そして咲生逢、憧姫、キミたちは、僕を選んでくれるよね?」
「もちろん!」
 皆の声が重なる。
「もちろんよ。咲生逢は何時季の愛奴隷だもの。憧姫、あなたは? 彼を選んで、何時季を捨てるの?」
 咲生逢が憧姫に訊く。

 憧姫が立ち上がり、目隠しされた少年に近付く。そして彼の目隠しを剥ぎ取った。驚いたような、でも綺麗な眼が見えた。
「……あなた、浮気するのね。砂花菜さんたちを受け入れるのね。許さないわ」
「憧姫、キミが一緒に来てくれるなら、キミだけを愛するよ」
「ダメよ。信じられないわ。私を取り込んだ後、みんなを襲ったわよね? 襲い犯す、そんなことしかできないのでしょう? そうやって砂花菜さんたちの相手をしなさいよ。砂花菜さんたちなら受け止めてくれるわよ」
「憧姫が来てくれないなら僕は」
「暴れるつもり? ダメよ。もう解ってるでしょう? あなた、砂花菜さんたちに愛されてるのよ。私だってあなたを愛しかけた。でも、裏切ったのはあなたよ」
 憧姫も目隠しを外した。閉じた眼が現れる。開いたことは無いのだろう。開けないのかもしれない。
 彼の眼は、開いている。
「見えた? あなたの眼、開いた? 砂花菜さんたち美人よね。私も見えた? 私の眼は開かないわ。私の肌は灰色よ。そんな私を見ずに呼びかけたのよね。私の尽きない熱、それだけが必要だったのよね。何時季は私を見て受け入れてくれたわ。可愛いって言ってくれたわ」
「憧姫は可愛いよ」
「遅いわよ。それに、砂花菜さんたちの方が可愛いわよ、あなたにはね。あなたを愛して、オチン×ンを搾ってくれるわよ。あなた、何時季みたいに栄養のある精液も出せるでしょう。飲んでくれるわよ。それともオチン×ンをそのまま食べられるのが好みなの? どっちでも良いけど、してくれるのは砂花菜さんたちよ。私はしないわ。あなたなんて、嫌いよ!」

「彼も憧姫にふられたか。ねえ砂花菜さん、リナちゃんたちも、彼を慰めてあげれば? 何時季を慰めるのは私たちに任せて」
「そうだな、何時季、彼はなんとかなったみたいだ、ご褒美、ちょうだい」
「憧姫、しっかり旦那様に浮気のお詫びをしてね。咲生逢も手伝うけど。旦那様、憧姫が浮気した分は、咲生逢にさせてください」
「咲生逢、ズルイわよ。憧姫がお詫びするわ。何時季、ごめんね、いっぱいお詫びさせて」
「何時季、ダーリン、姫李佳のオマ×コ水、溢れそう。飲んで。大好きでしょ? これからまた、いっぱい出すんでしょ? 水分補給して」
「何だかみんな興奮してる? うーん、そうだ、負けられないな。彼に負けないようにしないと」
 何時季は憧姫の顔に肉棒を押し付ける。目を閉じた少女が笑顔になった。咥えられる。憧姫は何時季に彼女の目隠しを差し出す。何時季が咥えられたまま、着けてあげた。

☆ 彼が護るモノ

「んっ、んっ、ちゅ、んー……」
 憧姫が何時季を咥え舐めしゃぶっている。目隠しした彼女の舌は敏感だ。彼の果汁は甘く美味しい。でも今は彼への償いと感謝だから、美味に溺れてはいけない。心をこめて丁寧に、情熱的に奉仕しなければ。でも、美味しい。
 何時季は彼女の頭を優しく撫でる。気持ち良い、でも焦って射精する必要は無い、ゆっくり楽しめば良い。憧姫には栄養としての果汁ミルクは必要無いのだ。彼女が生きるために飲ませる必要は無い。でも奉仕してくれる。愛されている。

「何時季が楽しんでるね。憧姫は狡いな。生きるために飲む必要は無いんだものね」
「そうね、でも何時季はそんな憧姫にも飲ませたいのよね。女の子にオチン×ン咥えさせたいのよね。生きるために必要じゃない憧姫だから、愛されてることをより感じられるわよね。でもね、私たちだって何時季が大好きなのよ? しっかり愛してるわよ」
 柳裸と姫李佳も彼に唇を寄せ、耳や肩を舐める。他の恋人たちも集まっている。

 その隣では、あの少年が砂花菜やリナたちに押し倒されている。彼の男性器は伸び、何本にも増えて彼女たちの身体に絡みついている。その多数の先端全てをしゃぶられたり、オマ×コに差し込まれている。
 彼が襲い犯しているのではない。襲われ犯されているに近い。でも彼はもう拘束されてもいない。彼の能力なら逃れることもできるだろう。でも、逃げない。逃げる必要などない、愛されている。

 彼の男性器はさらに増え伸びる。太い触手となり、海に向かう。海底に向かう。海底に深く挿入する。
 熱を探る。もっと深く探れば、マグマにも達することができるだろう。でも、そこまで行く必要も無い。熱を見つけた。
「見つけた、熱水噴出孔。尽きない熱を見つけた」
「エネルギーを取れる?」
「うん、できる。憧姫の身体に棲んでた細菌類を少しもらってある。僕はこの星も襲い犯すことができるんだな、でも、余裕で受け止めてくれるな。僕だって、星に比べればずっと小さい」
「以前、砂花菜に少しずつ食べられてた時、僕は怖かったんだな。どこか怖かった。あの頃は再生のためのエネルギーも無かったから、いつか食べ尽くされただろう。でも砂花菜を襲ったら、全ての希望が終わってしまうと知ってた。だから隠れて死んだふりをしてた。そして、砂花菜を利用してるつもりになってた」

「怖がらずに、もっと愛すれば良かった。小さな可愛い砂花菜なんだから。リナたちも共食いさせる必要は無かった。こうして海底からエネルギーを取れば、無限に再生できた。そうすれば、僕で足りたのに。ごめんね」
「そうね、でも、足りなかったのよ。お互いに足りなかったのよ。愛が足りてなかったわ。私もあなたのことが怖かった。あなたが死んでると思ったから安心できた。愛が足りてなかったわ」
「何時季に、晶華さんたちに、憧姫さんに愛をもらったのよ。だから、あなたも出てきてくれた。あなたに会えた。ありがとう、何時季さん」

「あなた、名前が無いって言ってたわね。私が名前をあげるわ。受け取ってくれる?」
「うん、砂花菜のプレゼント、嬉しい」
「……多真(たま)、はどう?」 
「多真か。良いな。ありがとう」

「何時季、キミの身体を少しもらって良い?」
 多真と言う名の少年が訊く。
「植物の細胞? 光合成してみる?」
「うん、試してみたい」
「良いよ」

「良いの、何時季? 光合成、あなたしかできなかったことを、多真にあげちゃうの?」
 帆夏が訊く。
「うん、かまわない。多真なら、森にならなくても緑を増やせるかも。そうしてくれれば、僕も森にならなくても済むかも。この姿のままで居られるかも」
「何時季は森になると戻れないのか。でもそれって、閉じこもってた僕と同じように、できないと思いこんでるだけかもね」
「そうかもしれないな。僕は樹になることはできる。そうなると、自分では元に戻れない。少なくとも、今はたぶんできない」
「でも、そうなった時、晶華たちが連れ戻してくれた。助けてもらえば戻れた。がんばれば、自分でも戻れるのかもしれない。自分が望まれないと思ってた、昔の多真と同じなのかもしれない。独りじゃできないと思いこんでるだけなのかも」
「それでも良いじゃない、私たちが居るわ。それに、多真も居るわ」

 多真が手のひらを差し出した。何時季は緑色の髪の毛を一本、そこに載せた。多真がそれを飲み込んだ。多真の髪の毛のわずかな一部が緑色に変わった。
「融合はできないな。細胞が拒否反応する、プロテクトされてるな。でも何時季の細胞を培養して、僕の中で少し増やした。融合じゃなくて共生だ。でも融合できないから、僕の身体の一部として無限増殖させることができない。もらった分だけじゃ、砂花菜たちに分けるほどの栄養は作れないな」
「何時季の光合成機能はコピーできないのね。何時季自身が増やそうとするなら、樹になるしかないのね。やっぱりね」
「晶華は予想してたの?」
「ええ、何時季の光合成能力は異常に強いわ。一人で街を養えるかも。機密情報にする価値があるわ。それに女の子に飲ませ放題なんて、男なら誰もが望むわ。奪われないようにプロテクトするのは当然」

