☆ 御主人様を召喚しちゃおう計画

 ここはとある異世界、グレイテストメイデンという王国である。
 グレイテストメイデンは奉仕種族の国だ。女性、正確に言えば少女しかいない。

 国のまわりは強力な鎖国結界に包まれ、訪れる者もない。

 そこで今、国を挙げての召喚儀式魔法が行われようとしていた。

 魔方陣の前で、女王リューナ・グレイテストメイデンは祈る。
 女王といってもその姿はかなり幼くみえる。ロリ女王だ。
 美しい金髪をなびかせ、女王は祈る。
(素敵な御主人様に、お仕えさせてくれ……できればロリコンで私をひいきしてくれるような……きっと、信じれば、夢は、かなう!……はず、だ……)

 巫女を務める、ピュア・グレイテストメイデン姫も祈る。
 栗色の髪の正統派美少女と呼びたい外見。かなり露出度の高い巫女服を着ている。
 しかし、自分では個性が薄いのではないかと悩んでいる。
(素敵な御主人様、来てください。私にも、目を向けてくれる人)

 姉をサポートするリリー・グレイテストメイデン姫も祈る。
 長い黒髪の和風美少女。着ているのは黒いゴスロリドレスだ。
 和服を着ていなくても、和風美少女なのだ。
 例えばセーラー服は和服ではないが、日本情緒にとてもよく合う。
 それはともかく。
 彼女は姉が無理をしなければいいと思う。姉のゲートを開く能力は、不安定なものだ。
 でも願いはかなってほしい。姉のためにも。
(姉さんを大事にしないヤツは殺します。姉さんを独占するヤツも殺します)

 その様子を見守るメイド服の少女は、王国のメイド長、マリオンだ。
 長い美しい銀髪を三つ編みにした、眼鏡の美少女だ。
 グレイテストメイデンの中でも、メイド長という、ある意味最高の地位にある。
 これまで奉仕する相手は選ばれた王族だった。
 王族と言っても、奉仕を受ける存在が必要だったから選ばれただけである。この国には必要な存在だが、彼女たちもまた主人を必要としていることが良く分かる。
 グレイテストメイデンには、男性が必要なのだ。
(御主人様と呼べる男性がいれば、この国も変わります。映像作品や関連書籍の売り上げも伸びるでしょう。御主人様、来てください。マリオンがあなたをスターダムにプロデュースします)

 やや不機嫌に儀式を見守る目もあった。
 黒髪おかっぱのナンバー2メイド、フェリア。
 彼女は、異界の者がどれほどのものかと思う。偉大なるグレイテストメイデンを、背負うに足る人物が現れるとは思えない。
 しかし、期待してしまう自分もいる。フェリアの夢は、いわゆる白馬の王子様が現れることなのだ。
(期待なんかしてませんが、どんなヤツが現れるかだけは、確かめさせていただきます。みんなの夢を壊したら、責任とってもらいます)

 祭壇の周りの少女たち、いや、この国の住人すべてが祈っている。
「素敵な御主人様にお仕えさせてください」
 巫女のピュア姫が念を凝らし、異界へつながるゲートを開く。
 国をあげて蓄えた膨大な魔法力で、妙齢の男性をサーチし、異世界の扉をこじあける。
(感じます。男性の気配を。これは……求められてる? 私が? 私を求める熱い思いを感じます! この人もらった!)
 そして魔方陣の中に、一人の少年が現れた。

☆ 御主人様は取り込み中

 少年は、名を高安真矢と言う。平凡な学生だ。
 ちょっとメイドマニア。それでいて他のコスチュームも好きで妄想力もたくましい。
 まあ健康な男子と言えるだろう。

 真矢はあお向けになってズボンとパンツをやや下げ、肉棒を露出していた。右手は勃起した肉棒を刺激している。
 左手には文庫版の小説本を持っている。かわいらしい表紙のエロラノベだ。ハーレムものらしい。イラストに描かれたヒロインは、どこかピュア姫に似ている。ちょうど読んでいたのは、主人公が美少女たちに連続で搾り取られるというお気に入りのシーンだ。

