☆ 帰還の宴、危険の予感

 何時季が搾られる。大勢の少女たちに、優しく、でも、情熱的に搾られる。
 彼自身も最初はがんばっていた。
 でも、少年は一人、相手は大勢だ。いつしか、少女たちに任せている。

 砂花菜の海底基地に、海の少女たちが増える。帰ってくる。
 晶華が砂花菜の意識に接続し、海の少女たちの意識を探り、帰還するよう伝える。反発する者も居る。でも、晶華の精神感応能力が砂花菜の覚悟と夢を直接伝える。
 娘たちに恨まれるだろう、食べられても良いと思っていた。でも、それは無いことも知っていた。新しい希望が見つかったら、優しい娘たちは自分を食べないだろう。そして、何も見つからなかったら、娘たちは帰って来ない。砂花菜は、共食いをさせてしまった娘たちに、その身を捧げることができないことを知っていた。
 その痛みを分かち合いたいとも思う。償いたいと思う。でも、身を捧げても償えないのだ。痛みを痛みで返しても、癒されはしない。

 砂花菜の娘たちはクローン体とも違う。砂花菜のように、卵を産む能力は持たない。砂花菜自身も娘たちの能力は持たない。水を操り、海を旅する能力は無い。
 砂花菜にできることは、海を旅することができる娘たちを送り出すことだった。
 この基地に居れば、巨大生物の死体を栄養として、かなりの期間を生きることができるだろう。
 でも、終わりは見えている。
 だから娘たちを送り出した。希望を探した。

 砂花菜自身は、この海底基地から出ることは難しい。出られたとしても、生きてゆけないだろう。独りでは、何にも会えないうちに餓死するだろう。
 でも、たくさんの娘たちを送り出せば、誰か、何かに届くかもしれない。互いの身体を栄養とすれば、独りより遠くまで行けるだろう。

 共食いする娘たちに、必要な知識とともに、優しい精神を伝えておく。それは辛いことだろうけど。
 誰かに会えるなら、優しい方が良い。探す相手は、この世界で生き残っている存在。強いだろう。武力で対することは無謀だ。優しい娘たちなら、助けてもらえるかもしれない。
 正解だった。優しく美しい娘たちだから、何時季に届いた。

 練佳が空間転移ゲートを開く。そのゲートを通って、空腹の少女たちが戻ってくる。ゲートのために何時季の果汁を飲みまくる必要はなかった。この海底基地では、電力は十分に供給されていた。地熱発電設備があるようだ。練佳は電気力を操ることが本来の能力だ。電力を操り、ゲートを開くことができた。

 戻ってきた砂花菜の娘たちが、何時季の精液を飲む。膣内に搾った果汁も飲む。みんなの性欲、愛欲も満たすため。そして、何時季が多くの少女を求めるため。受け入れるため。
 遠くの海から戻った、空腹の少女たちが飲む。他の少女が搾ってくれたものを飲む。
 何時季から直接飲むのは、彼が望んだ時だけ。時々、それが行われる。誘惑に成功した少女が、時々、彼を咥えることを許される。
 今、空腹な少女だけが飲む。他の者は遠慮している。まず、全員の空腹を満たすのが彼の望み。

 そんな彼は、勝手だとも思う。彼はハーレムの王だ。どんなわがままも叶えられるだろう。そこで公平にしようとするなんて、一番のわがままだ。
 でも、そんな彼は可愛い。空腹のまま待たせたくないのだ。それは彼の快楽を邪魔する。満足した笑顔が好きなのだ。

 何時季はたくさんの少女たちに奉仕される。気持ち良い。男の夢だ。
 与えるから与えられる、だから納得できる。安心してハーレムを愉しめる。互いの人数のバランスはとれていないけど。

「ん……みんな、お腹いっぱいになった?」
「ええ、ありがとう、何時季さん」
 砂花菜が礼を言う。空腹の少女は、もういないようだ。

 何時季はだらしなく座り込んだまま動けない。柳裸が彼を後ろから抱きしめ、神経系を調整し癒している。空流が光を発し、光合成を助ける。
 姫李佳も彼に水を与えるために控えている。でも、この海底基地では、水はあった。海水を真水にする装置があった。
 姫李佳が造る水は、乾いた地上では貴重品だった。ここではそうではない。それでも、何時季が姫李佳を捨てることはない。それは姫李佳自身も知っている。でも、やはり不安にもなる。
「姫李佳、飲ませて」
「うん、いっぱい飲んでね。あんなに出したんだもの」
 何時季が姫李佳の秘所に吸い付く。彼は優しい。姫李佳の不安を察してくれる。そんな彼だから、不安になるのだ。でも、優しくない何時季なんて想像できない。そんな彼が好きだ。

「ちょっと急ぎすぎたね。何時季、しばらく休んで。無理させないようにと思ったけど、調整が難しかったよ。あんなにせっかちに出そうとするんだもの」
 柳裸が何時季の神経系を調整し、大量の射精を助けた。だから大勢の少女に、最後まで応えられた。精力の回復だけでなく、抑制も効かせた。適度に抑えなかったら、急ぎすぎて身体を壊したかもしれない。でも、調整を効かせても、さすがに負担は大きかった。

「憧姫? 憧姫は?」
 憧姫の姿が無い。咲生逢が気付いた。

 憧姫が、何時季と姫李佳の傍を離れるはずが無い。彼女の発する毒は、彼らに浄化してもらう必要があるのだ。だから、みんなと一緒に居られた。
 おそらく緊急事態だ。何か起こっている。

「あれ? 居ない? 晴香、探して。精神感応で接触できないわ」
「私のセンサーにも反応ありません。圏外か、隠蔽されてます」
 晴香は空中浮遊能力だけでなく、重力検知による空間把握能力も持っている。周囲の質量の存在を感知し、安全に飛行することができる。あの戦争の間も、実体弾を受けたことは無い。でも、その能力でも見つからない。

「空気中に憧姫の毒の気配が無いわ。水の中かも。探して! 何か起ころうとしてるわ」
 海の少女たち、砂花菜の娘たちがプールに飛び込む。船着き場の方にも向かう。水中なら、探せる。

 晶華は焦りを感じる。何か忘れているような、隠されているような。
 彼女の精神感応能力も、あの戦争の中では普通に遮られ、敵の精神は必ず読める訳でもなかった。当然のことだけど。
 何か、起ころうとしている。それは解る。
 隠れる何かは、たぶん良くない何かだ。

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