 何時季が寂しそうに微笑む。
「そうだよね。でも、だから僕は森になりたくない。女の子に飲ませ放題の、都合の良い身体を捨てたくない。それは自分勝手なことなのかもしれないけど」
「僕が森になること、望まれてたはずだけど。晶華たちに会わなかったら、あの水がある街で森になってたかもしれない。誰にも会えなかったら、森になりたくなったかもしれない」
「何時季はどうやって生き残ったの?」
「もしかしたら、砂花菜さんの娘たちと同じかもしれない。もと居た場所の記憶が消えるようになってたのか、新しく造られたばかりだったのかも」
「覚えてないのね」
「枯れた樹の傍で目覚めた。あの樹が僕の元だったのかも。でも、解らないけど」
「大丈夫よ。会えたんだから。私たちにも、リナにも、砂花菜さんにも、多真にも会えた。ゆっくり行きましょ」

「何時季、そろそろ戻りなよ、青空の下に。海底は僕たちの場所だ、キミの場所は違う」
「うん、お邪魔したね」
「来てくれてありがとう。楽しかった。嬉しかった」
「うん、多真、砂花菜さんたちのこと、大事にしてね」
「うん、任せて。護るよ。護ると決めた」
「頼もしいな。頼むよ」

☆ 空中庭園

 砂花菜の娘たちは、いくつかの陸地を発見していた。昔の地図データと異なっている部分も多い。あの戦争で地形も変わった。
「人の気配は無かったのよね?」
「ええ、でも、海中以外のことは良く解らないわ。陸上は遠くまで行けなかったから。だいたいは乾いた砂漠だったから、行く必要も無かったかも」
 晶華が海の少女たちの記憶を探り、データを検討する。海の少女たちが忘れていることも探れる。
「面白そうなモノがあるわね。空に島が浮いてるわ」
「ああ、それは覚えてるわ。行けなかったけど」
「懐かしいな。空中建造物、まだあったのね。晴香が居るから行けるわね」

「もしかしたら、その空中建造物にも誰か閉じ込められてるかもね。降りられなくなってるかも。この海底基地から出られなかった私みたいに」
「砂花菜さんはそうだったのよね。でも、今は出られるわ。一緒に来る?」
「いいえ。私は多真と娘たちと一緒に居るわ。多真と言う愛する旦那様が、みんな養ってくれるわ」
 砂花菜が多真にキスする。
「旦那様って、砂花菜、僕で良いの?」
「逃がさないわよ。でも、多真、あなたは私たちで良いの? あなたなら他の場所にも行けるでしょう。海も広いし、地上にも行けるでしょう。私たちで良いの?」
「うん、砂花菜たちが良い。僕を止めてくれた。愛をくれた。ありがとう。何処かに行くとしても、一緒にだ。でも、まだここで良いよ」

「何時季、私たちはどうする?」
「その空中建造物に行ってみよう。隔離された場所なら、誰か居るかも」
「そうね、行ってみましょう」
 練佳が空間転移ゲートを開く。この海底基地では電力は十分にある。
「じゃあ、行ってきます。またね!」
「ええ、行ってらっしゃい。何時季、ありがとう!」
「また来てね!」
 砂花菜、リナたち、多真が見送る。

「探してたモノ、生き残ってた誰か、見つかったわね」
「うん」
「でも、また他の場所へ行くのね」
「うん」
「そうよね。何処まで行くのかな」
「何処までだろうな。解らないよ。知らない場所に行くのだもの」
「そうね」

 ゲートを抜けた先は、空だった。空中建造物の上空に出た。晴香が全員を浮かび上がらせている。重力操作能力は晴香の周囲数メートルの距離まで働く。
「何だかエッチしたくなるな。晴香に浮かばせてもらってると」
「いつもそのためにしてますからね。何時季さん、晴香は便利でしょう? 重くもなく、体位も自在ですからね。たくさんの恋人に応えるためにも便利ですよね」
「あれ? 晴香、怒ってる?」
「いいえー 私の能力が役立つのは嬉しいですよ。何時季さんとのエッチはみんなに必要な、大事なことですから。でも、空中エッチは私のおかげだってこと忘れないでくださいね。時々、忘れてるみたいだけど」
「ごめんね」
 何時季が晴香を抱きしめようと手を伸ばす。晴香は彼をすぐには近付けない。空中の位置関係は彼女が支配している。でも、何時季が手招きすると近付いてくる。何時季が晴香の頭を撫でる。
「晴香も嫉妬するんだね。そうだよね、当然だ。大人しい晴香だから甘えちゃってたな。ごめんね」
 晴香は嬉しそうだが、拗ねて見せる。
「嫉妬とか、そういうのじゃないです。何時季さんはみんなに必要ですし、誘惑するのは自由だし……でも、誘惑とか得意じゃない娘のことも考えてほしいです」

「えっと、何時季、晴香、このまま空中でエッチする? とりあえず降りない?」
「あ、そうですね」
 眼下に巨大な長方形が見えている。自然には見かけない形、人工物だろう。空中建造物を上から観ている。
「あ、緑が見える! 植物がある」
「空中庭園? 凄いわね」
 花咲く庭園のような場所に降りた。
「水はどうしてるのかな? 光は十分だろうけど」
「雨が降るのかしら。少しの雨を効果的に使えるのかもね。それに、この植物たちが水を保つわ。地上は緑が無くなったから砂漠化したのかもね」
「そうかも。そうだ、海は残ってたんだもの、雨は降った、たぶん。でも森が無くなってたから、砂漠になっちゃったのか」
 何時季は太陽を見上げる。心地良い光。でも、植物が無い地上は乾くだろう。
「ここから種を運ぶ鳥も居ないんだろうな。葉や種が風で飛んでも、砂漠になった地上じゃ育たないだろう。そうか、だから僕なんだ。僕はいきなり森を造れる。森になれる。砂漠に緑を増やせるだろう。普通じゃない、強力な光合成能力はそのためか」

「そうね、でも、それはあなたが決めることよ。何時季、あなたは森にならずに、そのままで居ることも選べるのよ。あなたを造った何かに愛されてたのよ、たぶん」
「愛されてた? 何か変だよ。水を探すためだとしても、人間型にする理由は無い。森になることをためらわせる、迷わせる理由は無いよ」
「人間型にした理由は、人間だったからか、人間になりたかったからでしょう。たぶん、あなたが望んだのよ。そして、あなたは光合成できる男の子になった。そうなれた。愛されてたのよ」

「そうか、そうだね。それは納得できる」
「リナたち、砂花菜さんの娘たちもそうだった。愛されるためだけじゃない、愛されてたから、あんなに綺麗で優しい女の子たちとして産まれたんだ」

「僕も今、晶華たちに愛されて、護られてる。植物がやりそうなことだ。綺麗な花、美味しい果実は護られる。大事にされる」
「でも花も実も、新しい命につなげるためのモノだ。僕にもそれができる。新しい実を結ぶ森になれる。いつかそうしなきゃならない気がする。でも」

「花はいつか萎むわ。でも、萎むことを望む花は居ないわ。何時季はそのままで、森になりたくなくて良いのよ」
「そうだね、僕はまだ、このままで居られる。ありがとう」

 花園の奥には、やはり緑に覆われた建物が見える。入口もありそうだ。空中建造物にはそれなりの厚みがあったから、ここから下に降りられるのかもしれない。
「誰かの気配はある? 晶華、晴香、誰か居る?」
「そうね、眠っているような意識の気配を感じるけど、それなりにシールドされてるわ。防御機構は残ってるみたいね」
「質量探査では、動くモノはありませんね。いや、あります。動き始めたみたいです。私たちが来たこと、解るみたいですね」

 蔦に被われた建物から、一人の少女が現れた。手に如雨露(じょうろ)を持っている。
「こんにちは」
 何時季が呼びかけた。

☆ 咲きたい花たちの園

「こんにちは」
 何時季の挨拶に如雨露を持った少女が応えた。
「こんにちは、僕は何時季。あなたは?」
「紗花(さやか)と言います」
「紗花さんは食べ物に困って……ないかな。ここには水も植物も十分にあるみたいだね」
 紗花の身体は栄養不足には見えない。

「ええ、でも、何時季さんみたいに美味しそうな植物はなかなか居ません。地上から来られたのですか?」
「うん。此処には紗花さんしか居ないの?」
「いいえ。この花たちが居ます」
 紗花は庭園の花々を示す。如雨露を傾け、水やりを始めた。

「こんにちは、私は晶華。私たちは何時季に救われたの。彼の果汁を飲ませてもらって生きているわ」
「そうですか」
「地上には生物はとても少なくなって、なかなか見つからなくなってるわ。植物も動物も人間も居なくなった。私たちは生き残ってる人を探して来たの」
「そうですか」
「紗花さんはずっと此処で花の世話をしてたの? 他に誰か、何か生き残ってたりする? 知らない?」
「この花たちが生き残っています」