 今、まさにもてあます欲望を開放しようとしていた瞬間だった。
 状況が理解できない。自分は自室でオナニーしていたはずだ。

 真矢はあわてて身を起こすが、射精の衝動は止まらない。砲身は目の前にいた巫女服の美少女に狙いを定めた。

 かなり露出度の高いデザインの巫女服に包まれた少女のボディライン。
 それは少年を爆発させるのに十分な威力をもっていた。ドピュドピュと射精が始まってしまう。
 大量の精液が、ピュアの整った顔に降りそそぐ。ピュアはその瞬間アホ毛を震わせた。

(これは……伝説の、精液というもの?……すごい香り……)
 アホ毛の震えは彼女が性的に興奮し、絶頂に達したことを示していた。達してしまったことに恥ずかしくなり、彼女は顔を伏せる。

 「あっ、ごめん!」
 真矢はそれを勘違いして、彼女から狙いをそらそうとする。そのせいで精液のシャワーは、周りにいる少女たちに降りかかってしまう。

 少女たちは、その香りに酔ったように精液の感触を確かめる。顔についた滴りを指ですくい、香りを確かめ、味を確かめるために口に運ぶ。
 身体に染み込むような、初めての香り、初めての感触、初めての味。
 それなのに、いや、だからこそ、少女たちの深いところに刻まれた本能が燃え上がる。これは最高の御褒美なのだ、と少女たちは悟った。
 少女たちの身体は勝手に反応し、アホ毛が震える。何故この液体がこれほどの快感をもたらすのか、少女たちにもわからなかった。

 真矢は射精の快感が収まると、あわててパンツを上げた。身繕いしながら状況を整理しようとするが、よくわからないどころではない。
 逃げたい、隠れたい、と思うが、まわりを少女たちに囲まれていて逃げる場所はない。
 これは何だ。御褒美か天罰か。

「召喚の儀式は成功です! あのかたが御主人様です!」
 ピュアが宣言する。拍手が巻き起こる。

 ピュアの精液に彩られた顔を、メイド服の少女たちが舌で清める。くすぐったそうだ。
 真矢はその光景に深く感動し、心に焼き付けた。

 ピュアが真矢に近づいてくる。逃げ場はない。ピュアは一礼すると真矢の手をとった。
「ようこそ、グレイテストメイデン王国へ」
 巫女姫ピュア・グレイテストメイデンは、天使のように微笑んで真矢を迎えた。

 真矢は豪華な広い部屋に案内された。まるで宮殿のようだ。心地よいソファを勧められ、飲物が出される。薔薇のような香りがした。

 向かいには王冠をつけた少女がいる。幼い感じだが、ここの主人だろうか。王冠の少女の隣には巫女服の少女と、黒いドレスの長い黒髪の少女がいる。そしてメイド姿の少女たち。メイドのリーダーらしき少女は眼鏡をかけている。

 真矢は緊張していたが、彼女たちを観察したいという欲求にも逆らえなかった。失礼かもしれないと思いつつも、美少女たちから目が離せない。

 王冠の少女が話し始める。
「我はグレイテストメイデン女王、リューナ・グレイテストメイデンだ。そなたの名は?」
「高安真矢、真矢といいます」
 真矢は盛大に精液をぶっかけてしまったことで、とがめられると思っていた。これから始まるのは尋問だろう。そして罰としてあれやこれやですか。やはり御褒美ですか。

「ふむ、真矢、王国を訪れるに当たって土産を用意するとはよい心掛けだ。そなたのアレ、精液というものは、予想以上に美味でしかも気持ちよい。もしよかったら、今度は我だけにたっぷりと飲ませてくれぬか? もちろん、それに当たっては褒美もとらせるぞ? 何なりと望むがよい。信じれば、夢は、かなう!」

 ぱあん!とハリセンがうなる。眼鏡のメイド長のツッコミを受けてリューナの言葉は途切れる。
「リューナ様、それは抜け駆けでございます。真矢様はあなただけのものではありません」
「痛いぞマリオン! わかった、お前にも分けてやるから!」

