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☆ 収穫と新芽

 何時季の恋人たち、戦争のために造られた兵器人間たちが、光る巨大な少女の形をとっている。その手にある鎌は、やはり巨大な何時季の森を刈るためだろう。
 ゆっくりと振り下ろされた鎌が止まった。何時季の森の上に、一人の少女が現れている。鎌の軌道上に居る。森を護ろうとしているかのように。
「止めてくれるんですか。私ごと斬れば良いのに」
 紗花だ。空中庭園の庭師、何時季の森を瞬く間に育てた少女。

「紗花さんは斬りたくないわ」
「私はあの花たちに協力しています。操られているとか、服従を強いられているとかではありません。私の意志です。そのように造られたとしても」
「あの花たちだって、私たちが刈る必要はないわ。それは紗花さんの役目。でも、その森は何時季の森。何時季の森は私たちが刈るわ、だから退いて。そうなったら連れ戻す、彼との約束なの」

「何時季さんをこうしたのは私ですよ。私は抵抗しますよ」
 紗花が如雨露を傾ける。水が降る。これだけの水では、この巨大な森を育てるには足りないはずだ。でもこの森はこの水で育った。
「ただの水じゃないんですよ。ほら」
 紗花の水が飛んだ。跳ねた。その水滴が巨大化し、光る鎌にぶつかる。大量の水となって広がり、巨大な鎌が溶け落ちた。
「何だこの水、僕の消滅光で消えない? 超圧縮された水を消しきれなかったのか」
 空流の光は物体を消滅させ、光そのものも消える。
「ん、大丈夫よ」
 光る鎌が復元した。咲生逢の復元能力だ。時間を超えたバックアップからの復元。

「ズルいですねえ。さすがに戦いでは敵わないかな」
「相手を倒そうとする戦いなら、私たちは強いわ。紗花さん、あなたは戦闘用じゃないわ。花を育てる者でしょ? でも、何時季はあげない。彼が樹でも花でも、私たちのモノよ。大事な恋人なの」
「空中庭園の花たちや私も、仲間にはなれませんか?」
「なれるかもね。彼を男の子の姿のままで居させてくれれば」
「そうですよね。ズルいなあ」
 光る少女が巨大な森を斬る。刈る。刈られた部分は落ちてゆく。

「刈られた部分の大きな塊には、あの男の子たちが入ってたりします。地上や海上に落ちて、また光合成を始めるでしょう。何時季さんの強力な光合成能力で育つでしょう」
「そしてどうなるの? 森になって実をつける?」
「そういう子も居るでしょうね。何時季さんみたいに、人間の男の子の姿をとる子も居るかも。女の子の姿をとる子も居るかもしれませんね。あの花たちみたいに」
「そして、どこかでお腹が空いた誰かに会って、栄養補給するのかもね」
「そうですね。植物として、一つの目標、やり方です。美味しくなって、美味しく満たして、護られるでしょう」

 光る鎌が紗花が座る部分を切り分けた。
「紗花さん、そこに一人男の子が入ってる。重力制御ユニットも入ってる。あの庭園に帰りな。待ってる花たちが居るよ」
「何時季さんの一部もいただけるんですね。ありがとうございます。私が大事に、立派に育てますよ」
「紗花さんなら、安心して任せられるよ。大事にしてね」
「はい」

「この星にまた、美味しい実をつける森が増えます。あちこちに増えます。何時季さんはもう要りません。一人だけでみんなを満たそうとする、そんな勝手な男の子は要りません。そんな浮気者が好きだなんて、ご苦労様です」
「ふーんだ、良いの。何時季のこともっと知ったら、うらやましがるよ。優しくてドスケベで可愛い何時季、彼は分けてあげない」
「分けてもらいましたよ」
「分けてないもん!」

 刈られた森は小さくなった。まだ森とは言えるだろう。でも星を覆い尽くそうとした大きさはもう無い。
「ここに何時季が入ってるの? 降ろして神経接続して連れ戻す?」
「降ろしましょう。そろそろ良いわ」
 光る鎌が消える。光る巨大な少女は、恋人が隠れた森を大事に抱きしめ、地上に降ろした。

 その森は砂漠に置かれた。まだ地上はほとんど砂漠なのだ。これから変わるだろうけど。
「あ、まだ育つ? あれ? 枯れちゃう?」
 その森はまだ成長しようとする。そして枯れてゆく。成長が速すぎるようだ。大量の緑は茶色く変色し、力を失った。
「何時季……何時季、どこ? 消えちゃやだよ!」

「さあ、探しましょう。私たちの恋人を。居るわよ。花が終わって、次の季節」
「そっか、種か、実か」
「そう、どこかにあるわ。新しい意識を感じる」
 晶華が言うなら確かだ。枯れた森の中、大きな実はすぐ見つかった。その中に居た少年は少し小さかった。まだ大きくなるのだろう。
「何時季!」

「いつき? 僕の名前?」
 新しい身体に残せる記憶量に限界があるなら、言葉を残したのは正しい。自分の名前を、恋人たちのことを忘れたとしても。
「そうよ、あなたの名前。私は晶華。あなたの恋人」
「晶華ちゃんだけじゃないですから!」
「何時季の記憶はそのうち返してあげる。でもその前に、生まれたての可愛い何時季、まだ女の子を知らない何時季、愉しませてもらいましょう」
 晶華は彼の記憶を返すことができる。でも、まだ早い。いや、返す必要は無いかもしれない。彼は今、生まれたばかりだ。これから一緒に居る記憶が増える。