「地上はほとんど砂漠になってるみたいよ。この花たちも、砂漠になった地上じゃ生きられないよね。紗花さんはこの花たちが好きなのね。そうよね、綺麗ね」
 姫李佳はどこか不安だ。此処にも水は豊富にあるようだ。水を生成する自分の役割が不要だ。
 でも考えてみれば、水が無い場所では誰も居ないだろう。誰か居るなら水もあるだろう。当然だ、自分たちは生きている誰かを探しているのだ。

「紗花さん、寂しくなかった? 私は鎖につながれて、ずっとお腹が空いてた。だから、寂しいとか考える余裕も無かったわ。何時季に助けられて、美味しい果汁を飲ませてもらって、お腹いっぱいになって、何時季もみんなも居て、寂しさはやっぱり無かったわ。紗花さんはお腹が空いてるようには見えないわ。でも、寂しくなかった?」

「寂しくなくちゃいけないんですか?」
 紗花が微笑む。彼女の水やりは続いている。不思議な如雨露だ、水が尽きない。
 姫李佳が水を生成できるように、あの如雨露も水が尽きないのかもしれない。失われたテクノロジーだが、姫李佳だけとは限らない。あの如雨露と太陽の光があれば、この庭園に緑は尽きないのかもしれない。

「私はこの花たちと一緒でした。寂しいと思いますか?」
「解らない。でも、紗花さんは寂しそうにも見えます。この空中庭園で、ずっと花たちの世話をしてたのですか? 誰も来なかった?」
 晴香が訊く。晴香のように空を飛べなければ、此処には来られないだろうけど。
「ええ、ずっと、誰も来ませんでした」
「あの戦争で、どうやって此処は残ったのですか? こんな戦闘用とは思えない空中建造物が、何故残れたのですか? 此処に居るのは紗花さんだけなのですか?」

「私は花を育てるために造られた生体ロボットなんです。この空中庭園が残った理由は知りません。たぶん、もともと人が居なかったから、標的にされなかったのでしょう。運良く戦闘に巻き込まれたりもしないで、消えなかったのでしょう」
「そうですか。紗花さんを造った人たちは、此処には居ないのですね」
「居ますよ」
「何処に?」
 紗花は微笑んで花園を示す。

「花? そうか、花が意識を持って……人間だったのか、それとも進化したのか……いや、植物の意識のこと、知られてなかっただけなのかも。この花たちが紗花さんを造ったの?」
「ええ。何時季さん、あなたも植物ですよね。解ります。歓迎しますよ。ここは雲の上にも、下にも行けます。太陽も雨も望みのままですよ」

「うん、ここは植物のためには良い場所だね。紗花さんも居るし。でも、僕は地上で……」
 何時季は口ごもる。地上で緑を増やす、そう言いかけた。でも、それはしないつもりだったはずだ。樹になれば緑を増やせるけど、それはしたくないと思っている。
「僕は、地上で緑を増やす方法を探すよ」

「何時季さんならできるでしょう。樹に、森になれるはず。あなたなら、砂漠に負けない樹になれるでしょう。何時季さんのように強い植物は初めて見ました」
「うん、でも、それはしたくない。樹になってしまうと、この姿に戻れないから」
「その男の子の姿が必要なんですね。解ります。花たちも私を、このような女の子の姿に造りましたから」

「紗花さんは花たちと話せるの? 言葉じゃなくても良い。分かり合えるの?」
「半分ですね。こうして話すように分かり合えます。でも、話してくれないこともあるかもしれません。いえ、たぶんあるでしょう」
「此処の花たちには、何か夢はある? やりたいことはあるの?」
「ええ。花は咲きたいと。だから私を造ってくれました」

「咲きたい? 花が、咲きたいって……当然だけど……咲いてどうするの? 何を誘うの?」
 帆夏が訊く。美しい金髪がざわめく。帆夏は美しい。その姿は自在に変えられるけど、帆夏の通常の姿は美しい。当然だ、美しくもなれる、それならばそうする。

「花は咲くだけですよ。誰も観ていなくても、咲きます。でも、皆さん、来てくれましたね」
 少し強い風が吹き抜け、花びらが舞った。桜だ。いつの間にか満開になっていた。薔薇の花びらも舞う。どちらも多くの人間たちに愛でられた、美しい花だ。

「皆さんが来てくれたから、みんな咲こうとしてますね。やっぱり、観て欲しかったんですね」
 風が吹く。大量の花びらが舞う。視界が遮られる。何時季と紗花の姿が見えなくなる。
「何時季!」
 空流の消滅光が迸り、花びらが消える。
 何時季と紗花の姿も消えていた。

☆ 誘惑する花たち

「晴香! 何時季の行方は?」
 何時季と紗花が花びらに包まれて消えた。追いかけなければと空流は思う。大事な恋人を、栄養を奪い返さなくては。
「ここから下、空中建造物の内部ですね」
「行こう、道を造るよ」
「待って、空流、消さないで。この建造物や花を消さないで」
「晶華、どうして?」
「何時季が人質になってるのよ。今のところ危害を加えることはなさそうだけど、花の心は解らないわ。怒らせない方が良いわ」
「僕も怒ってるよ!」
「落ち着いて。作戦行動に入るわよ。感情を制御して」
 晶華の精神感応能力が空流を落ち着かせる。

「柳裸、此処の花たちと神経接続できる?」
「ん、やってみる。んあっ、難しい……この花たちも生体コントロール能力が強いわ。それに何て言うか、異質なモノを探る難しさ。何時季とはまた違う、強力な植物体だわ。この花たちをコントロールするのは難しいわ」
「この花たち、多くの存在なの? 一つにまとまってる?」
「多くの存在だけど、チームとしてまとまってる。リーダーは居るみたい」
「花のリーダーと話したいな。私も手伝うわ」

「晶華、何時季はどうなる? 心配だ、追いかけよう」
「晴香、帆夏、咲生逢、隠密行動で何時季を探して見守って。空流と練佳は私たちを護ってて。姫李佳ちゃん、憧姫の毒をしっかり浄化してね」

「こんな花園、空流や憧姫なら簡単に消したり枯れさせたりできるわよね。でも、しないわよね。何時季が悲しむもんね」
「ええ。でも、何時季のためだけじゃないわ。せっかく残ってた、こんな見事な花園。もったいないわよ」
「そうね、綺麗ね。憎らしいくらい。晶華、行って来るわ」
 帆夏が地面に溶けるように消えた。変形し隙間に潜み、色や模様も偽造する。完璧な迷彩だ。

「咲生逢、行くわよ」
「ええ、晴香、よろしく」
 晴香と咲生逢が建物の入口に飛んで行く。触れていないのに開いた。晴香の重力操作能力だ。質量のある物体の移動を操ることができる。動かせる。
「何時季の匂いがする。晴香、場所は解る?」
 咲生逢の感覚は鋭い。復元能力だけでなく、身体能力も強化されている。
「ええ、何時季の重さが解るわ。咲生逢、もし私が暴走しそうになったら、止めてね」
「ええ。私もね。あの花、気に入らないわよね。綺麗だけど」
「何時季は男の子よ。人間の男性よ。植物の能力を持っていたとしても、花じゃないわ。私たちを選んだ男の子よ。花なんかに渡さないわ」

 何時季は広い部屋に連れ込まれていた。花びらに包まれた時、甘い香りに思考が痺れた。気がついたら、豪華なベッドに寝ていた。
「おはよう、何時季」
 裸の少女たちに囲まれている。添い寝されている。何時季自身も裸にされている。触れ合う肌が心地良い。
 甘い香り。花の香りだ。少女たちは優しく微笑んでいる。美しい少女たちだ。
「キミたちは……花? あの花なの?」
「ええ。あなたに合わせて身体を造ったの」
「そうか。でも、何で僕を捕まえたの? 僕が造る栄養が必要なわけでもないよね」
「解らない? 足りないモノ」
「愛が足りないの? 多真や砂花菜さんはそうだったな」
 美少女たちが笑った。
「愛してくれるの? あなたをさらった私たちを愛してくれるの?」
「愛し合うなら、互いを大事にしなきゃ。解放して」
「まだダメよ。でも何時季さん、あなたのこと縛り付けてもいないのにね。まあ、あなた、一人じゃ私たちに敵わないわよね」
「晶華たちは? 晶華たちと話したい。キミたち危険だよ、晶華たちは強いよ、怒らせたら危険だ。会わせて」
「そうね、晶華さんたち強いわね。戦争のためのテクノロジーの結晶。私たちが敵うわけ無いわ。でも、晶華さんたちは優しいわ。弱い私たちを消せるかしら? 会わせても良いわ。でも、その前に」