 マリオンと呼ばれたメイド姿の少女が言葉をつないだ。
「真矢様、あなたにお願いがあります。私たちの、御主人様になっていただけないでしょうか?」
「は?」

(何? 僕が御主人様? ここは夢の国? いや、夢を見てるのか? それに僕の精液を飲みたいって……それはつまりアレですか? 僕、死にますか?)
「はい! OKです! がんばります! チャージ完了120%! 5・4・3・2……」

「マリオン、それはまだ早いです」
 黒髪おかっぱのメイドが口を挟んだ。
「ああ、そうでしたね、フェリア。では真矢様、しばらく私の話を聞いていただけますか?」
 真矢のカウントダウンはスルーされた。

 そしてマリオンが話したことは、真矢にはにわかに信じられない内容だった。
「この国、グレイテストメイデンは、はるかな昔、ある偉大な御主人様が創られたと伝えられています。そしてこの国の住人は皆、御主人様に奉仕することを、使命であり、最高の喜びと考えております」

「しかし、いつからか御主人様はいなくなってしまいました。この国は、御主人様だけが通行を許可できる結界によって、外と行き来できないようになっております。この国の中で、私たちはいつか御主人様に会える日を夢見て暮らしてきました」

「国民は奉仕の技を磨きあい、それを極めるために王族という仮の主人を選出し、王族に奉仕することで心の安定と秩序を保ってきました」

「しかしやはり、王族もこの国の住民です。心からお仕えできる御主人様がいてほしいという願いがあります。そこで魔法力をたくわえ、異界から御主人様となってくれる存在をお迎えすることにしました」

「そして現れたのが真矢様、あなたなのです」

「簡単に言えば男不足が深刻すぎて、時空を超えるパワーをうみだしたのじゃ。信じれば、夢は、かなう!」
 リューナ女王は再びハリセンでたたかれた。

「僕は、えーと、その、どうすればいいのでしょうか?」
「真矢様は、私たちに奉仕されるのはお嫌でしょうか?」
「嫌じゃないです! むしろ土下座してお願いするレベルです! 信じれば夢はかなうんだ! ナニしましょうか? ナニしましょう!」
 マリオンはハリセンをうならせ、優しく真矢を修正した。

「その前に、真矢様をテストさせていただきます」
 フェリアと呼ばれた、おかっぱのメイドが口を挟んだ。少しとげのある口調だ。

「フェリア、私が話しているのに」
「真矢様がふさわしい人物であるかはまだわかりません。それを確かめさせていただきます」
「もし真矢様が御主人様としてふさわしくないと判定された場合でも、再び真矢様を送り返す魔法力が蓄えられるまでは、快適な生活を保障しますので御安心ください」

 真矢は少し理不尽なものを感じた。異世界からそっちの都合で召喚しておいて、テストが必要だという。
「じゃあもし、テストに合格しても、僕が御主人様になるのは嫌だと言ったら?(嫌じゃないけど)」
「合格されれば、私たちにとっては、あなたは御主人様です。心より仕えさせていただきます。それでもあなたが私たちを拒絶なさるなら、それに従います」

「なんか、誰でもよさそうなんだけど、僕である必要はあるの?」
「それをこれから確かめさせていただきます。どなたにでも礼は尽くしますが、すべてを捧げて奉仕するのは、御主人様と認めた方だけです」

「じゃあ、どんな人ならいいの?」
「強く、気高く、美しい心を持つ方です!」
 フェリアは、うっとりとしっかりと宣言した。リューナ女王もうんうんとうなずく。
「信じれば、夢は、かなう!」
 彼女たちは、けっこう少女趣味をこじらせているらしい。

 真矢は彼女たちの眼鏡にかなうのだろうか。しかしここでがんばらなければならない。
 夢でもいい。まさに夢の御主人様生活が待っているのだ。

「わかった、そういうことなら僕をテストしてほしい。……その前に休憩もらえますか?」
 なぜかハリセンではたかれた。

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