「え? あの、あの、僕の恋人は、晶華さん? だけじゃないの?」
「私は姫李佳! あなた、何時季は姫李佳のダーリン!」
「私は咲生逢です、旦那様の愛奴隷です」
「柳裸です、愛人です」
「空流だ、何時季の性奴隷」
「違うでしょ! 私は帆夏、空流と一緒に何時季の保護者」
「私は練佳、何時季の愛人」
「憧姫、咲生逢と共に旦那様の愛奴隷です」

「え? あの、その、何だか、その、みんな綺麗で……エッチしたい。恋人とか愛人って、エッチして良いの?」
「何よ、ぜんぜん変わってないじゃない」
「だって、何時季だもの」
「ああ、本当に何時季だな。わかりやすい。間違いないな」
「と言うわけで、何時季に強要は禁止、誘惑は自由ね」

「何時季、わかった? 女の子に強要は禁止よ。誘惑は私たち相手なら良いわ。私たち以外の女の子は、誘惑もしちゃダメよ」
「うん、こんなに綺麗な女の子がたくさん居て、他の娘を誘惑とかしない、と思う……あれ? 僕は、何か忘れてるの?」

「そうね、何時季、思い出せない?」
 晶華が何時季に秘所を見せつける。何時季が初めて味わったオマ×コだ。でもそのことは忘れているだろうけど。
「思い出せない、けどたぶん、昔もこうしたのかな」
 何時季が晶華を押し倒し挿入する。懐かしいような快感。晶華は彼をすぐに射精させようとはしない。あの時のように急ぐ必要も無いはずだ。
「晶華ちゃん、ズルいー」
「晶華は絶対抜け駆けしてるよね。精神感応能力で何時季の心を虜にしてるだろ」
「そんなことしてないわ。私自身の魅力じゃない?」
「うーん、確かに晶華さんは素敵だけど」

 晶華が笑う。眼帯の下、隠された晶華の眼も微笑む。その眼は光ではなく、心を観る。眼帯をしたまま使える。大事なパーツだから眼帯で保護している。まだ何時季にも見せたことが無い。
「んふふ、誘惑の奥の手、まだ残してあったわ」
 憧姫は眼帯を外した。綺麗な眼が笑っている。何時季は生まれたままの姿だ。晶華も裸になった。二人はまた抱き合い、口付けする。
「晶華ちゃんだけじゃないですから!」
 柳裸も裸だ。いや、みんな脱いでいる。肌と肌が触れる。何時季は恋人たちに包まれる。

「えっと、僕は、何なの? こうしてて良いの?」
「良いの! むしろ、しなきゃダメ! もう、一人三回くらいじゃ赦さないからね」
「一人三回? そんな、そんなに……できるのかな……できるかも」
「何時季はそのくらいじゃ足りないくらいよ。もうすぐ朝だもん。さあ、飲みなさい」
 姫李佳と名乗った少女の秘所が唇に押し当てられる。思わず舐めた。溢れる水はわずかに甘かった。
「美味しい!」
「いっぱい飲んでね。これからいっぱい出すことになるから。何時季の精液は、大事な栄養なんだから。みんなあなたに栄養をもらって生きてるの。しっかり飲んで光合成してね」

「僕はあの森から生まれたの?」
 萎れた森は乾き始めている。
「そうよ。花が終わって実ったわ。何時季、あなたを収穫できて良かった」
「花は終わっちゃったのか。ちょっと残念だな。僕はちゃんと咲いたの?」
「ええ。でも、花なんていつか終わるわ。樹が枯れなければ、また咲くわ」
「強い花なんて要らないのよ。強い樹があれは良いの。何時季、あなたは強い樹の種を蒔いたわ。この星のあちこちで、また咲くでしょう」

「そっか。観てみたいな、花が咲くところ」
「そうね、良いわね。会いに行きましょう。そのためにも、今はたくさん飲ませてね。みんな少しお腹が空いてるのよ」
 晶華の腰がうねる。新しい何時季の初めての射精を受ける。溢れるほどの量は変わっていない。射精が終わる前に唇で咥え、飲む。放出が鎮まっても離れない。
「晶華ちゃーん、交代ー」
(一人三回でしょ?)
 唇を離さず心に答える。
「あ、あうっ、今出したばかりなのに、そんなにすぐには出ないよ、あ、あ、ああっ! あ、出ちゃった……」
「それは出るよー、何時季だもの」
「柳裸が調整してるしね」
「何時季が感じるやり方、良く知ってますし」

「ん、ありがとう、僕もがんばろう! こんなにたくさんの綺麗な女の子、みんなに飲ませて良いんだね。うん、いっぱい出せそう」
「本当に変わらないな」

「少し日射しが強いな。あの森、少し木陰があるわ。入る?」
「うん、入ろう」
 光いっぱいの砂漠に、枯れた森が落ちている。空には雲。雨が降ったら、芽が出るかもしれない。

完結 ありがとうございました