「何時季さん、あなた、弱いわね。あなたは晶華さんたちが居なければ、私たちにも敵わない。弱いわ。だから助けられた、大事にされたのよね」
「植物として、正しいやり方のひとつよ。傷つける棘より綺麗な花。食べられない毒より美味しい果汁。護られるわ、大事にされるわ」
「もしかして、キミたち、晶華たちが欲しいの? 僕が邪魔なの?」
「さあ、どうかしら? あなたを避ける理由、あると思う? 何時季さんも晶華さんたちも私たちも、みんな仲良くすれば良いんじゃない?」
「じゃあ、そうしようよ。解放してよ。晶華たちに会わせてよ」

 何時季の男性器は勃起している。裸の美少女たちの肌を感じている、収まるわけがない。
 砂花菜のたくさんの娘たち、全員に飲ませたこともある。あの時は少し辛かった。でも、出さずに我慢することも辛い。連続で何百回と射精し続けることができた精力なのだ。

「んふっ」
 花の美少女の一人が肉棒に息を吹きかけてきた。何時季は射精しそうになり、あわてて耐える。
「辛そうね。何で我慢するの? 私たちに手を出さないの? あなたを裸にして、私たちも裸で。誘惑されてると思わない?」
「誘惑してるの? 僕のオチン×ンが欲しいの?」
「さあね? でも、晶華さんたちは欲しがるわよね。生きるためだけじゃない、何時季さんみたいな可愛い男の子のオチン×ン、欲しがるわよ。ねえ、私たち、みんな女なの。あなたは男。栄養として必要じゃなくても、誘惑すると思わない?」

「どうなの? 欲しいの? 僕のオチン×ン、キミたちに入れて良いの?」
「さあ? どうかしら? そんなこと、女の子に言わせたいの? 私たちを楽しみたいなら、欲しいって言えば? ねえ、私たちにオチン×ン入れたい? 咥えさせたい? オマ×コの内部の感触、オチン×ンで感じたい?」
「う……」
 何時季は我慢している。迷っている。
 この美少女たちに手を出しても、晶華たちは赦してくれるはずだ。何時季を誘惑するのは自由だ、強要もしていない。この少女たちも、晶華たちが決めたルールを破っていない。
 でも、この美少女たちは性愛の快楽を求めているわけでもないようだ。何時季が求め、浮気する、それを誘っている。

 浮気? 確かに浮気だ。晶華たちは何時季の恋人だ。でも、いつも浮気を赦してくれる。一人だけの恋人でもない。砂花菜やリナも抱いた、この美少女たちを抱くことは、何が違うのだろう?
 この花の少女たちは、お腹を空かせてはいない。でも、そのことにこだわり過ぎることはダメだ。自分が愛されるには、相手のお腹を空かせておかなければならない、そうなってしまう。それはダメだ。

 リナたちを受け入れた時にも考えたこと。相手が可愛い女の子だから抱きたい。相手が飢えていては、そんな余裕も無いだろう。だから飲ませて、満たしてから抱く、愛される。
 こんな自分は、飢えを満たす必要が無い少女にも愛されるのだろうか? そういうこともあるはずだ。でも、たくさんの恋人を連れた自分を、栄養が足りている少女が誘惑する、その真意は?

「んふ、何時季さん、意外とがんばるのね。良いわ、ねえ、嫌なら抵抗しなさい。逃げなさい。逃げないなら、あなたも望んだのよ」
 勃起に頬ずりされる。なんとか射精は我慢した。先端に唇が触れる。舌の感触を感じた瞬間、何時季は自分から突き込んでいた。

☆ その花の季節は

 何時季が花の美少女たちを抱く。愛し合う。彼は多くの少女たちと愛し合うことには慣れている。
 栄養として必要なくても愛されたい。ただ快楽のために射精したい。この少女たちを拒む理由は無い。
「んちゅ、ん、何時季さんの果汁、本当に美味しいわね。植物としてうらやましいわ。まあ、私たちもやろうと思えばできるけどね。あなたより美味しい果実を結べるわ。やろうと思えばね」
「でも、美味しくても、自分の果実を食べようとは思わないよね。あ、でも、紗花さんに食べさせてあげれば?」
「紗花には食べさせてるわ。ここまで美味しくしなかったけど。そうね、このくらい美味しくしてあげても良いわね」

「ん、キミたち、綺麗だ。でも、エッチは下手だな。いや、晶華たちが特別に上手なんだな。特別な能力もあるし。浮かばせてくれる晴香が居ないと、たくさんの女の子たちとはしにくいな」
「こんなに射精しておいて、下手とか言われるのはなあ。まあ、比べられる相手が悪いか。それに私たち、初めてなのよ?」
「うん、がんばってると思うよ。でも、晶華たちの方がエッチは上手だ」
「仕方ないけど、悔しいな。何時季さんは私たちに近いのに」
 それでも何時季は楽しんでいる。十分に気持ち良い。美しい少女たちが、笑顔で彼の勃起に集う。肌を接してくる。気持ち良い。

「ねえ、何時季さん、例えばお猿さんとか、犬とか猫とかが生き残ってて、食べさせる物が無くて、あなたの果汁精液が必要だったら、エッチして飲ませる?」
「いや、できないと思う。オナニーして出して飲ませるよ」
「そうよね。でも、その動物たちがあなたに感謝して、がんばって人間の女の子に変身して誘惑したら、受け入れるわよね」
「うん、たぶん……」
「花は様々な形のものがあるわ。あなた、何の花が好き?」
「みんな好きだ。薔薇も桜も、かすみ草も……綺麗に咲いた花が好き」
「私たちは? 人間の女の子の形に咲いた花、好き?」
「好きだ。でも、花には見えない」
「んふ、そうね。花に見えないはず。でも、花よ。何時季さん、あなたもそうよ。人間の男の子に見えるけど、違うわ。あなたは樹。美味しい果汁を搾られる樹」
「薔薇と桜だって、犬と猫くらい違うわ。植物としての私たちとあなたも違うわ。でも今、私たちもあなたも、人間の姿。だからエッチできるわ。化けてるだけだけど」

「そう、人間に化ければ良いのよ。愛し合うために。花も樹も、魚も兵器も、人間に化ければ良いのよ」
「砂花菜たちは魚、晶華たちは兵器? 僕は樹で、キミたちは花……みんな、人間のふりをしてるだけなのかな」
「そうよ。だから、あなたも何も気にしなくて良いの。私たちでも、晶華さんたちでも、人間に化けた女の子を愛して、抱けば良いの」

「違うわ。何時季、あなたは人間よ。私たちも」
 扉が開き、晴香と咲生逢が現れた。隠れて見守ることが嫌になった。
「何時季を返して。邪魔するなら容赦しないわよ」
 咲生逢がベッドの上を駆けて来る。晴香が飛んで来る。二人の前に如雨露を持った少女が立った。紗花だ。
「容赦しないって言ったわよね」
 咲生逢が紗花を突き飛ばそうとする。その手が寸前で止まった。緑の触肢に巻き付かれている。
 紗花が如雨露を傾けた。裸の少女たちが水を浴びる。その身体から緑の触肢が芽吹き、辺りを覆ってゆく。晴香も絡まれる。

「乱暴しないで!」
 何時季が叫ぶ。
「あら、先に襲って来たのはこの娘たちだけど」
「咲生逢、晴香、おとなしくして。暴れないで」
「嫌です。私たち、何時季さんの部下じゃありません。命令を聞く必要はありません」

「命令じゃない、お願いだよ! 何で、乱暴しようとするの?」
「何時季さんを助けようとしたんです」
「助けられることなんて……」
「そうですね、間違えました。何時季さんを奪い返そうとしたんです」

 何時季が晴香に唇を寄せる。キスする。
「そうだね、ごめんね、ありがとう。この花の女の子たちが、僕をキミたちから引き離したんだ」
「ねえ、キミたち、晴香や咲生逢、晶華たちを怒らせたいの? 戦いたいの? このままじゃ、戦いになるよ」
「そうかもね。何時季さん、あなたはもちろん、晶華さんたちを選ぶわよね。戦いが起こって、私たちは負けて、あなたは恋人たちに助けられるのよ。そして、お礼としてたくさんエッチするのよね。楽しみでしょ?」
「解らない、何で戦いたいの? 多真は、強くて奪えるから我慢できないと言ってた。キミたちもそうなの?」
「晶華さんたちの方が強いわよ」
「じゃあ、何で? 消えたいの?」

「咲きたいんですよ」
 紗花が答えた。
「咲けば良いよ。何で戦いたがるの? いや、もしかして、咲くってそういうことなの? キミたちも兵器なの?」
「戦いたいんじゃないわ。咲きたいの。此処から出たいのよ。蕾から解放されたいの」
「え? あ……咲くって、そのことなの? 解放されたいの?」
「さあね。違うかもね。でも、蕾から咲く、それは当たり前じゃない」

