☆ 観られる花の性魔術

 ダークエルフさんたちの砦に帰りました。クレナさんに、花少女たちを紹介します。

「しっかり摘んできたのね」
 クレナさんの微笑み。酔いそうになるのは、彼女が分泌するお酒の香りのせいだけではないようです。

「私たちをどうするの?」
 白い花少女が訊きます。

「魔術の材料にするのよ。燐夜に聞かなかった?」
「聞いたわ。どうぞ。できれば、燐夜が痛くないようにして。彼から離れた方が良いかな?」

「いいえ、そのままで良いわ。もう、完成してるわ」

「観られなくても、咲くのでしょう。でも、花は観られるもの。眼を誘うもの。燐夜に観られて、気持ち良かったでしょ?」

 僕の中の性衝動は視線から発してしまいます。僕に観られると、発情してしまうのです。
 綺麗な花は観たくなります。その花が女の子なら、発情させてしまいます。
 クレナさんに、この少女花を摘んできなさいと言われた理由が解ったような気がします。

「もう燐夜の一部なんだから、燐夜の性衝動、あなたたちも使えるわ。花の女の子、あなたたちを、燐夜も使えるわ。燐夜、あなたの性衝動、この花たちから発してみて」

 溢れる性衝動を、僕の肩や頭に花飾りのように咲いている花少女たちに伝え、発してみます。

「ああんっ!」「んあっ!」
 悶えたのは、クレナさんが従えているエルフ少女たちです。

 僕が観ているからではありません。僕を観たから。僕に咲いている花少女たちを観たから。
 眼を伝わる性衝動であることは同じです。

「ん、燐夜、離れてもできるの?」
 肩に咲いていた白い花少女が、僕から離れ、花飾りを着けた女の子になりました。

 僕の中の性衝動は彼女から発しています。離れても離れていないのです。

「できるみたいね。私たちとあなた、いつもつながってるから、当然ね。あなたの性衝動で、私、自分を護れるのね。護ってくれるのね」

「さあ、燐夜、恋人を助けてきなさい。できるわよ。この森に、男の子はあなたしかいないわ。今のあなたに逆らえる女の子なんていないわ」
 クレナさんの微笑み。
 楽しそうなそれは、花の洞窟のじょうろの少女を思い出させます。

「クレナさん、洞窟で、不思議な女の子に会った。じょうろを持ってて、この花たちを育ててた。知り合い?」
「そうね、燐夜、不思議な女の子だらけでしょ? あなたを捕らえていた森のエルフたちにも、あなたをそんな身体にした魔法師が居たでしょ? そうね、知り合いと言って良いわね」

「この森、エルフの森、どこかおかしい……不思議なこと、魔法とかとは別に、何かおかしい。それは、知ってるの?」
「そうね、おかしいわね。でも、何が? あなたが居ること? 人間のあなたが、ここに居るのも、おかしいわ。でも、それだけじゃないわよね。何が知りたい?」

 何を訊けば良いのでしょう?

 僕の昔の記憶が無いこと?
 僕以外の男性を見かけないこと?

 森のエルフが、人間に厳しいこと?
 あの洞窟のこと?

「何で、僕以外の男性は居ないの?」

「さあね。でも、男性がこんな森に近付くかしら? 燐夜みたいに、捕らえられて、燐夜みたいには耐えられなくて、壊されちゃうかも」
「そうだね、でも……他の所には、男性は居るの?」
「さあ、知らないわ」

 クレナさんは本当に知らないのでしょうか?
 たぶん、本当です。他の場所のことなど、良くわからないでしょう。
 でも、何で?

「急がないの? 恋人を待たせるの?」
 そう、そうです。陽魅華を助けなきゃ。

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