☆ 永い夜の終わりは

 その後も恋人たちとエッチし続けました。一晩中続いてしまいました。

 性魔術師はエッチすると魔力を得られるのです。疲れないわけでもないけど、疲れを癒やす魔法があり、精力も尽きるどころか増してゆきます。

 こうして得られるパワーを、他の魔術師や儀式のために供給するのが、昔の性魔術師のお仕事だったらしいです。

「性魔術師がパワーを供給しなくなったのって、男性の性魔術師がいなくなったからじゃないの? おかしいわ。何で、そこまでして、男性の性魔術師を禁じるの? 禁じなければならなかったの? 支配することを禁じるだけじゃダメだったのかな?」
 魅月貴さんの疑問はその通りで、男子禁制の理由がよく解りません。

「そうね、解らないわよね。私も、はっきりとは知らないけど、想像はできるわ。晴陽兎君がもし、悪い子だったら、どうなると思う? 女の子を好きなように虜にして、エッチしまくって、無限の魔力を供給して。魔力が尽きない魔術師の軍勢を造れるわ。世界を支配できるかも」
 絵里庵先生の言うそれは、できてしまいそうで怖いです。まあ、僕はしないでしょうけど。

「んー、そうですね、晴陽兎ちゃんが望むなら、絶対服従の神好香はもちろん手伝いますし、たぶん、みんな手伝いますよね。でも、晴陽兎ちゃんは世界を支配なんてしないから、安心です」
 神好香お姉ちゃんのその信頼は、どこか子供扱いされているような気がします。
 でも、お姉ちゃんに子供扱いされるのはちょっと良い感じです。

「晴陽兎がその気になれば、世界はともかく、この国、この学園くらいは支配できそうね。まあ、しないでしょうけど。でも、晴陽兎に支配されるなら、私はその方が良いかも。晴陽兎なら、良いわ。晴陽兎なら、安心できるわ」
 そう言う魅月貴さんはちょっと悲しそうな、寂しそうな表情をしていました。

「ああ、そうね、私もその方が良いわ。もっと早く晴陽兎に支配されてたら、消えたくなんてならなかったわ。晴陽兎のことを考えるだけで、心も身体も燃えるわ。消えそうになんか、ならなかったわ」
 香凪羽さんは元気になりました。

 僕の性魔術に支配されたから?
 支配なんてしてません。してないはずです。

 でも、もし、支配してしまっていた、そうだとしても。
 香凪羽さんは元気になりました。嬉しそうに笑ってくれるようになったのです。

 性魔術で支配してはいけないという禁令。
 禁じなければならないくらい、容易いことなのでしょう。

 好きになった、願いを叶えてあげたい。

 そう思うのは、思ってくれるのは、禁じられた支配することではありません。たぶん。

 でも、僕には恋人がたくさんできました。
 みんなが僕を好きになってくれて、お願いを叶えてくれたから。

 僕のお願い、断ることもできたはずです。
 断られないだろうことは、知ってたけど。

 心が重くならないなら、それで良いのです。僕が避けるのは、心を重くして、動けなくなってしまうことです。
 動けるなら、もっと違う方法を探すこともできます。

 浮かれているだけなのでしょうか? やっぱり支配してる? そうでもあるのだろうけど。

 でも、それなら、恋人にならなかった? お願いしなかった? 受け入れなかった?
 それは、たぶん、もっと違う、何かおかしいことです。

「そうか、そうよね、こんな男の子が来たら、こうなるわよね。晴陽兎君みたいな男の子が、性魔術クラスに来たら。禁止しようと思う人が居るのは解るわ」
 聖螺さんは何だか納得しています。

「さあ、みんな、今日の授業が始まるわよ。午前中の授業は、夢の中でね。お昼寝しましょう」
 絵里庵先生は枕を持ってきていました。

 毛布やお布団、ベッドは教室にあります。
 ここは性魔術クラスなのです。

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