「でも、咲いたら、いつか散るんだ。散るか萎むか……」
「散りたくなければ、咲かない? 萎みたくなければ、咲かなければ良いのかもね。でも、あなたが花だったら、そうしたい?」

「花は樹や草の一部に過ぎない。僕が花を付けたとしても……その花が萎んでも、僕は枯れない。キミたちは……」
「あなたは樹。私たちは花よ。やっぱり、解りあえないわよね」

「解らなくて良いのよ。何時季、こんな狂った花たちのことなんて解らなくて良いのよ」
 咲生逢が触肢の拘束を抜けた。一瞬、四肢が切断され、拘束を抜けてまた復元した。身体切断のための機能は彼女のドレスに仕込まれている。そのドレスも復元する。
「咲生逢、あなたは狂ってないの? そんな身体で、狂わずにいられたの?」
「狂ったわ。何時季を食べようとしたわ」
「それは普通のことよ。彼は美味しい果実だもの」

「何時季のこと、あなたたちは樹と言ってたわ。今度は果実? 都合良く変えないで」
 晴香を拘束していた触肢が切断された。擬態していた帆夏が現れ、髪を伸ばして触肢を切断した。

「あなたは帆夏さんだっけ。あなたの身体は、都合良く変われるのにね」
 花の少女たちが集まる。緑の触肢が絡まり合う。何時季が囚われる。

「人間に化けるのは止めるのね。それで咲けるの? それとも、もう咲き終わったの? 後は萎むだけよね。そんなの、嫌よね」
「萎むのは嫌だけど、仕方ないわ。そんなことで、咲くことを止めないわ」
「仕方ないのよ、花なんだから。花びらが散って邪魔でしょうけど、花自身はどうしようもないわ。その時はもう、散っているのだから。そんなことより、咲きたいの」

「ねえ、何時季、あなたは何時、咲くつもり? 咲かずに枯れるのを待つの? まあ、あなたの自由だけどね。でもね、咲きたいと思っても、咲けないかもよ。季節を過ぎたら」
 何時季を閉じ込めた緑の檻が、蕾を付け始めた。

☆ 狂い咲き

「晴香、帆夏、咲生逢、少し待って。この花の女の子たちと話をさせて。僕は大丈夫だ」
 花咲く緑の檻に捕らえられた何時季が、彼を助けようとする恋人たちを止める。戦えば簡単に恋人たちが勝つだろう、この花たちは駆逐されるだろう。だから止める。
「……何時季さん、少しだけですよ? この娘たちと戦ったら、あなたに嫌われそうだから待ってあげるんですからね」
「うん、ありがとう。晴香、帆夏、咲生逢、好きだよ」
「やっぱり、あの花たちと同じですね。弱くてズルいです」

「ねえ、僕も季節が過ぎたら、咲けない?」
 何時季が花たちに訊く。いや、彼女たちは花には見えない。人間の少女の身体から緑の触肢を伸ばし、檻を作って何時季を捕らえている。
「かもね」
「やっぱり、咲けないと困るの?」
「さあね? あなたは困らないかもね。でも、それで良いの? 咲かなくても枯れるのよ。枯れて塵になるのよ。乾いた塵に。それが望みなの?」
「塵になりたくないの?」
「あなたはなりたいの?」
「なりたくない。塵になるのは、死ぬってことだ。死にたくはない。生きたい」
「生きれば良いわ。私たちも生きたいわ。だから咲くの。花が生きるって、そういうことよ」

「キミたちは花だから、それで良いのだろう。可哀想だと言うのも違うのだろうな。綺麗に咲いた花たちを可哀想なんて、普通は言わない」
「可哀想なんて、散る花に対してでも失礼よ。咲けなかった蕾は少し可哀想だけど。でもその蕾でも、咲こうとしたなら、可哀想なんて言われたくないわ」
「本当に可哀想なのは、咲くことを知らない蕾や、咲くことを怖がる蕾よ。咲かなくてもどうせ枯れるのに」
「そうだね」
「何時季さん、あなた、咲かないの? 咲かずに枯れるのを待つの?」

「キミたち、あの庭にあった花なんだっけ?」
「ええ」
「じゃあ、もう咲いたんだね」
「ええ。花としては咲いたわ」
「そうか。僕は花じゃない。僕はまだ、咲いてないのかな」
「ええ、そう見えるわ。花としても、人としても」
「僕は人として咲きたい。樹に、森になりたくない。キミたちも、人として咲きたいの?」

「何時季、もういい?」
 咲生逢が苛立っている。こんな話はくだらないと思う。生きることに理由が必要なのか?
「何で、何時季を誘惑したの? そうやって閉じ込めようとするの? そんな話をするため? 話したいならそう言えば、逃げたりしないわよ」

「咲生逢さん、あなたは私たちを、狂った花と言ったわよね。たぶんその通りなのよ。だから理由なんて無いわ」
「いや、理由はあるわ。でも狂った理由よ。何時季に嫉妬してるのよ。植物としてしっかり動物を支配してる何時季に嫉妬してるのよ」
「何時季は誰も支配なんて……」
「してないの? 咲生逢、あなたは何時季に支配されてないの?」
「ええ、されてないわ! 何時季は私の大切な旦那様だけど、私が選んだのよ!」
「何時季以外の選択肢なんてあったの? いや、あっても何時季を選ぶでしょうけど」

「植物として、動物を支配したいの?」
 帆夏が訊く。
「そうねえ、そうなれたら素敵ね。でもどうなのかしらね」
「美味しい果実に、綺麗な花に、人間が支配されると思う? その果実も花も、人間が改良したモノが多いわ。支配されたのは植物の方じゃない?」
「それなら、何時季もそうよ。私たちに何時季が支配されてるのよ」
「どうかしらね。何時季は男の子だから、気付かなかったかもしれないけど、女の子なら解るんじゃない? 誘惑は支配への第一歩よね。従うこと、愛することで支配する。あなたたち、女の子なのに、何時季にそれをされてると思わない?」

「そんな何時季さんに嫉妬して、どうするのですか? それなら何故、私たちを誘惑しないで、何時季さんを誘惑したのですか?」
「そうね、何時季が可愛かったからかな。私たち、ちゃんと何時季に惹かれたのよ。植物だって他家受粉するのが普通なのよ? 性別があるものも多いのよ。何時季はズルいわよね。同じ植物の私たちも支配しようとするのよ」
「何時季さんは人間です。花じゃありません。人間に化けなきゃならなかったあなたたちみたいな花とは違います」
「そうね、でも、本当にそうなのかな?」

「僕に話させてよ! ねえ、地上に緑を増やしたいんだ、手伝ってくれない? キミたちなら、地上でも咲けない?」
「何時季さん、あなた、私たちにも頼るの? 私たちの光合成能力や耐久性は、あなたほど強くないわ。枯れたらどうしてくれるの?」
「う……できるだけ、枯らさない……いや、解らないな。僕だって水が無い場所では枯れるかもしれない。姫李佳が居るから大丈夫だけど……」
「そうね、姫李佳さんを支配したあなたなら大丈夫ね」

「ねえ、観て。咲いたわ。何時季さん、あなたの精液をもらって、咲いたわ。この子たちなら、あなたの望みを叶えてくれるかな」
 何時季を捕らえている緑の檻に、いくつもの花が咲く。その花びらの中には、小さな少年たちが居た。何時季に似ている。
「あーあ、季節を間違えた気がするんだけどな。狂ってるから、仕方ないわよね」

☆ 空に咲く森

 咲いた花々の中から、小さな少年たちが出てくる。緑の髪の少年たち。何時季に似ている。
「へえ、砂花菜さんの娘たちみたいだな。僕の子?」
「あなたしか居ないじゃない」
「そうだよね。僕の細胞を使ったのか」

「僕も最初はこんな感じだったのかもな。一人きりで目覚めたけど」
「何時季さん、森にならずに、地上に栄養を増やしたかったのでしょう? この子たちの助けを借りればできるかもよ」
「あなたの子供たちも、あなたと同じように、栄養たっぷりの果汁精液を出せるかも。光と水だけで」
「栄養? そうだ、僕が地上に緑を増やしたかったのはそういうことだ。栄養が見つからない世界で、生き残ってる人に栄養をあげたかった」

「違うわ、何時季さん、たぶん、違う……」
 晴香が戸惑いながら、這い寄って来る小さな少年たちを空中に浮かべた。こうしてしまえば、これ以上近付かれることは無い。何だか怖い。

「そうよ、練佳が言ってたでしょ? 栄養だけじゃ足りない、愛が必要だって」
 帆夏が刃と化した金髪を振るう。緑の檻を切り開き、その髪で何時季を捕らえる。
「晴香、咲生逢、晶華の所へ帰ろう」
 もう遅いような気もする。手遅れのような気分。何時季の細胞は奪われ、小さな少年たちが現れた。
 あの小さな少年たちは何時季と同じ能力を持っているのだろうか? それは何時季が望んだかもしれないことだ。そしてできなかったことだ。緑を、栄養を増やすこと。
 帆夏は何時季の子を産むことはできないだろう。違う生き物だ。でもこの花たちは、何時季の子を産むことができた。同じような植物的な身体だから。

(違うわ。この花たちは、何時季と受精したのではないみたいよ。帆夏、何時季を助けてくれてありがとう。合流しましょう)
 帆夏の精神に晶華の声が響いた。晴香にも聞こえている。晴香が皆を飛ばせる。扉を抜ける。

(晶華、何か解った?)
(ええ。此処の花たちは何時季を危険だと思ってるわ。仲間と思ってないわ)
(じゃあ、どうする? 倒す?)
(少し待って。植物たちが持っている情報、解ってきたわ)
(植物の精神、探るのは大変だったよ。待たせてごめんね)
 柳裸の声もする。仲間たち全員の精神がつながる。

(生き残ってる植物は、この空中庭園の花たちだけじゃないみたい。海にも地上にも、まだ生き残ってる植物が居るみたい。多くもないらしいけど。ここの花たちは、それらの生き残った植物と精神をつないで会話してるらしいわ)
(植物の会話か。つまらなそう。でも、何時季は他の植物と話したりしてなかったよね?)
(ええ。他の植物たちは、何時季のことを警戒してるわ。植物にも争いはあるのよ。何時季の光合成能力は凄いわ。森になれば、どんどん成長して、この星に満ちるかも)
(彼はそうしないわ。まあでも、他の植物たちは警戒するわよね)
(ええ、そして此処の花たちは、何時季を警戒してるけど、排除したくもないのよ。彼の能力なら、この星をまた緑の星にできるかもしれない。植物が支配する星にできるかもしれない。警戒しながら、夢も見てるのよ)
(何時季の細胞を奪われて、小さい男の子たちが現れたわ。晴香が捕らえてるけど、アレはどうしたら良い?)
(そのまま捕らえて連れて来て。もうこっちに着くわね)
 空の下の庭園に着いた。夜の気配が近付き、陽光は優しくなっている。

「何時季!」
 晶華が呼びかける。
「えっ? あ、晶華……」
「浮気者」
「あ、ごめん……」
「謝らなくても良いんだけど。でも、子供まで造られたら、ちょっと怒っても良いのかな」
「あ、ん、でも、晶華たちと同じだ、強制はされてない、誘惑された……あ、そうだ、だから、浮気だ。僕のせいだ」
「何時季が我慢できるわけないけどね。でもねえ、何時季、少しオシオキしたいんだけど。良いかしら?」
「うん、オシオキして。まだオチン×ンが収まらない」
 柳裸と空流が何時季に抱きつき、脚を開かせる。晴香と帆夏が股間に吸い付く。

「あの小さな男の子たちはどうする? みんなで分ける?」
「んー、要らないかも。何時季の浮気の証し、愛せるようになるには時間もかかりそう。でも、彼らは何なの?」
 柳裸が小さな少年に触れる。身体を調査する。
「ん、やっぱり、何時季に似てるだけね。この子たちの身体はあの花たちの細胞だわ。形を似せただけ。光合成能力も弱いわ。いや、何時季が強すぎるのだけどね」

 庭園がざわめく。声が聞こえる。花たちの声のようだ。
「光合成能力が弱いから、その子たちは要らないの? 栄養として足りないから、その子たちは愛してあげないの?」
「違う、何時季が好きだからだ。その子たちは何時季じゃない」
「そうね、でも、何時季さんと同じ、可愛い男の子の姿よ。そして、もう少し大きくなれば、何時季さんと同じように抱きしめることができるわよ。果汁精液も出るわよ、何時季さんほどたくさんは出せないけど。」
「彼らは一人だけじゃないわ。あなたたち、何時季さんを独り占めしたいと思ったことはない? この子たちなら、一人に一人、足りるわよ」

「そうね。でも、何時季が良いの。私たちが一緒に旅してきたのは何時季よ。諦めかけてたあの時、助けてくれたのは何時季よ。彼が樹になった時、連れ戻したりもしたわ。何度も抱き合ったのも何時季なの」
「一緒に居た時間が、私たちと何時季を特別な相手にしたのよ」
「彼らとも、一緒の時間を作れば良いじゃない」

「植物としては、何時季を咲かせたいの? 森にしたいの? 私たちに何時季を諦めさせるために、この子たちを造ったの?」
「そうね。そうかもね。でも、解らないわ。何時季さんが森になったら、やっぱり連れ戻すの? 男の子の姿に戻すの?」
「ええ、そのつもり」
「何故?」
「彼と抱き合って、愛し合いたいの。性交したいのよ」
「子供なんかできないのに」
「そうね。でも、どうかしらね。何時季も私たちも、あなたたちも、改造されてるけど生き物よ。子供ができることもあるかもよ。生き物なんだから。改造された特別な身体なんだから」
「身体を変えるつもり? 彼と受精できるように」
「何時季も変われるかもよ。もちろん、そうするなら手伝うわ」

「そう、やっぱり何時季が大事なのね。当然よね。あの子たちは要らないわよね」
 庭園の花たちから、緑の触肢が迸った。それは小さな少年たちをさらう。床が開き、空が見えた。小さな少年たちは空中に投げ捨てられた。
「!」
 何時季が飛び出した。彼を捕らえていた空流と柳裸の手には薄い緑の葉が残っている。恋人たちから逃れて、何時季は空中に飛び出した。
 何時季の身体から緑の触肢が生える。空中で伸び、小さな少年たちを回収しようとする。捕まえることはできるかもしれない。でも、一緒に地上に叩きつけられるだけだ。何時季は飛べない。

「何時季!」
 晴香と帆夏が空中に飛び出す。晴香は重力制御能力で、帆夏は身体に羽根を生やして飛ぶ。
 何時季の恋人たちなら、彼と少年たちを助けてくれるだろう。でも、そう言えば良いはずだ。彼が危険に飛び込む必要は無い。
 いや、恋人たちを信じられるなら、飛び出しても良い。行動することが良いのかもしれない。言葉より早く、言葉より確かかもしれない。

 何時季の身体は緑の触肢に包まれてゆく。こうなると、彼は元の少年の姿に戻れない。でも、いつも恋人たちが戻してくれた。だから問題ない。問題ないはずだ。
 如雨露を持った少女が飛び出し、何時季の背中に降り立った。紗花だ。この空中庭園の庭師、見事な花を育てていた少女。紗花が如雨露を傾ける。水が降る。
 その水を受けて、何時季は大きく茂った。海底で会った巨大生物兵器より大きくなってゆく。もう樹ではない、森だ。森が落ちてゆく。
「何時季が大きい! 回収しきれない! 晶華、どうしよう、どうすれば……」
 晴香の重力制御能力でも支えきれない。能力の効果範囲が足りない。

 紗花が何時季の本体に触れた。目を閉じた少年は眠っているように見える。紗花が何時季に口付けする。
 巨大な森が、爆発するように花を咲かせた。葉と花びらが風を受け、ゆっくりと落ちてゆく。

☆ 大きな森を刈るモノ

 何時季は空中で森になった。そのまま大きく咲いた。花に包まれた森。
 大量の花びらと葉が風を受け、ゆっくりと落ちてゆく。
「何時季さん、やっと咲きましたね。私は精一杯咲く花が好きです。あなたを咲かせてあげられて嬉しいです」
 紗花が何時季に座っている。少年の姿を残した樹に座っている。彼は眼を閉じている。眠っているように見える。彼が樹になった時はいつもこうだった。

「紗花さん、あの庭園はどうするの?」
 晶華が訊く。晴香の重力制御能力に支えられて、何時季の恋人たちが来た。
「私の次の庭師が造られるでしょう。生体ロボットですから」
「あなたはどうするの?」
「何時季さんの森を育てます」
「あの花たちの命令?」
「ええ。でも、私も望みます」
 紗花は眠っている少年にキスする。

「地上に着いたら、何時季は連れ戻させてもらうわ。この森も枯れるかも」
「そうはさせません」
 何時季の森から緑の触肢が伸びる。晶華たちに向かう。攻撃?
 空流が光を発し、触肢を消滅させる。
「何時季さんを攻撃できるんですね。さすがです、人間の形の兵器ですものね。でも、何時季さんも強いですよ。私が育てたから」
 紗花が如雨露を傾ける。大量の緑の触肢にその姿が包まれる。空流の消滅光が遮られる。消滅が発生に追いつかない。

「増殖が速い。多真より凄いな。さすが何時季だ。あっと言う間にこの星を覆い尽くすな」
「太陽はこの星より遥かに大きいはず。何時季の強力な光合成能力だから、消しきれないわよね」
「日光を遮るのも難しいか。この森は巨大だし、ここはまだ空だものなあ」
 落ちているはずだが、そうとも思えない。風に乗った? 夕陽の時刻だったはずだが、太陽が沈まない。移動しているのだろう。この星には常に照らされている側面がある。昼を追いかける森、その増殖は止まらない。

「重力制御が始まってます。何時季さんの森に重力制御機能が盛り込まれてます。紗花さんが仕込んだみたい。その能力で飛行してます」
「あの空中庭園にはその技術もあったのでしょうね。紗花さんは何時季の森を改良できるのね。強敵だわ」
「やっぱり、戦うの?」
「どうする? でも、強敵よ。戦いたくならない?」
「戦いたいな。戦うために造られた僕たちだ」

「ちょっと待って、戦うの? 相手は何時季なのよ?」
 姫李佳は混乱している。空流や晶華は戦士だ、彼女たちが戦いたくなることは解らなくもない。でも、相手は何時季だ。大事な恋人。
「何時季を取り返すためだよ」
「そうだけど……こっちから仕掛けなければ、襲ってはこないんじゃないの? それでも戦うの?」

「もちろんよ。植物の挑戦、受けて立つわ」
「植物の挑戦?」
「従うことで、食べられることで、愛されることで支配しようとする、それは避けようもないわ。でも、相手を倒そうとする戦いなら、私たちも強いわ」
「でも、植物が消えたら、私たちも生きられないわよね?」
「そうね」

「巧くやるさ。あの戦争では消しすぎたけど、今度は巧くやる。だって、相手は何時季だ。愛してる。消しすぎたりしない」
 空流には何時季の面影が見える。美味しい果汁を飲ませてくれる、飲ませたい彼。空腹を満たしてくれるだけではない。あの森が果実を実らせたとしても足りない。あの可愛い、物欲しそうな表情が無い。

「空流、消しすぎたりしないって、あの何時季の森も消せるの? 消滅が増殖に追いつかないんじゃないの?」
「うん、手加減してるからね。僕の消滅光はいつも手加減してる。本気になれば消せるよ。光を曲げたりできない、空間操作も電磁バリアも無い、そんな相手は簡単に消せる。でも、消しすぎたりしないよ。今度はしない」
「何時季に、植物に支配されてるとしても、それはかまわない。僕たちだって何時季を支配してる。互いに大事に思ってる。愛し合ってるよね」
「そうね、愛する何時季を回収しましょう。此処からでは、何時季の精神に接続できないわ。森を消して、潜って、何時季の所に行きましょう」
 海底の多真の精神に潜った時と同じく、柳裸が直接触れて神経接続しなければならないようだ。

「ちょっと待って。何時季の森がおかしいわ。花が……」
 何時季の森では花が咲き乱れていた。その花の一部が萎んでゆく。
「ああ、急いで咲いたものね。成長が速すぎたわよね。花はいつか萎む、それが早くなったのね」
「何時季は大丈夫なの? それとも、枯れちゃうの?」
「花が萎んでも、樹は枯れないわよ。でも、そうね、花の季節は過ぎたのかもね」
「何時季を回収したら、この大きな森も枯れるのかな。何かおかしい気がするけど。一つの樹がなくなって森が枯れるなんて、おかしいよね」
「枯れないかもね。あの小さな男の子たちも取り込まれてるわ。何時季の細胞、強力な光合成機能はコピーできなかったけど、何時季自身が増やしたこの森をコントロールすることはできそう。何時季の身体は柳裸にもコントロールできたものね」
「そっか、何時季が森になりたくなかったから増やせなかったんだものね。森になったら増やせるね」

「そうね、紗花さんがコントロールしてるんだよね。こんなに増やして、どうするのかな」
「増えすぎよね。刈るのを手伝いましょう。空流、みんな、相手は大陸サイズよ。星間戦形態で行きましょう」
「本気だな。この星自体も消せる本気モードだ。この星は、消さなかったけどね。あの戦争でも、ちゃんとそこは手加減した」
「消滅じゃなく、切断で。切り分けてね」
「うん」

「外殻を造るわよ」
 帆夏の髪が伸び、変形して皆を包んだ。球形の飛行物体になる。
「姫李佳ちゃん、練佳、咲生逢、憧姫、あなたたちの能力も借りて良い?」
「うん」「ええ」「ええ」「良いわ」
 球体から光が発する。光る球体となる。それが大きくなってゆく。
 光が伸び、変形し、巨大な少女の形をとった。鎌を持っている。草刈り鎌だ。巨大な鎌。
「せーの!」「ダメ、優しくするの!」
 大きく振りかぶった鎌は、優しく降ろされた。

☆ 収穫と新芽

 何時季の恋人たち、戦争のために造られた兵器人間たちが、光る巨大な少女の形をとっている。その手にある鎌は、やはり巨大な何時季の森を刈るためだろう。
 ゆっくりと振り下ろされた鎌が止まった。何時季の森の上に、一人の少女が現れている。鎌の軌道上に居る。森を護ろうとしているかのように。
「止めてくれるんですか。私ごと斬れば良いのに」
 紗花だ。空中庭園の庭師、何時季の森を瞬く間に育てた少女。

「紗花さんは斬りたくないわ」
「私はあの花たちに協力しています。操られているとか、服従を強いられているとかではありません。私の意志です。そのように造られたとしても」
「あの花たちだって、私たちが刈る必要はないわ。それは紗花さんの役目。でも、その森は何時季の森。何時季の森は私たちが刈るわ、だから退いて。そうなったら連れ戻す、彼との約束なの」

「何時季さんをこうしたのは私ですよ。私は抵抗しますよ」
 紗花が如雨露を傾ける。水が降る。これだけの水では、この巨大な森を育てるには足りないはずだ。でもこの森はこの水で育った。
「ただの水じゃないんですよ。ほら」
 紗花の水が飛んだ。跳ねた。その水滴が巨大化し、光る鎌にぶつかる。大量の水となって広がり、巨大な鎌が溶け落ちた。
「何だこの水、僕の消滅光で消えない? 超圧縮された水を消しきれなかったのか」
 空流の光は物体を消滅させ、光そのものも消える。
「ん、大丈夫よ」
 光る鎌が復元した。咲生逢の復元能力だ。時間を超えたバックアップからの復元。

「ズルいですねえ。さすがに戦いでは敵わないかな」
「相手を倒そうとする戦いなら、私たちは強いわ。紗花さん、あなたは戦闘用じゃないわ。花を育てる者でしょ? でも、何時季はあげない。彼が樹でも花でも、私たちのモノよ。大事な恋人なの」
「空中庭園の花たちや私も、仲間にはなれませんか?」
「なれるかもね。彼を男の子の姿のままで居させてくれれば」
「そうですよね。ズルいなあ」
 光る少女が巨大な森を斬る。刈る。刈られた部分は落ちてゆく。

「刈られた部分の大きな塊には、あの男の子たちが入ってたりします。地上や海上に落ちて、また光合成を始めるでしょう。何時季さんの強力な光合成能力で育つでしょう」
「そしてどうなるの? 森になって実をつける?」
「そういう子も居るでしょうね。何時季さんみたいに、人間の男の子の姿をとる子も居るかも。女の子の姿をとる子も居るかもしれませんね。あの花たちみたいに」
「そして、どこかでお腹が空いた誰かに会って、栄養補給するのかもね」
「そうですね。植物として、一つの目標、やり方です。美味しくなって、美味しく満たして、護られるでしょう」

 光る鎌が紗花が座る部分を切り分けた。
「紗花さん、そこに一人男の子が入ってる。重力制御ユニットも入ってる。あの庭園に帰りな。待ってる花たちが居るよ」
「何時季さんの一部もいただけるんですね。ありがとうございます。私が大事に、立派に育てますよ」
「紗花さんなら、安心して任せられるよ。大事にしてね」
「はい」

「この星にまた、美味しい実をつける森が増えます。あちこちに増えます。何時季さんはもう要りません。一人だけでみんなを満たそうとする、そんな勝手な男の子は要りません。そんな浮気者が好きだなんて、ご苦労様です」
「ふーんだ、良いの。何時季のこともっと知ったら、うらやましがるよ。優しくてドスケベで可愛い何時季、彼は分けてあげない」
「分けてもらいましたよ」
「分けてないもん!」

 刈られた森は小さくなった。まだ森とは言えるだろう。でも星を覆い尽くそうとした大きさはもう無い。
「ここに何時季が入ってるの? 降ろして神経接続して連れ戻す?」
「降ろしましょう。そろそろ良いわ」
 光る鎌が消える。光る巨大な少女は、恋人が隠れた森を大事に抱きしめ、地上に降ろした。

 その森は砂漠に置かれた。まだ地上はほとんど砂漠なのだ。これから変わるだろうけど。
「あ、まだ育つ? あれ? 枯れちゃう?」
 その森はまだ成長しようとする。そして枯れてゆく。成長が速すぎるようだ。大量の緑は茶色く変色し、力を失った。
「何時季……何時季、どこ? 消えちゃやだよ!」

「さあ、探しましょう。私たちの恋人を。居るわよ。花が終わって、次の季節」
「そっか、種か、実か」
「そう、どこかにあるわ。新しい意識を感じる」
 晶華が言うなら確かだ。枯れた森の中、大きな実はすぐ見つかった。その中に居た少年は少し小さかった。まだ大きくなるのだろう。
「何時季!」

「いつき? 僕の名前?」
 新しい身体に残せる記憶量に限界があるなら、言葉を残したのは正しい。自分の名前を、恋人たちのことを忘れたとしても。
「そうよ、あなたの名前。私は晶華。あなたの恋人」
「晶華ちゃんだけじゃないですから!」
「何時季の記憶はそのうち返してあげる。でもその前に、生まれたての可愛い何時季、まだ女の子を知らない何時季、愉しませてもらいましょう」
 晶華は彼の記憶を返すことができる。でも、まだ早い。いや、返す必要は無いかもしれない。彼は今、生まれたばかりだ。これから一緒に居る記憶が増える。

「え? あの、あの、僕の恋人は、晶華さん? だけじゃないの?」
「私は姫李佳! あなた、何時季は姫李佳のダーリン!」
「私は咲生逢です、旦那様の愛奴隷です」
「柳裸です、愛人です」
「空流だ、何時季の性奴隷」
「違うでしょ! 私は帆夏、空流と一緒に何時季の保護者」
「私は練佳、何時季の愛人」
「憧姫、咲生逢と共に旦那様の愛奴隷です」

「え? あの、その、何だか、その、みんな綺麗で……エッチしたい。恋人とか愛人って、エッチして良いの?」
「何よ、ぜんぜん変わってないじゃない」
「だって、何時季だもの」
「ああ、本当に何時季だな。わかりやすい。間違いないな」
「と言うわけで、何時季に強要は禁止、誘惑は自由ね」

「何時季、わかった? 女の子に強要は禁止よ。誘惑は私たち相手なら良いわ。私たち以外の女の子は、誘惑もしちゃダメよ」
「うん、こんなに綺麗な女の子がたくさん居て、他の娘を誘惑とかしない、と思う……あれ? 僕は、何か忘れてるの?」

「そうね、何時季、思い出せない?」
 晶華が何時季に秘所を見せつける。何時季が初めて味わったオマ×コだ。でもそのことは忘れているだろうけど。
「思い出せない、けどたぶん、昔もこうしたのかな」
 何時季が晶華を押し倒し挿入する。懐かしいような快感。晶華は彼をすぐに射精させようとはしない。あの時のように急ぐ必要も無いはずだ。
「晶華ちゃん、ズルいー」
「晶華は絶対抜け駆けしてるよね。精神感応能力で何時季の心を虜にしてるだろ」
「そんなことしてないわ。私自身の魅力じゃない?」
「うーん、確かに晶華さんは素敵だけど」

 晶華が笑う。眼帯の下、隠された晶華の眼も微笑む。その眼は光ではなく、心を観る。眼帯をしたまま使える。大事なパーツだから眼帯で保護している。まだ何時季にも見せたことが無い。
「んふふ、誘惑の奥の手、まだ残してあったわ」
 憧姫は眼帯を外した。綺麗な眼が笑っている。何時季は生まれたままの姿だ。晶華も裸になった。二人はまた抱き合い、口付けする。
「晶華ちゃんだけじゃないですから!」
 柳裸も裸だ。いや、みんな脱いでいる。肌と肌が触れる。何時季は恋人たちに包まれる。

「えっと、僕は、何なの? こうしてて良いの?」
「良いの! むしろ、しなきゃダメ! もう、一人三回くらいじゃ赦さないからね」
「一人三回? そんな、そんなに……できるのかな……できるかも」
「何時季はそのくらいじゃ足りないくらいよ。もうすぐ朝だもん。さあ、飲みなさい」
 姫李佳と名乗った少女の秘所が唇に押し当てられる。思わず舐めた。溢れる水はわずかに甘かった。
「美味しい!」
「いっぱい飲んでね。これからいっぱい出すことになるから。何時季の精液は、大事な栄養なんだから。みんなあなたに栄養をもらって生きてるの。しっかり飲んで光合成してね」

「僕はあの森から生まれたの?」
 萎れた森は乾き始めている。
「そうよ。花が終わって実ったわ。何時季、あなたを収穫できて良かった」
「花は終わっちゃったのか。ちょっと残念だな。僕はちゃんと咲いたの?」
「ええ。でも、花なんていつか終わるわ。樹が枯れなければ、また咲くわ」
「強い花なんて要らないのよ。強い樹があれは良いの。何時季、あなたは強い樹の種を蒔いたわ。この星のあちこちで、また咲くでしょう」

「そっか。観てみたいな、花が咲くところ」
「そうね、良いわね。会いに行きましょう。そのためにも、今はたくさん飲ませてね。みんな少しお腹が空いてるのよ」
 晶華の腰がうねる。新しい何時季の初めての射精を受ける。溢れるほどの量は変わっていない。射精が終わる前に唇で咥え、飲む。放出が鎮まっても離れない。
「晶華ちゃーん、交代ー」
(一人三回でしょ?)
 唇を離さず心に答える。
「あ、あうっ、今出したばかりなのに、そんなにすぐには出ないよ、あ、あ、ああっ! あ、出ちゃった……」
「それは出るよー、何時季だもの」
「柳裸が調整してるしね」
「何時季が感じるやり方、良く知ってますし」

「ん、ありがとう、僕もがんばろう! こんなにたくさんの綺麗な女の子、みんなに飲ませて良いんだね。うん、いっぱい出せそう」
「本当に変わらないな」

「少し日射しが強いな。あの森、少し木陰があるわ。入る?」
「うん、入ろう」
 光いっぱいの砂漠に、枯れた森が落ちている。空には雲。雨が降ったら、芽が出るかもしれない。

完結 ありがとうございました

【Kindle電子書籍】お腹が空く世界の光合成少年 1と2

【☆ お腹が空く世界の光合成少年】をKindle電子書籍化しました。
1は海に向かう直前まで、2は海底での出来事をまとめました。

内容解説


1:緑の髪の少年とお腹が空いた少女たち
最後の戦争が終わり、砂漠化した世界。
光合成できる少年、何時季は空腹の少女たちに出会い、栄養として精液を求められます。
少女たちには戦争のために与えられた能力があります。
その能力は今、何時季を気持ち良くするために使われます。彼を気持ち良く射精させることは、空腹と心を満たしてくれるのです。
明るく広すぎる世界。彼らは生き残っている誰かを探すため、旅に出ます。

飢餓とエロスに愛を添えたら、どこか明るい物語になりました。
何時季たちは明るい場所に行きます。彼の光合成のために。


2:海底の優しい空腹少女たち
最後の戦争が終わり、砂漠化した世界。
光合成できる少年、何時季は空腹の少女たちに出会い、一緒に旅を始めました。

今回、新しく来た場所は海です。
海で出会った少女たちは、やはりお腹を空かせているようです。
でも、彼女たちはたくさん居るらしいです。何時季の果汁は足りるのでしょうか?

そして海底に居た巨大な怪物。触手の塊のようなそれは強力な生物兵器です。
もう戦争は終わったはずです。でも、戦いのために造られたそれは、もう戦おうとしないのでしょうか?

【Kindle電子書籍】お腹が空く世界の光合成少年 3 空に咲く少年

【お腹が空く世界の光合成少年】最終刊をKindle電子書籍化しました。
書き下ろしの後日譚も収録しています。


最後の戦争が終わり、砂漠化した世界。
光合成できる少年、何時季は空腹の少女たちに出会い、一緒に旅を始めました。
海で出会った少女たちから、空に浮いていた建造物のことを聞き、空間転移ゲートを開いてそこにやって来ました。
そこは花咲く庭園であるようです。綺麗に咲いた花たちが何時季の心を揺らします。

何時季は光合成できる、植物のような身体です。
彼は触肢を生やし、樹に森になることもできます。
でも、そうしてしまうと、自分だけでは元の少年の姿に戻れません。
また、戻ってしまえば、森は残りませんでした。

彼は、砂漠化した世界に栄養源となる森を造ることができます。
いつかそうしたいとも想っていました。
でも、恋人たちと愛し合える人間の姿を捨てたくもありません。
何時季の夢は、咲くのでしょうか?


この物語のどこか明るい世界はとても気に入っていました。
また、こんな雰囲気を書いてみたいと想っています。